解雇予告除外認定申請書の書き方(記入例あり)
従業員に重大な違反行為などがあった場合には、労働基準監督署の認定を受けることで、解雇予告や解雇予告手当の支払いをすることなく解雇できます。
今回は、この申請をするための「解雇予告除外認定申請書」の書き方について説明します。
解雇予告除外認定制度の概要
まずは、解雇予告除外認定をどのような場合に申請できるのか、また、認定までの流れなどについて簡単に説明します。
どのような場合に申請できるのか?
解雇予告除外認定の申請は、従業員の解雇が「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となったことによる解雇」であるか「労働者の責に帰すべき事由に基づく解雇」(いわゆる「懲戒解雇」に該当する解雇)である場合に、労働基準監督署に対して行う手続きです。この認定を受けることができれば、文字どおり解雇予告や解雇予告手当の支払いをすることなく解雇できるようになります。
※この記事では、「労働者の責に帰すべき事由に基づく解雇」について説明しています。
なお、労働基準監督署では「労働者の責に帰すべき事由」が、解雇予告制度の保護を与える必要のない程度に重大、または、悪質なものである場合に限って認定すべきとしているため、軽微な事由と判断された場合には認定されません。
認定までの流れと注意点
解雇予告除外認定の申請をすると、労働基準監督署では申請書類の確認だけでなく、該当従業員や会社の担当者から事情聴取も行ったうえで認定するか否かを判断することになっています。このため、結果が出るまでには2~3週間程度の期間がかかります。
申請するうえで注意すべきは、そもそも、該当従業員が労働基準監督署の事情聴取に応じなければ、認定手続きも進まなくなるということです。該当従業員には解雇が自身の重大な違反行為などによるものであることを認めさせたうえで、労働基準監督署にこの申請をすることを説明しておく必要があります。
認定を受けられない場合
労働基準監督署の認定を受けられない場合には、通常の解雇手続きとして、該当従業員に30日前に解雇予告をするか、30日に足らない日数分の解雇予告手当(平均賃金)を支払って解雇することになります。
解雇予告除外認定申請書の記入例・添付書類
解雇予告除外認定申請書とはどのような様式であるのかを記入例で確認いただき、あわせて、一般的に添付しなければならない書類について説明します。
記入例
解雇予告除外認定申請書とは次のような様式になります。記載事項は、会社や該当従業員についての簡単な情報であり、それほど難しいものではありません。
重要なところは、「労働者の責に帰すべき事由」になりますが、一般的には概要のみを記載し、詳細については添付書類の別紙としてまとめます。
添付書類
解雇予告除外認定申請書に添付しなければならない書類は明確に決まっているわけではありませんが(管轄の労働基準監督署によって異なる)、一般的に求められるのは次のような書類です。
この添付書類で、いかに該当従業員の違反行為などを証明できるかが、認定を受けるうえでの重要なポイントになります。
- 「労働者の責に帰すべき事由」を詳細にまとめたもの
- 該当従業員が違反行為などを認める旨を記載したもの
- 該当従業員の労働者名簿、雇用契約書、出勤簿、賃金台帳の写し
- 就業規則の写し(懲戒解雇の規定などを確認するため)
- 社内の懲罰委員会などの議事録 など
まとめ
「労働者の責に帰すべき事由に基づく解雇」について解雇予告除外認定の申請をする場合、認定までに2~3週間程度はかかりますし、場合によっては認定されないこともあります。認定されないような軽微な事由と判断できる場合には、通常の解雇手続き(解雇予告や解雇予告手当の支払い)によって解雇することも検討しましょう。