リーガルメディア > 法務 > 在留資格認定証明書交付申請手続きとは?必要書類や在留資格「技術・人文知識・国際業務」の業務内容について徹底解説
法務

在留資格認定証明書交付申請手続きとは?必要書類や在留資格「技術・人文知識・国際業務」の業務内容について徹底解説

在留資格認定証明書交付申請とは、企業が海外から外国人を呼び寄せて働いてもらう場合に必要な手続きです。在留資格認定証明書を取得することで、申請に時間のかかる査証(ビザ)の取得手続きを通常よりも速やかに行うことができ、さらに入国手続きもスムーズに行うことができます。

本記事では、外国人を海外から呼び寄せて雇用したい企業の方へ向けて、在留資格認定証明書交付申請について必要書類や手続きの流れについて詳しく解説します。また、就労ビザの代表格である「技術・人文知識・国際業務」の業務内容や申請資格者の要件についてもご紹介しているので、外国人の雇用を検討している企業の方はぜひご一読ください。

在留資格認定証明書交付申請制度とは?

外国人が日本で中長期滞在する場合は、査証(ビザ)や在留資格が必要です。

しかし、査証(ビザ)の申請には時間がかかり、外国人を雇用したい企業にとってデメリットとなります。在留資格認定証明書を取得することで、申請に時間のかかる査証(ビザ)の取得手続きを通常よりも速やかに行うことができ、さらに入国手続きもスムーズに行うことができます。

この「在留資格認定証明書」を申請するために必要な書類が、「在留資格認定証明書交付申請書」です。

外国人の在留資格とは?

在留資格とは、外国人が「日本で活動する」ために必要な資格の総称です。在留資格は大きく分けて「就労できない資格」「就労可能な資格」に分けられ、全部で29種類(2024年1月時点)の資格があります。

在留資格と査証(ビザ)の違いとは?

在留資格と査証(ビザ)は混同しがちですが、別のものです。

査証(ビザ)は、海外にいる外国人が日本に入国するための切符のような役割があります。中長期日本に滞在する外国人は査証(ビザ)がないと入国できません。

一方、在留資格は日本での活動を認める資格です。このうち就労可能な在留資格を就労ビザと呼んでいます。「ビザを更新したい」や「ビザを変更したい」というような場面では、在留資格の意味だと思っていただけると良いでしょう。

このように査証(ビザ)は「日本へ入国」するタイミング、在留資格は「日本で活動」するタイミングで効力を発揮すると覚えておきましょう。

申請のための基本条件

では、在留資格認定証明書交付申請をするために必要な条件について、見ていきましょう。本記事では在留資格の代表格である「技術・人文知識・国際業務」の要件と照らし合わせ、確認していきます。基本条件は、次のとおりです。

  • 「技術・人文知識・国際業務」の業務内容を満たしているか
  • 海外から呼び寄せる外国人が要件を満たしているか

技術・人文知識・国際業務の内容とは?

技術・人文知識・国際業務の在留資格をわかりやすく説明すると、大学等で学んだ知識や仕事で培った経験と関連性のある業務を日本で行うための資格です。

技術・人文知識・国際業務の在留資格は就労ビザの代表格であり、「技人国(ぎじんこく)」と称されています。

では「技術」「人文知識」「国際業務」が、それぞれどのような業務なのか詳しく解説します。

技術の業務内容

「技術・人文知識・国際業務」のうち「技術」とは「理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術もしくは知識を有する業務」をさしています。

具体的には、次のような工学系およびIT系の技術・知識が求められる業務が該当します。

  • システムエンジニア
  • プログラマー
  • 情報セキュリティーの技術者
  • 生産管理
  • CADオペレーター
  • 研究者 など

人文知識の業務内容

「技術・人文知識・国際業務」のうち「人文知識」とは「法律学、経済学、社会学その他人文科学の分野に属する技術もしくは知識を要する業務」と定義されています。

具体的には次のような、いわゆる文系かつオフィスワーカー系の業務に従事する業務が該当します。

  • 企画
  • 営業
  • 経理
  • 広報
  • 商品開発 など

国際業務の内容

「技術・人文知識・国際業務」のうち「国際業務」とは「外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務」と定義されています。

単に外国人というだけではなく、日本国内にいては身につかない思考・感受性に基づく一定の専門的業務であることが求められます

国際業務の職種例は次のとおりです。

  • 翻訳
  • 通訳
  • 語学の指導
  • 広報
  • デザイナー

申請資格者の要件

技術・人文知識・国際業務を行う外国人側にも要件があります。業務の内容と関連性のある専門的なスキルや知識を持っていないと在留資格を取得することができません。

では、外国人本人の要件について、確認しましょう。

①学歴・職歴

技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得する外国人について、学歴・職歴要件を満たしているか、次の表で確認しましょう。

「技術」「人文知識」の場合は、学歴要件と職歴要件のどちらかを満たしている必要があります。例えば、大学を卒業していれば、実務経験10年以上という要件は必要ありません。

また「国際業務」の場合、学歴要件はありません。実務経験3年以上あれば、国際業務の要件を満たします。なお、大学を卒業した者が通訳、翻訳又は語学の指導を行う場合は、実務経験は不要です。

 

「技術」「人文知識」

「国際業務」

学歴要件

大学(短大含む)を卒業したもの(※1

学歴要件なし

専門学校を卒業したもの(※2

職歴要件

実務経験10年以上(※3

実務経験3年以上

※1 大学は日本・海外の大学どちらでも構いません。
※2 専門学校は日本国内の専門学校のみが該当します。
※3 実務経験の期間には,大学等において関連科目を専攻した期間も含まれます。

