労働条件変更同意書の書き方(記入例あり)
企業が従業員を雇い入れた場合、まず労働者に「労働条件通知書」を交付する義務があります。最初に通知したままの労働条件で雇い続けられれば問題ありません。
しかし、経営不振などの理由から「労働者と結んだ労働条件を変更したい」と考える方も多いのではないでしょうか。
原則、契約期間内における雇用契約の途中変更は、当該労働者の合意を取れれば可能です。
そして、その際には「労働条件変更同意書」を用いることで、のちの労使間のトラブルを防ぐことができます。
そこで今回は「労働条件変更同意書」の概要や作成方法について、記入例つきで解説します。
労働条件変更同意書とは?
労働条件変更同意書とは、雇用契約期間内に労働条件を変更する場合において、当該労働者が変更する労働条件について「合意している」と証明するための書類です。
この労働条件変更同意書を利用し労働者から合意を得られれば、労働条件を変更できます。
労働条件の変更について労働者から同意を取るにあたっては、具体的な手続き手順は法律では定められていません。
なお、会社が労働条件を変更したい場合、次の2つの方法があります。
- 就業規則を変更する
- 労働条件の変更について適用される社員から個別に同意を得る
労働条件変更同意書は、後者の場合に使用します。
労働条件変更同意書の記載事項
労働条件変更同意書の記載事項は、特に法律で定められているわけではありませんが、のちのトラブルを防ぐため以下のような構成で作成しましょう。
- 労働条件変更理由
- 労働条件を変更した年月日
- 変更内容
- 同意した年月日
- 使用者・労働者の署名・捺印
なお、労働条件変更について労働者から合意を取る場合、新たに「雇用契約書」を結び直す方法でも対応できます。しかし、雇用契約書を再度作成するのが手間な場合も多いでしょう。そのような場合「労働条件変更同意書」を作成するのが一般的です。
次で記入例を用いながら記入のポイントを詳しく解説します。
労働条件変更同意書の記入例・記入のポイント
労働条件変更同意書の記入例と、記入のポイントについて説明します。
記入例
労働条件変更同意書は、上記で説明した記載事項が網羅されていれば、どのような様式でも構いません。(今回は福井県が公開している様式を例に挙げます)
(図)
記入のポイント
項目ごとの主な記入のポイントは次のとおりです。
①労働条件変更理由
労働条件を変更した理由を記載します。
従業員本人からの希望によっての条件変更なのか、会社の都合であるのか、あるいはその他の理由で変更するのか記載しましょう。
会社都合で労働条件を変更する場合、具体的な理由を書く必要があります。
②労働条件を変更した年月日
労働条件を変更した日付を記載します。
③変更内容
具体的な変更内容を記載します。上記の例を使用すると、テレワークを行うため就業場所が自宅に変更されます。そのため、就業の場所を自宅に変更と記載します。
従事すべき業務の内容に変更がなければ変更なしにチェックをつけ、変更があればその内容を具体的に書きましょう。
また、労働条件の内容に変更がある場合もその内容を記載します。
このように変更となる部分を具体的に記載していきましょう。
④同意書を作成した年月日
同意書を作成した日付を記載します。
⑤使用者・労働者の署名・捺印
当事者双方の署名・捺印します。
なお、労働条件の変更について労働者から合意を取る場合、個別面談などを実施し丁寧な説明を行うよう心がけましょう。労働条件の内容に十分な理解を得られないまま手続きを進めてしまうと、訴訟などの大きなトラブルに発展する可能性が高くなります。
まとめ
やむを得ない理由で労働条件を変更しなければならない場合、使用者は労働者の合意を取れれば、雇用契約途中でも労働条件を変更できます。
そのような場合「労働条件変更同意書」を作成し対応するようにしましょう。
またなにより、労働条件を変更する際は労働者に対し真摯な態度できちんと説明することが重要です。
労働者の十分な理解を得られないと、会社への不信感がつのり労働者のモチベーションの低下を招いたり、企業のブランド価値が低下したりするリスクがあるので注意してください。