登記内容に誤り発見!「更正登記」をする方法
登記事項証明書を見て、会社の商号(社名)や役員の住所氏名といった登記の内容に間違いがある!と気が付くケースがあります。
そのような場合、登記の内容を更正(訂正)しなければ、誤った情報が公開され続けてしまい、トラブルの原因となります。
ここでは、更正登記の方法などについて解説します。
更正登記とは
更正登記とは、事実とは異なる内容が誤って登記されている場合に、それを正しい内容に訂正する登記のことです。
商業登記法で、「錯誤」(間違い)や「遺漏」(記載漏れ)があるときは、更正登記が申請できることが定められています。
例えば、会社の商号(社名)に用いる漢字を誤って登記してしまった、会社の本店住所(本店所在地)の地番を誤って登記してしまった、というようなケースがあります。
申請した人のミスにより、申請書や添付書類の記載内容に「錯誤または遺漏」があり、誤った内容の登記がされてしまった場合には、更正登記を申請する必要があります。
更正登記ができないケース
更正登記ができるのは、登記を申請した時点で本来登記すべき内容と登記した内容が誤っていた場合です。
登記を申請した時点では誤った内容ではない場合、更正登記ではなく変更登記を行うことになります。
また、たとえば同じ日付で取締役Aの退任と取締役Bの就任を登記するべきであったのに、取締役Aの就任登記のみを申請した場合には、更正登記の申請ではなく、取締役Bの退任登記については新たに変更登記を申請することになります。
同じ日付で就任と退任があったからと言って、両方を同時に申請しないことが錯誤や遺漏があるとは言えないからです。
更正登記完了後の履歴事項全部証明書
更正登記を申請してそれが完了した場合、正しい登記内容が履歴事項全部証明書(会社登記簿謄本)に記載されます。
ただし、誤って記録された登記の内容がはじめからなかったように削除されるわけではありません。
履歴事項全部証明書には、更正する前の誤った登記内容も記載されたうえで、更正登記をした年月日と更正後の正しい内容が記載されます。
更正登記の手順
登記の内容に誤りがあることを発見したときの、更正登記の手順を説明します。
自分のミスなのか法務局のミスなのかを確認
登記の内容に誤りがある場合に、それが自分の申請ミスによるものなのか、法務局の登録ミスによるものなのかを確認する必要があります。自分が申請した登記申請書や添付書類の控えを確認しましょう。
自分のミスによる場合
自分が申請した登記申請書や添付書類の控えを確認し、自分が誤った内容を記載したことが原因で誤った内容の登記がされている場合には、更正登記を申請することが必要です。
例えば、正しい本店住所が「A県B市C町一丁目2番3号」なのに、申請書には「A県B市C町一丁目23番」と記載してしまった、というようなケースです。
自分のミスが原因で誤った内容の登記がされている場合には、更正登記申請を行います。
登記申請書と必要書類を用意して、本店の住所地を管轄する法務局に登記を申請します。申請は、紙の申請書を作成して法務局に持参する方法のほか、郵送による申請、オンラインによる申請の方法も可能です。
法務局のミスによる場合
申請した人のミスではなく、法務局のミスにより誤った内容の登記がされている場合には、法務局が職権(職務上の権限)で更正登記を行います。
例えば、登記を申請した人は申請書にも添付書類にも正しい会社の本店住所の地番を記載していたにもかかわらず、法務局が間違った本店住所の地番を登記したような場合です。
この場合には、更正登記を申請する必要はなく、法務局がみずから登記内容を訂正します。発見した場合、速やかに法務局に連絡するとよいでしょう。
更正登記申請の必要書類
更正登記を申請するときに必要となるのは、「更正登記の申請書」と「錯誤または遺漏があったことを証明する書類」です。
更正登記の申請書
(例)本店の住所に誤りがあった場合
(誤:A県B市C町一丁目23番 正:A県B市C町一丁目2番3号)
以上の誤りがある場合、更正登記の申請書の記載内容は以下のようになります。
【記入時のポイント】
・本店
更正する前の現在登記されている本店住所を記載します。
・登記すべき事項
更正後の正しい本店住所を記載します。
錯誤または遺漏があったことを証明する書類
錯誤または遺漏があったことを証明する書類は、事案によって異なります。
役員の住所や氏名に誤りがある場合、または登記の申請書または添付書類によって錯誤または遺漏が明らかである場合には、「錯誤または遺漏があったことを証明する書類」の提出は不要です。
それ以外の場合には、「錯誤または遺漏があったことを証明する書類」の提出が必要です。
具体的には、会社代表者作成の上申書、株主総会議事録、取締役会議事録などの書類が考えられます。
具体的な書類の内容については、登記を申請する法務局に確認するとよいでしょう。
ここでは、上申書の記載例を紹介します。
ただし、あくまでも一般的な記載例のため、管轄する法務局に事前に上申書の内容やその他に必要な書類があるかなどを確認しましょう。
(例)会社の本店住所の更正登記をする場合
費用
更正登記を申請する場合、登録免許税がかかります。登録免許税は、本店所在地の法務局では2万円、支店所在地の法務局では6,000円です。
まとめ
登記内容に誤りがあることに気づいたら、速やかにそれを正しい内容に更正する必要があります。更正登記の際に必要となる書類の内容は、必ずしも定型的なものではないため、事前に法務局に相談するとよいでしょう。