②報酬要件

「技術・人文知識・国際業務」の報酬要件は、日本人社員と同等額以上の報酬を受けることです。

必要書類の詳細

在留資格認定証明書交付申請に必要となる書類は、企業の規模や経営の安定性によって異なります。自社が当てはまるカテゴリーを以下の表で確認し、必要な書類を揃えましょう。

カテゴリー

要件

日本の証券取引所に上場している企業など

・前年後の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人など

前年分の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)

カテゴリー1~3に該当しない団体・個人

全カテゴリー共通の必要書類

全カテゴリーに共通して必要な書類は次のとおりです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 証明写真(縦4cm×横3cm)
  • 国籍を証する書類(対象者:日本国籍を離脱した者)
  • 在留資格の取得を必要とする事由を証明する書類(対象者:上記「日本国籍を離脱した者」以外の者)
  • パスポート(提示)
  • 返信用封筒
  • 専門学校を卒業し、専門士または高度専門士の称号を付与された者は、それを証明する文書
  • 企業の担当者が手続きする場合は、会社の身分証明書等

在留資格認定証明書交付申請書は、出入国在留管理庁のホームページでダウンロードすることができます。
参考:“在留資格認定証明書交付申請書”出入国在留管理庁ウェブサイト

申請書等は、日本産業規格A列4番(A4の印刷用紙)に片面1枚ずつ印刷(両面印刷をしない)する必要があります。

カテゴリー1の必要書類

カテゴリー1に該当する企業は、全カテゴリーに共通して必要な書類にプラスして次の書類も必要です。

  • 四季報の写しまたは日本の証券取引所に上場していることを証明する文書の写し
  • 主務官庁から設立許可を受けたことを証明する文書の写し
  • イノベーション創出企業に該当する場合は、対象企業であることを証明する文書の写し
  • カテゴリー1に該当する「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書の写し

カテゴリー2の必要書類

カテゴリー2に該当する企業は、全カテゴリーに共通して必要な書類にプラスして次の書類が必要です。

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
  • 在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書

カテゴリー3の必要書類

カテゴリー3に該当する企業は、全カテゴリーに共通して必要な書類にプラスして次の書類が必要です。

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
  • 労働条件通知書(雇用契約書)など
  • 登記事項証明書・直近年度の決算文書の写し

カテゴリー4の必要書類

カテゴリー4に該当する企業は、全カテゴリーに共通して必要な書類にプラスして次の書類が必要です。

  • 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする資料(源泉徴収票に対する免許証明書など)
  • 労働条件通知書(雇用契約書)など
  • 申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書
  • 登記事項証明書・直近年度の決算文書の写し

参考:“在留資格「技術・人文知識・国際業務」”出入国在留管理庁ウェブサイト

必要書類が多いため、出入国在留管理庁のホームページをご確認いただき、漏れがないようしっかりと準備しましょう。

在留資格認定証明書交付申請の流れ

では、在留資格認定証明書交付申請の手続きの流れをご紹介します。

①必要書類の収集
まず、在留資格認定証明書交付申請に必要な書類を集めましょう。

②地方出入国在留管理官署の窓口で申請
外国人を雇用する企業の所在地を管轄する地方出入国在留管理官署で、在留資格認定証明書交付申請を行いましょう。オンライン申請も可能です。オンライン申請をする場合は、出入国在留管理庁のホームページをご参照ください。

③出入国在留管理庁における審査
審査には1か月~3か月かかります。あらかじめ余裕をもって申請しましょう。

④在留資格認定証明書の交付
審査を経て許可がおりれば、在留資格認定証明書を取得できます。

⑤企業から外国人へ在留資格認定証明書を送付する
在留資格認定証明書を取得したら、海外にいる外国人へ在留資格認定証明書を国際郵便で送りましょう。オンライン申請をした場合は、在留資格認定証明書も電子メールで受け取ることができ、外国人へそのメールを転送できるため、海外郵送の手間や費用はかかりません。

⑥日本大使館・領事館で査証(ビザ)を申請する
在留資格認定証明書交付申請は企業側が行うのが一般的ですが、査証(ビザ)の申請は外国人本人が行います。企業から受け取った在留資格認定証明書を提示して査証(ビザ)を取得しましょう。

⑦外国人本人が査証(ビザ)を取得する
査証(ビザ)が取得出来たら、日本へ入国します。

在留資格認定証明書交付申請手数料はいくら?

行政書士などの外部に依頼する場合は依頼料がかかりますが、在留資格認定証明書交付申請には、手数料はかかりません。

登記事項証明書や卒業証明書等の提出書類については発行に手数料の支払いが必要な場合があります。

在留資格認定証明書交付申請の注意点

在留資格認定証明書交付申請を行ったら、在留資格認定証明書が交付されるまで1か月~3か月ほどかかります。在留資格認定証明書の交付は余裕をもって申請を行いましょう。

また、在留資格認定証明書には有効期限があります。交付日から3か月以内に来日しないと無効になるため注意しましょう。

まとめ

在留資格認定証明書交付申請について、ご紹介しました。在留資格認定証明書交付申請は海外から呼び寄せた外国人を雇用したいと考える企業にとっては、必須の手続きです。本サイトを参考にしていただき、要件の確認や必要書類を揃えましょう。

また「技術・人文知識・国際業務」は専門知識を必要とする業務に就くための在留資格です。そのため、単純業務を行うことは認められていません。業務内容が「技術・人文知識・国際業務」にあたるか、再度確認しましょう。