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営業所の管理者とは?役割と責任、必要な条件を解説

営業所の管理者とは?役割と責任、必要な条件を解説

古物営業を営む上で、営業所ごとに設置が義務づけられている「管理者」。その役割や責任、必要条件、さらに解任リスクまで詳しく解説します。

1. 管理者の役割と責任

営業所の管理者は、その営業所で行われる古物営業全般を管理・運営する責任者です。管理者の役割は多岐にわたり、以下のような業務を担います。

役割

  • 現場運営の管理:日々の業務を指揮し、従業員を適切に監督。
  • コンプライアンスの徹底:古物営業法を始めとする関連法規を遵守。
  • 従業員の教育・指導:法律や業務に関する指導を通じ、適正な運営を確保。
  • 警察や公安委員会との対応:必要な情報交換や手続きを行う窓口として機能。

責任

管理者は、営業所で行われるすべての業務に対して最終責任を負います。そのため、違法行為や重大なミスが発生した場合には、管理者が責任を問われることがあります。

2. 1営業所1管理者の原則

法律に基づき、営業所ごとに必ず1人の管理者を選任することが義務づけられています。この原則を守るために以下のポイントがあります。

常駐義務

管理者はその営業所に常にいる必要があります。これにより、日々の業務を適切に監督し、トラブル発生時にも迅速に対応できる体制を整えることが目的です。

複数営業所の兼任は不可

1人の管理者が複数の営業所を管理することは認められていません。営業所ごとに専任の管理者を置く必要があります。

例外

同じ建物内に複数の営業所を持つ場合は、管理者が兼任できることがあります。例えば、1つの施設内に古着屋とアンティーク店を運営している場合など、管理が行き届く範囲であれば認められるケースがあります。

3. 管理者に求められる条件

管理者は基本的に誰でも選任できますが、法律上いくつかの条件を満たす必要があります。

欠格要件

以下の条件に該当する場合、管理者になることができません:

  1. 未成年者
  2. 破産者(復権を得ていない場合)
  3. 禁固以上の刑に処された場合: 禁固以上の刑に処され、執行後5年を経過しない場合。
  4. 特定の犯罪歴
    • 窃盗罪や背任罪、遺失物横領罪などで罰金刑を受け、執行後5年を経過しない場合。
    • 古物営業法に基づく無許可営業、許可の不正取得(虚偽申請)、名義貸し、公安委員会からの営業停止等の命令に対する違反を行い、執行後5年を経過しない場合。
    • 暴力団関係者、または違法行為を繰り返す恐れのある者。
  5. 住居がない人:定まった住所がない場合。
  6. 健康状態が不適切:精神機能の障害により古物商の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者。
  7. 古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前60日以内に当該法人の役員であった者で当該取消しの日から起算して5年を経過しないものを含む。)

通勤圏内の居住

管理者は営業所に常駐する必要があるため、現実的に通勤可能な場所(概ね片道2時間程度)に住んでいることが求められます。

自然人であること

管理者は法人ではなく、自然人(個人)である必要があります。

4. 管理者の選任手続き

管理者を新たに選任したり交代する場合、所定の手続きを行う必要があります。

変更届の提出

管理者が変更になる場合は、速やかに変更届を提出します。この際、以下の書類が必要です:

  • 住民票:管理者の住所を確認するため。
  • 身分証明書:禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていない、後見の登記の通知を受けていない、破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていないことを証明するため。
  • 略歴書:過去の経歴や業務適性を確認するため。

※申請者自身が管理者を兼任する場合は、一部の書類提出が省略されます。

5. 解任リスクと対策

管理者が法律に違反した場合や、適切に職務を果たさない場合、公安委員会から解任勧告を受ける可能性があります。

解任勧告の理由

  • 古物営業法や関連法令に違反した場合。
  • 職務上の不適格性が認められた場合。

対策

管理者としての解任リスクを回避するには、以下を徹底することが重要です:

  1. 法令の遵守:古物営業法を十分に理解し、遵守する。
  2. 不正品の判断能力:扱う商品が不正品でないかを確認できる知識と経験を持つ。
  3. 適切な運営:日々の業務を怠らず、問題が起きた際には迅速に対応する。

6. 古物営業法13条のポイント

管理者について規定している古物営業法13条には、次のような内容が記されています:

  1. 管理者の選任義務:原則として営業所ごとに1人の管理者を選任する。
  2. 欠格要件の定義:未成年や特定の犯罪歴がある者は管理者になれない。
  3. 知識や経験の習得:取り扱う古物が不正品でないかを判断するための知識・技術・経験を得る努力義務。

7. まとめ

  • 営業所の管理者は古物営業を適切に運営するための重要な役職。
  • 1営業所1管理者の原則を守り、欠格要件を満たさない適切な人物を選任する必要がある。
  • 選任後も法律を遵守し、問題発生時には迅速に対応することで責任を果たす。
  • 違法行為や職務怠慢は解任のリスクがあるため、常に責任感を持った行動が求められる。

営業所の管理者は、現場の運営だけでなく、法令遵守と適切な運営を通じて会社全体の信頼性を支える重要なポジションです。その責務を果たすことで、健全な事業運営を実現できます。