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株主総会議事録に記載すべき事項とは?

株主総会を開いたら、株主総会議事録を作成しなければなりません。

株主総会議事録には必ず記載しなければならない内容や一定のルールがあります。基本を理解したうえで作成にあたることが大切です。

この記事では、株主総会議事録に記載すべき事項や記名押印について解説します。

株主総会議事録とは?

株主総会議事録は、株主総会で決議した内容を記録するものです。

株主総会で決定する事項は、定款の変更や役員の選任・解任、剰余金の配当など、多岐にわたります。株主総会の決議内容については、株主総会議事録として記録を残さなければなりません。そして、会社の本店に10年間備え置いておく必要があります。株主や債権者は、会社に対して株主総会議事録の閲覧を求めることができます。

株主総会議事録の記載事項などについては決まりがあり、詳細は後述します。

株主総会議事録の必要シーン

株主総会議事録が必要となるのは、主に以下のような場面です。

①登記申請の添付書類

登記申請の際に株主総会議事録が添付書類として必要となるケースがあります。

たとえば、取締役を選任し、役員変更登記を申請する場合には、取締役が選任されたことが記載された株主総会議事録を添付する必要があります。

②株主や債権者からの閲覧請求

株主や債権者は、正当な目的があれば株主総会議事録の閲覧・謄写(コピー)を請求することができます。この請求をされる場合に備えて株主総会議事録をしっかりと備え置いておく必要があります。なお、正当な目的がない場合には閲覧・謄写請求を拒否することができますが、正当な目的がないことは会社側が立証しなければなりません。

③過去の経緯の確認

会社の運営をするにあたり、過去に株主総会でどのような議案があったのか、どのような経緯で議案が可決、否決されたのかなどを確認したくなる場合があります。

過去の経緯を理解したうえで、次の株主総会を円滑に運営するための準備を進めることもできます。

株主総会議事録の記載事項(会社法施行規則第72条3項)

株主総会議事録に記載すべき内容は以下のものです。

開催日時及び場所

株主総会を開催した日時、場所について具体的に記載します。

場所については、当社本店会議室(東京都〇区〇町1-2-3)のように、会場の名称と住所を記載するとよいでしょう。

また、株主総会に取締役や株主がテレビ会議システムで参加した場合には、テレビ会議システムで出席したことについても記載する必要があります。

議事の経過の要領及びその結果

株主総会の議事の流れや内容について記載します。

具体的には、報告事項(決算報告など)の内容やそれについての質疑応答について、決議事項(役員選任など)についての審議の内容や採択方法、決議の結果(可決されたのか否決されたのか、原案通りなのか修正されたのかどうかなど)などを記載します。

その場にいなかった人が見ても内容が分かるように、できるだけ具体的に記載するとよいでしょう。

ただし、各議決に関し、賛成または反対した株主の個人名までを記載する必要はありません。

会社法の規定に基づき述べられた意見

会社法の規定により、監査役等が株主総会で一定の事項について意見を述べる場合があります。

具体的には、たとえば以下のような事項です。

  • 監査役、会計参与、会計監査人による選任、解任、辞任についての意見
  • 取締役が提出する議案が法令や定款に違反すると監査役が認める場合の監査役の意見
  • 計算書類の適法性について、会計監査人と監査役の意見が異なる場合の会計監査人の意見

このような意見を述べた場合には、その意見や発言について株主総会議事録に記載する必要があります。

出席した取締役等の氏名

株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役(または会計監査人)の氏名または名称を記載します。

株主総会の議長の氏名

通常、株主総会においては、議事を進行する役割を担う議長が存在します。

議長を誰が務めるかは、定款で決めているのが一般的です。

議長が存在する場合には、議長の氏名を記載します。

議事録作成者の氏名

株主総会議事録の作成者の氏名を記載します。

議事録の作成者には決まりはないため、取締役であっても一般の社員であっても構いません。

株主総会議事録の記名押印について

株主総会議事録には、通常は出席した取締役等の記名押印を行います。

ただし、会社法の規定では、特に記名押印は義務とはなっていません。

会社の定款で株主総会議事録に記名押印することが規定されている場合のみ、記名押印しなければなりません。

とはいえ、議事録が正当であること、真正であることを示すために、定款の規定の有無にかかわらず出席した取締役等が記名押印するのが一般的です。

定款の規定がない限り、記名押印の義務自体がないため、押印する印鑑については実印である必要はなく、認印で差し支えありません。

代表取締役選任時は実印の押印が必要

会社法上は株主総会議事録に押印義務がないのが原則ですが、例外として、取締役会のない会社で、株主総会で代表取締役を選定した場合には、押印の義務があります。

この場合、議長と出席取締役全員が、実印で押印する必要があります。

ただし、代表取締役が重任の場合には、代表取締役が会社の実印を押印すれば、他の取締役は実印を押印する必要はありません。

まとめ

株主総会議事録を作成する際には、まずは基本として何を記載しなければならないのかを押さえておく必要があります。 株主総会議事録は大切な記録となるため、総会終了後に速やかに、できるだけ具体的かつ明確な内容で作成することをおすすめします。