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登記情報提供制度とは?公的書類として認められる?

登記情報提供制度(サービス)は、インターネット環境さえあればどこでも登記情報が確認できる便利なサービスです。

ここでは、登記情報提供制度がどのようなものなのか、登記事項証明書(登記簿謄本)と同じように使えるのかなどについて解説します。

登記情報提供制度とは

登記情報提供制度は、インターネットを利用して、PCやタブレット端末の画面で登記の内容を閲覧することができるサービスです。

通常登記されている情報を確認するためには、法務局で登記事項証明書を取得する必要がありますが、登記情報提供制度を使うと、インターネットが接続できる環境さえあれば、自宅や外出先などどこからでもリアルタイムで登記情報を見ることができるため便利です。

利用時間についても、法務局は午前8時半から17時15分までしか窓口が開いていませんが、登記情報提供制度は午前8時半から午後9時まで利用可能です。

ただし、法務局の開庁日と同様に平日のみ利用可能となっているため、土日祝日は利用できません。

閲覧できる情報

登記情報提供制度により、以下の情報を閲覧することができます。

商業登記情報について

①商業・法人登記情報

商業等の登記情報は、請求した時点で効力のある登記情報に加えて、請求日の約3年前(3年前の年の1月1日から請求日までの間)に変更(抹消)された情報についても記載されます。

法務局で登記事項証明書を取得する場合には、たとえば会社の目的だけなど「一部事項証明書」を取得することもでき、自分に必要な情報だけを抜粋した証明書を取得できますが、登記情報提供制度で取得すると、全部の情報が記載されるため、会社によっては膨大な量の情報になる場合もあります。

②閉鎖事項情報

商業等の閉鎖事項情報は、全部が閉鎖されている商業・法人の登記事項の情報です。たとえば、会社を解散して清算決了の登記がされ、会社の登記情報が閉鎖された場合の情報を取得することができます。

ただし、登記の情報がコンピューター処理される前(登記簿が手書きされていた頃)に閉鎖された情報は、登記情報提供制度を使って取得することはできず、管轄の法務局で閉鎖登記簿謄本を取得する必要があります。

不動産登記についての情報

①全部事項情報

不動産の全部事項情報は、その不動産の登記事項の全て(表題部、所有権に関する事項、所有権以外に関する事項)についての情報が記載されています。共同担保目録及び信託目録についても希望に応じて取得ができます。

②所有者事項情報

不動産の所有者事項情報には、その不動産の現在の所有者の住所及び氏名、2人以上の共有の場合は持分についての情報が記載されています。

過去の所有者が誰なのか、現在の所有者がいつどのような原因で所有権を取得したのかなど、あくまでも現在の所有者について確認したい場合に取得すべきものです。

③閉鎖事項情報

閉鎖された土地建物についての登記事項の情報も取得することができます。たとえば、建物を取り壊して滅失登記がされると、建物は消滅するため建物の登記情報は閉鎖されますが、この登記情報が閉鎖事項情報です。

ただし、登記の記録がコンピューター処理されるより前(登記簿が手書きされていた頃)に閉鎖された情報については閲覧することはできず、そのような場合は管轄の法務局で閉鎖登記簿謄本を取得する必要があります。

④地図情報

地図情報は、公図と呼ばれる地図の情報です。請求した土地を含む周囲の土地の情報を取得することができます。

⑤図面情報

図面情報は、土地の土地所在図(土地の所在を示す図面)/地積測量図(土地の地積の測量結果を示す図面)、建物の建物図面(建物の位置を示す図面)/各階平面図(建物の各階ごとの平面の形状を示す図面)の情報を取得できます。

その他の情報

動産譲渡登記事項概要ファイル情報、債権譲渡登記事項概要ファイル情報を取得することができます。「現在事項」または「閉鎖事項」を選んで取得することができます。

利用料

登記情報提供制度は有料で、利用するためには以下の料金がかかります。
なお、サービスを利用するための入会金や会費などはかかりません。

商業・法人登記情報全部事項(閉鎖事項含む)334円/1通
不動産登記情報
  • 全部事項(閉鎖事項含む)334円/1通
  • 所有者事項 144円/1通
  • 地図/図面 364円/1通
動産債権譲渡登記事項概要ファイル情報 144円/1通

印刷したら公的な書類として認められる?

登記情報提供制度で取得した登記情報は、印刷することができます。

印刷した登記情報は、法務局で発行される登記事項証明書の代用として、公的な書類として使えるのでしょうか。

残念ながら、登記情報提供制度を使って取得した登記情報には、登記官の認証文や証明の押印が付いていないため、法的な証明力はありません。

そのため、公的機関や金融機関などから登記事項証明書の提出を求められた場合に、代わりに登記情報を印刷したものを使うことは基本的に認められません。

証明書としての取得を考えている場合には、あらかじめ提出先に確認しておきましょう。

まとめ

登記情報提供制度は登記情報を確認するときにとても便利なサービスです。ただし、証明書として使うことはできないため注意が必要です。あくまでも、現在登記されている情報を確認する手段として活用しましょう。