採用前に知っておきたい、中途採用等支援助成金とは
中途採用等支援助成金とは
中途採用等支援助成金とは、中途採用者の雇用管理制度を整えたうえで、従業員をの中途採用を積極的に行う企業が申請できる助成金のことです。
中途採用は、即戦力の確保や新卒の従業員を確保できない場合の人手不足の解消に有効な採用方法といえます。そのため、現在では、新卒者だけでなく中途採用の従業員を募集する企業も多くあります。
しかし、時期が限定されない中途採用を行うには、採用活動のコストがかかりますし、採用後も個別に教育するためのコストがかかります。中途採用を希望していても、コストの面から採用活動を断念する企業も少なくありません。
そこで、企業による中途採用を促進し、経済成長と雇用の拡大を図ることを目的として、中途採用等支援助成金が創設されたのです。中途採用等支援助成金は、受給対象も広く設定されています。中途採用を検討している企業の方は、活用をぜひ検討してみてください。
中途採用等支援助成金の3つのコース
中途採用等支援助成金には、次の3つのコースが設定されています。
- 中途採用拡大コース
- 生涯現役起業支援コース(すでに廃止)
- UIJターンコース
それぞれのコースで、支給対象者や支給額などが異なります。以下では、3つのコースの具体的な内容について詳しく解説します。
中途採用拡大コース
中途採用拡大コースは、中途採用者の雇用管理制度を整備した上で中途採用の拡大を図る事業者に対して支給される助成金です。
中途採用拡大コースには、次の2つの内容があります。
- 中途採用率の拡大
中途採用率を一定の割合20ポイント以上向上上昇させた事業者に対する助成金 - 45歳以上の中途採用率の拡大
中途採用率を20ポイント以上上昇させ、そのうち45歳以上の中途採用率を一定の割合10ポイント以上向上上昇させた事業者であり、かつ、当該45歳以上労働者の賃金を前職と比べて5%以上上昇させた事業者に対する助成金
中途採用拡大コースの支給対象となる労働者は、次の条件を満たす必要があります。
- 中途採用により雇い入れられたこと
- 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れられたこと
- 期間の定めのない労働者として雇い入れられたこと
- 雇い入れの日の前日から起算して1年以内に、当該事業者の事務所で就労したことがないこと
- 雇い入れの日の前日から起算して1年以内に、当該事業者と密接な関係のある事業者に雇用されていた経験がないこと
- 「45歳以上の中途採用率の拡大」の場合、雇い入れ時の年齢が45歳以上であること
中途採用拡大コースの助成額は、「中途採用率の拡大」の場合が50万円、要件が増える「45歳以上の中途採用率の拡大」の場合が100万円となっています。
参考:厚生労働省「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」
生涯現役起業支援コース(廃止)
生涯現役起業支援コースは、40歳以上の方が起業し、事業運営のために従業員を雇い入れた際に活用できる助成金です。
生涯現役起業支援コースには、次の2つの助成内容があります。
- 雇用機会創出措置助成分
従業員の募集・採用や教育訓練にかかる費用の一部を助成するもの - 生産性向上助成分
雇用機会創出措置助成分の支給後に、一定期間経過後に生産性が向上したている場合に支給される助成金
生涯現役起業支援コースの受給要件・受給額について、詳しくは厚生労働省のサイトでご確認ください。なお、生涯現役起業支援コースは、令和4年3月31日限りで廃止されています。
参考:厚生労働省「中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)」
UIJターンコース
UIJターンコースは、東京圏からの移住者を雇い入れた事業者に対し、採用活動に要した経費の一部を助成するものです。
UIJターンコースの受給要件は次の3点です。
- 採用活動についての計画書を労働局に提出し、労働局長の認定を受けること。
- 計画書に定めた期間内に、パンフレットやホームページの作成、就職説明会の実施など所定の採用活動を行うこと。
- 次の4つの要件を満たす労働者を雇い入れたこと。
- 東京圏からの移住者であること
- デジタル田園都市国家構想交付金を活用して地方公共団体が開設・運営するマッチングサイトに掲載された求人に応募した人であること
- 雇い入れ当初から雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れられた人であること
- 継続雇用が確実と認められる人であること
UIJターンコースの支給額は、100万円が上限となっています。助成率については、中小企業が2分の1、中小企業以外が3分の1と異なります。
参考:厚生労働省「中途採用等支援助成金(UIJターンコース)」
まとめ
中途採用は、企業の成長、人手不足の解消のために重要な採用手法の1つです。中途採用等支援助成金は、支給対象が広く、中途採用を実施する多くの企業が申請できる助成金となっています。
中途採用を実施する企業の方は、採用コスト軽減のため活用をおすすめします。助成金の内容は変更されることもありますので、申請の際は厚生労働省のサイトで最新情報を確認するようにしてください。