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下請法違反が発覚!親事業者がとるべき対応策を解説

親事業者が下請事業者へ一定の業務を発注する際には、下請法(下請代金支払遅延等防止法)を守る必要があります。

下請法に違反して処分を受けると、会社の社会的な信用を大きくそこなってしまうおそれがあります。

しかし、親事業者として悪意がなくても、ついうっかり違反してしまうことが少なくありません。

ただ、違反が発覚してもすぐに適切に対処すれば、処分を免れることが可能です。

本記事では、下請法に違反してしまったときに親事業者がとるべき対応策を説明します。

下請法に違反するとどうなる?

下請法には親事業者が守るべき義務や禁止されている行為が定められており、違反すると公正取引委員会による処分や刑事罰を科されるおそれがあります。

親事業者が守るべき義務と禁止行為

親事業者は下請事業者よりも優越的な地位にあります。そのため、下請事業者に不利益を及ぼさないように、親事業者は以下の義務を守り、禁止行為に違反しないことを義務づけられています。

【守るべき義務】

  • 発注書面を交付する義務
  • 下請代金の支払期日を定める義務
  • 取引の内容を記載した書類を作成・保存する義務
  • 延滞した下請代金の遅延利息を支払う義務

【禁止行為】

  • 受領拒否
  • 下請代金の支払遅延
  • 下請代金の減額
  • 返品
  • 買いたたき
  • 物の購入強制・役務の利用強制
  • 報復措置
  • 有償支給原材料等の対価の早期決済
  • 割引困難な手形の交付
  • 不当な経済上の利益の提供の要請
  • 不当な給付内容の変更・やり直しの要請

なお、各禁止行為の内容や、下請法が適用される取引の内容についてはこちらの記事で解説していますので、ご参照ください。

>下請法の適用は資本金の額で決まる!違反行為も解説

公正取引委員会による処分

以上の義務や禁止行為の違反が疑われる場合、公正取引委員会や中小企業庁による調査が行われます。

調査の結果、違反が認められると「勧告」または「指導」の措置がとられることがあります。

勧告を受けた場合は公正取引委員会のホームページで会社名や違反行為の内容などが公表されます。そのため、会社の社会的信頼を大きくそこなうおそれがあります。

刑事罰

以下のいずれかに該当する場合は、50万円以下の罰金が科されることがあります。

  • 発注書面を交付する義務を怠ったとき
  • 取引の内容を記載した書類を作成・保存する義務を怠ったとき
  • 公正取引委員会や中小企業庁の書面調査で虚偽の報告をした、または報告しなかったとき
  • 立入検査の拒否や妨害をしたとき

下請法違反が発覚したときにやるべきこと

下請法に違反したことに気付いたら、すぐに公正取引委員会へ申し出ることです。

公正取引委員会等が調査に着手する前に自発的に申し出た場合は、親事業者が以下の要件を満たしていれば、基本的に「勧告」の措置は免除されます。

  • 違反行為を既に取りやめていること
  • 下請事業者に与えた不利益の回復措置を既に講じていること
  • 再発防止策を既に講じているか、講じる予定であること
  • 公正取引委員会の調査・指導に全面的に協力していること

なお、公正取引委員会及び中小企業庁は、親事業者による違反行為を取り締まるため、親事業者及び下請事業者を対象とした書面調査を定期的に行っています。

この書面調査は一種のアンケートのようなものであり、違反行為の有無や内容を確認するための「調査」とは異なります。

書面調査の文書が届いた時点では「調査」が開始されたわけではないので、この時点で自発的に違反行為を申し出れば勧告の免除を受けることが可能です。

まとめ

親事業者による違反行為は、書面調査の他、下請事業者から公正取引委員会等への申告によって発覚します。

そのため、親事業者にとってはある日突然に違反行為を指摘される場合も多く、その場合は下請事業者との話し合いで解決することもできません。

普段から下請法に違反する行為をしていないかを確認した上で、もし違反行為に気付いたらすぐに自発的に申し出ることが大切です。