【雇用調整助成金】コロナ特例が終了へ 令和4年12月以降の最新情報と申請方法をわかりやすく解説
この記事は、令和4年11月2日に厚生労働省が公表した情報をもとに作成しました。雇用調整助成金 (新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)についての最新情報をわかりやすく解説しています。
雇用調整助成金は、新型コロナウイルスの感染状況により、今後も助成内容に変更が生じる可能性があります。最新の情報を確認した上で、雇用調整助成金を申請しましょう。
引用元:雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
雇用調整助成金とは
雇用調整助成金とは、業績悪化により事業を縮小した企業が、従業員を休業させる場合に支払う休業手当の一部を助成する制度です。
雇用調整助成金はもともと存在していた制度ですが、現在は新型コロナウイルスの影響で事業を縮小した事業主に向けて特例措置を実施しています。
この特例措置は、申請方法の簡略化や助成率および上限額の引き上げを行っており、通常の雇用調整助成金よりもメリットが多いことが特徴です。
雇用調整助成金コロナ特例の終了とは
通常の雇用調整助成金よりもメリットの多いコロナ特例ですが、ついに終了することが発表されました(令和4年11月2日に厚生労働省が公表)
従業員の休業日の初日が令和2年4月1日~令和4年11月30日の間である場合は、特例措置の対象になりますが、令和4年12月以降に従業員を休業させた場合は通常の雇用調整助成金の対象になることが決まりました。
なお、令和4年12月から令和5年3月までは経過措置を設けています。
ここでは令和4年12月以降の雇用調整助成金について、令和4年11月30日までのコロナ特例と比較しながら確認していきます。
令和4年12月以降の雇用調整助成金はどうなるの?
令和4年12月以降にコロナを理由に休業し、初めて雇用調整助成金を申請する事業主は以下のとおりの取り扱いになります。
- 通常の雇用調整助成金の対象になる(コロナ特例は利用できない)
- 令和4年12月~令和5年3月までは申請方法の緩和が継続される
ここでは経過措置についてわかりやすく説明します。
助成率と上限額を比較
以下の図の左側が、厚生労働省が公表した雇用調整助成金の助成内容です。
引用 厚生労働省 令和4年12月以降の雇用調整助成金の特例措置等について
令和4年12月以降の雇用調整助成金の特例措置等について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
中小企業では、コロナ特例の期間10分の9(90%)助成された休業手当が、令和4年12月以降は、通常の雇用調整助成金の内容である3分の2(67%)に戻ります。大企業では、4分の3(75%)の助成率が、2分の1(50%)になります。
一方で特に業況が厳しい企業について、令和5年1月までは、一日当たりの上限額を9,000円とする経過措置を設けています。
令和4年12月からはじまる3つの規制措置
令和4年12月からは申請要件が厳しくなります。
ここでは規制措置のポイントを3つ、わかりやすく解説していきます。
1.売上が10%以上低下した事業主が申請できる
今まで雇用調整助成金のコロナ特例を申請したことがある事業主が、令和4年12月以降の経過措置期間に雇用調整助成金を申請する場合は、生産指標の確認が行われます。生産指標の確認とは、わかりやすく言うと売上の確認です。
令和4年11月末までは売上が5%減であれば、申請可能でした。
しかし、令和4年12月からは売上が10%以上低下した会社のみ申請できるようになります。もう少し詳しく説明すると、直近3ヶ月の売上が前年同期と比較して「1月あたり10%以上低下しているか」をチェックします。
そのため、新たにお店をオープンさせてすぐに休業してしまったケースでは、比較可能な前年同期が無いため雇用調整助成金の申請ができません。
2.雇用量要件の確認
令和4年12月からは、休業等を実施する事業所における雇用保険被保険者や、受け入れている派遣労働者数の直近3か月の平均値が、前年同期に比べ5%を超えかつ6名以上(中小企業事業主の場合は10%を超えかつ4名以上)増加していないことが要件となります。
3.支給限度日数の復活
