労働者名簿って何?記載事項や書き方を解説(記入例あり)
「法定三帳簿」と呼ばれる3つの帳簿をご存知でしょうか?
法定三帳簿とは、①賃金台帳、②出勤簿、③労働者名簿です。今回は、このうちの労働者名簿について説明します。
労働者名簿とは?
労働者名簿とは、各労働者について、氏名、住所、生年月日、従事する業務などを記載した名簿のことです。(詳しい記載事項は後述します)
会社は、労働者を一人でも雇い入れたら、労働者名簿を作成しなければなりません。法人だけでなく、個人事業でも同様です。そして引っ越しや部署異動などで記載事項に変更があったときは、その都度、遅滞なく内容を更新していく必要があります。
また労働者名簿は「事業場ごとに」調整する義務があります。ですから本社とは別に工場などがある場合は、その事業場ごとに、そこで働く従業員について労働者名簿を作成し、備え付けておかなければなりません。
労働者名簿の記載事項
さて、労働者名簿にはどのような情報を記載すればよいのでしょうか?
労働者名簿に必ず記載しなければならない事項は、法律(労働基準法107条、及び労働基準法施行規則53条)で次のように定められています。
- 氏名
- 生年月日
- 履歴
- 性別
- 住所
- 従事する業務の種類
- 雇入れの年月日
- 退職の年月日及びその事由(解雇の場合は解雇理由を含む)
- 死亡の年月日及びその原因
労働者名簿の記入例・記入のポイント
労働者名簿の具体的な記入例をみてみましょう。東京労働局のサイトからダウンロードできる労働者名簿のひな型をご紹介します。
この労働者名簿は縦書きですが、横書きでも構いません。先程ご説明した法定の記載事項が全て記載されていれば、どのような様式でもよいのです。会社で使いやすい様式を選んで、労働者名簿を調整してください。
次に、各記載事項についてご説明します。
①氏名
戸籍上の氏名を記載してください。上の様式にはフリガナ欄がありませんが、フリガナもふっておくとよいでしょう。
②生年月日
労働者の生年月日を記載します。
③履歴
労働者名簿の履歴欄に何を記載するかは法律で定められていませんが、一般的には「最終学歴」や「職歴」「会社内での部署異動」などが記載されています。
④性別
労働者の性別を記載してください。
⑤住所
住民票の住所と実際の住所が異なる場合は、原則として実際の住所を記載します。
⑥従事する業務の種類
「営業」「経理」など、その労働者の従事する業務を記載します。ただしこの項目は、常時使用労働者数が30人未満の事業場では記載不要とされています。
⑦雇入れの年月日
労働者の雇入れの年月日を記載します。途中で雇用形態が変わった労働者(パートタイマーから正社員に転換したようなケース)は、最初の雇入れ年月日を記載してください。この場合は転換日も履歴欄などに明記しておくとよいでしょう。
⑧⑨退職の年月日及びその事由、死亡の年月日及びその原因
労働者の退職後に、退職年月日と退職事由を記載します。自己都合退職の場合は具体的な事由まで記載する必要はありませんが、解雇の場合は解雇事由を記載する必要があります。
法定以外の記載事項は?
さて、これまで法定の必須記載事項をご紹介してきました。しかし、それ以外の情報も記載することができます。よく記載される項目として「緊急連絡先」や「社会保険、雇用保険に関する事項」が挙げられます。会社の必要に応じ、記載する事項を検討して追加するとよいでしょう。
ただしマイナンバーについては、より厳重な管理が必要とされますので、安易に労働者名簿に記載せず、別ファイルで管理してください。
まとめ
労働者名簿について、概略がおわかりいただけましたでしょうか?最後になりましたが、労働者名簿は3年間の保存義務があります。労働者の退職日(解雇や死亡を含みます)から3年間は、かならず保管しておいてください。