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【払込証明書とは】通帳のコピーだけで足りる?作成方法を解説

払込証明書は、会社設立や増資をしたときに証明書類として提出するものです。払込証明書は通帳コピーだけでなく、証明書部分の作成も必要です。

この記事では、払込証明書の概要や作成方法について解説します。

払込証明書とは

会社を設立するときには資本金が必要で、資本金は登記されます。

また、会社設立後に募集株式を発行して資本金を増加させたときも、増資の登記が必要です。

このような会社設立や募集株式の発行をする際、資本金(及び資本準備金)に相当する金額を払い込む手続きを行います(注:金銭以外で出資する場合には払い込みはありません)。

払い込みは、発起設立で会社設立する場合には、発起人の個人口座に振り込みます。

一方、設立後の会社が募集株式を発行する場合には、会社の口座へ振り込みます。

この振込(払い込み)が行われたことを証明するために作成するのが、払込証明書です。

払込証明書の必要シーン

払込証明書が必要となるのは、以下の場合です。

  • 会社設立登記をするとき
  • 募集株式の発行による増資の登記をするとき

資本金は、登記される会社の重要な情報です。そのため、実際に資本金(及び資本準備金)に相当する額が振り込まれたのかを証明することが求められ、登記の際に払込証明書の提出を要するのです。

払込証明書の作成例

払込証明書は、表紙となる証明書部分と、振込金額が確認できる通帳または取引明細画面のコピーの部分から成ります。

この2つをホチキス等で留めて一体化させて作成します。

証明書

証明書部分には、以下のような内容を記載します。

  • 全額の払い込みがあったことを証明する旨
  • 払い込みを受けた金額
  • 1株の払込金額(記載しなくても可)
  • 設立時発行株式数 (設立の場合)
  • 払い込みがあった募集株式数 (増資の場合)
  • 証明日付
  • 証明者である代表取締役の記名押印

作成例

①会社設立の場合

証明書

当会社の設立時発行株式については、以下のとおり全額の払い込みがあったことを証明します。

 設立時発行株式数    100株
 払い込みを受けた金額 金100万円
 1株の払込金額      金1万円

令和〇年〇月〇日 ※1
 東京都中央区〇町1-2-3
 株式会社○○
 設立時代表取締役 甲野 太郎  ㊞ ※2

※1 全額の払い込み完了後、かつ、設立時代表取締役が就任承諾した日以降の日付で作成します。

※2 会社代表印(法務局への届出印)を押印します。

②募集株式発行による増資の場合

証明書

当会社の募集株式については、以下のとおり全額の払い込みがあったことを証明します。

 払い込みがあった募集株式数 100株 ※3
 払い込みを受けた金額  金100万円 ※4
 1株の払込金額       金1万円

令和〇年〇月〇日
 東京都中央区〇町1-2-3
 株式会社○○
 代表取締役 甲野 太郎  ㊞

※3、4 募集した株式数、金額ではなく、実際に払い込みがされた株式数、金額を記載します。

通帳のコピー

通帳がある場合には、通帳のコピーを取ります。

コピーを取るページは、以下になります。

  • 通帳の表紙(銀行名、口座名義人が記載されているもの)※通帳を開いた最初のページ(銀行名、口座名義人が記載されているもの)でも可。
  • 入金が確認できる明細のページ(入金日、金額が記帳されているもの)

通帳がないインターネットバンキングを利用している場合には、取引明細の画面を印刷したものが、通帳のコピーの代わりになります。

銀行名、口座名義人、入金日、入金額が分かる画面をプリントアウトしましょう。

証明書部分と通帳のコピーは、同じサイズの用紙で印刷し、ホチキスで留めましょう。

注意点

払込証明書の作成時は、次の点に注意しましょう

該当の入金部分をわかりやすく示す

通帳の明細にたくさんの入出金が記帳されている場合、どの入金が今回の払い込みであるのか分かりにくくなります。

その場合、該当の入金部分にマーカーで色付けするなどすると、確認する登記官にとって分かりやすくなり、スムーズに手続きが進むのでおすすめです。

押印は1カ所で足りる

以前は証明書部分と通帳のコピーをホチキスで留めた後、契印(割り印)をする必要がありましたが、現在は不要となりました。押印は、証明書部分の代表取締役の氏名の横の欄の1カ所にすれば足ります。

募集設立時は払込金保管証明書が必要

この記事で解説している払込証明書は、「発起設立」による会社設立、募集株式の発行による資本金の増加の場合に使用するものです。「募集設立」による会社設立の場合には、金融機関が発行する「払込金保管証明書」が必要です。

まとめ

払い込みが実際に行われたことを証明するために、払込証明書が求められます。最近ではインターネットバンキングの利用が増え、通帳がない場合もありますが、通帳がない口座であっても払込証明書の作成は可能です。必要な情報をしっかりと確認したうえで作成しましょう。