コロナ特例で休業した場合は、通常の雇用調整助成金の支給限度日数(100日)とは別扱いでした。しかし、令和4年12月以降は支給限度日数の取り扱いが復活し、限度日数は100日に戻りました。
令和4年12月以降も実施される3つの緩和措置
令和4年12月以降に新型コロナウイルスを理由に休業し、初めて雇用調整助成金を申請する場合は、令和4年12月1日から令和5年3月31日まで申請要件を3つ緩和しています。
具体的に解説していきます。
1.計画届の提出は不要
通常の雇用調整助成金制度では、休業等の実施前に事前に計画届を提出する必要がありますが、コロナ特例では計画届の提出を不要としていました。令和4年12月以降も計画届の提出はしなくて良いという経過措置が取られることになりました。
2.残業相殺はしない
通常の雇用調整助成金は、従業員が休業する一方で残業した場合は、助成の対象となる時間数から残業時間を差し引いて計算しています。コロナ特例では、この残業相殺制度を停止しており、令和4年12月以降も引き続き残業相殺の停止を行うことが決まりました。
3.短期間休業の要件を緩和
通常の雇用調整助成金制度における短時間休業は、助成金の対象となる労働者全員が一斉に実施することを要件としています。コロナ特例では、全員が一斉に休業しなくても良いことになっており、令和4年12月以降も短時間休業の緩和は継続されます。
令和4年12月以降の申請方法
繰り返しになりますが、令和4年12月以降にコロナを理由に休業し、初めて雇用調整助成金を申請する事業主は、基本的には通常の雇用調整助成金を申請することになります。
ここでは申請先、申請の流れ、必要書類をわかりやすく説明します。
申請先
雇用調整助成金の申請先は以下のとおりです。
- 事業所を管轄する都道府県労働局
- 事業所を管轄するハローワーク
窓口または郵送で受け付けています。
申請の流れ
以下のステップで申請していきます。
- 雇用調整の計画
従業員を「休業・教育訓練・出向」させるための計画を立てましょう。 - 計画届
休業等の計画の内容を記載した計画届を提出します。
ただし、コロナ特例の経過措置として、令和4年12月1日から令和5年3月31日までは、計画届の提出は不要です。 - 雇用調整の実施
計画届のとおりに従業員を休業させましょう。 - 支給申請
雇用調整助成金の申請手続きをします。 - 労働局の審査・支給決定
労働局で審査と支給決定がおこなわれます。 - 支給額振込
指定口座に助成金が振り込まれます。
必要書類
令和4年12月以降にコロナを理由に、初めて雇用調整助成金を申請する場合、通常の雇用調整助成金の対象になります。
通常の雇用調整助成金を申請する場合に必要な書類は、以下のとおりです。
- 支給申請書(休業等)
事業所の住所や助成金の振込先口座などを記入します。 - 助成額算定書
助成額算定書に基づいて助成金が支払われます。 - 休業・教育訓練実績一覧表及び所定外労働等の実施状況に関する申出書
休業および教育訓練をおこなった日を記入します。 - 雇用調整助成金支給申請合意書
労働局が雇用調整助成金の審査の確認を行う場合に、教育訓練実施者が協力する旨を記載した書類です。 - 支給要件確認申立書
過去に不正受給がないか、事業主などが暴力団関係者ではないかを確認する書類です。 - 労働保険料に関する書類
通常の場合は「労働保険確定保険料申告書」を提出し、労働保険関係業務を労働保険事務組合に委託している場合は「労働保険料等算定基礎賃金等の報告」を提出します。 - 労働・休日及び休業・教育訓練の実績に関する書類
タイムカードや賃金台帳などです。 - 教育訓練の受講実績に関する書類
教育訓練を受講したことを証明する書類です。
詳細についてはこちらをご確認ください。
引用
厚生労働省公表 雇用調整助成金 ガイドブック ~雇用維持に努力される事業主の方々へ~
000656127.pdf (mhlw.go.jp)
注意点
申請期限は支給対象期間の末日の翌日から2か月以内です。
例えば、令和4年12月1日~令和4年12月31に休業した場合、申請期限は令和5年2月28日までです。
申請期限を1日でも過ぎると、支給申請できません。
また、郵送で申請する場合は、申請期限までに到達している必要があるため、ご注意ください。
まとめ
雇用調整助成金のコロナ特例は徐々に縮小し、いずれは終了することが予定されています。
事業主の方は雇用調整助成金のコロナ特例が終了することを踏まえて事業計画をたてるようにしましょう。