どちらで資金調達する?補助金と助成金の違い
限りある経営資源で事業を行う中小企業や小規模事業者にとって、事業資金の調達は課題のひとつです。その打開策として、補助金や助成金を利用する会社も多いのではないでしょうか。
そんな補助金と助成金ですが、共通点がある一方、異なる点もあります。今回は、補助金と助成金の違いにスポットをあてて、それぞれの特徴に迫ります。
補助金と助成金の違い
「補助金」と「助成金」はどちらも返済義務がなく、資金調達の“心強い味方”である点で共通しています。その一方、以下に示すような異なる部分もあります。
相違点①:公募・実施する機関
補助金と助成金は実施機関が異なり、補助金は主に経済産業省、助成金は厚生労働省が公募しています。
経済産業省が公募する補助金
省庁名からも想像がつくように、経済産業省が公募する補助金は、生産性向上や創業支援などの産業振興が主な目的です。
経済産業省が管轄する代表的な補助金制度には、次のようなものがあります。
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)
厚生労働省が公募する助成金
その一方、厚生労働省が公募する助成金は、雇用安定や従業員の能力開発などの労働環境改善が目的といえます。
厚生労働省が管轄する代表的な助成金制度には、次のようなものがあります。
- 人材確保等支援助成金
- キャリアアップ助成金
- トライアル雇用助成金
各自治体が公募する補助金や助成金
経済産業省や厚生労働省の他にも、各都道府県が公募する補助金制度や助成金制度もあります。
ただし、「補助金」「助成金」のどちらの名称を用いるかは、都道府県によってまちまちです。例えば、東京都は助成金で、隣接する神奈川県は補助金の名称を用いて公募しています。
その他、県によっては「給付金」という名称を使っていたり、名古屋市や大阪市などの市が公募したりとさまざまです。
公募対象の範囲をここまで広げると、補助金と助成金の差はなくなってしまうので、当記事では「補助金は経済産業省、助成金は厚生労働省」と定義して、違いを述べています。
相違点②:公募期間の差
2つ目の違いは、公募期間です。
補助金の場合、各補助金の公募は基本的に年1回(年に複数回公募するものや、追加公募するものもあります)で、公募の締め切りは公募開始から1カ月程度のものが大半です。申請直前になると、事業計画書の作成や添付書類の準備などの業務に追われることも少なくありません。
一方、助成金は通年で公募しているものがほとんどで、要件を満たしていれば、いつでも申請することができます。
相違点③:難易度と受給額
3つ目の違いは、補助金・助成金の申請から受給に至るまでの難易度です。
補助金の場合、短い公募期間内に申請書類を提出し、書類審査や面接を経て採択に至るのが典型です。採択の倍率が高く、落選するケースも珍しくありません。一方の助成金は、一定の要件を満たせば必ず受給できる仕組みになっています。
この難易度の差が、受給できる金額に表れています。難易度の高い補助金の額は数百万円~数千万円で、なかには億単位の超高額にのぼる一方、助成金は数十万円~100万円ほど。その差は歴然です。
高額の資金調達を狙うなら、補助金に挑戦すべきでしょう。ただし、多くの補助金制度は、まずは自社が資金を投じ、のちに国から補助金が支給される仕組みになっています。最初は自社で資金を工面する必要がある点にはご注意ください。
まとめ
以上の違いから、「補助金は受給のハードルは高いが、その分補助金の額も大きい」「助成金は比較的受給しやすいが、受給額が小さい」ということが読み取れたのではないでしょうか。
資金調達で利用する際は、それぞれの特徴を考慮したうえで、自社に適した補助金・助成金を選ぶことをおすすめします。
なお、補助金と助成金の探し方については、「補助金・助成金の利用を検討する前に!留意点と探し方」の記事をご覧ください。