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書類の書き方

適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届の書き方【記入例あり】

法人の事業所や個人事業主の事業所の引越しなどの際に、年金事務所に提出する書類があります。

社会保険の適用事業所に、事業所名称や所在地の変更があったときは、「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」により、変更を届け出なければなりません。

今回は、この届出書類について、提出時期や書類の書き方などについてわかりやすく解説します。

「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」について

書類の正式名称は「健康保険・厚生年金保険 適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」です。この書類は、事業所の名称や所在地(場所)を変更した際に日本年金機構に届出をする必要があります。

まずは、この書類の提出が必要になる場合と、書類を提出するとどうなるのか?について説明します。さらに、届出の際の添付書類や、提出時期・提出先についても説明します。

提出が必要になる場合

「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」の提出が必要になるのは、書類名のとおり、社会保険が適用されている事業所(本社や支社、工場、支店などの単位)の名称を変更した場合と、所在地を変更(移転)した場合です。
事業所の名称と所在地のどちらか、あるいは、両方の変更があった場合に提出が必要です。

提出するとどうなるのか?

会社が全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入しているのであれば、「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」を提出すると、その内容によって次のように処理されます。
※健康保険組合に加入している場合には、下記の整理によらずその組合の規定によって処理されます。

事業所名称の変更の場合

事業所整理記号が変わり、従業員の保険証(健康保険被保険者証)も変わる場合があります。

事業所所在地の変更によって管轄の年金事務所が変わる場合

事業所整理記号と事業所番号が変わります。

都道府県外への事業所所在地の変更の場合

従業員の保険証が変わり、適用される健康保険料率も変わる場合があります。

※同一都道府県内での事業所所在地の変更については、保険証や健康保険料率が変わることはありません。

なお、保険証が変わる場合には、全国健康保険協会の支部から新しい保険証が送付されてきますので、これまでの保険証は回収して返却する必要があります。

届出の際の添付書類

法人事業所の名称変更および所在地変更の場合

履歴事項全部証明書(登記簿謄本)のコピー
(提出日からさかのぼって90日以内に発行されたもの)

※法人事業所の所在地が登記上の所在地等と異なる場合、賃貸借契約書のコピーなど事業所の所在地が確認できる書類を添付します

個人事業所の所在地変更の場合

事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの)
(提出日からさかのぼって90日以内に発行されたもの)

※個人事業所の所在地が登記上の所在地等と異なる場合、賃貸借契約書のコピーなど事業所の所在地が確認できる書類を添付します

個人事業所の名称変更の場合

公共料金の領収書のコピーなど、名称が確認できる書類

提出時期

事業所名称の変更、事業所所在地の変更から5日以内に届出を行う必要があります。

提出時期・提出先

「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」と上記の添付書類を管轄の事務センターに郵送、または、年金事務所に提出(管轄の年金事務所が変わる場合には、移転前の管轄の事務センターに郵送、または、年金事務所に提出)しなければなりません。

また、郵送と窓口への持ち込み以外に、電子申請での提出も可能です。

※健康保険組合に加入している場合には、その組合にも定められた書類を提出することになります。

適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)の手続き/日本年金機構

適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄外の場合)の手続き/日本年金機構

書類の記入例・記入の際のポイント

「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」の記入例と、記入にあたってのポイントを説明します。

まず、「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」は次のようなA4縦の様式になります。例えば、事業所所在地の変更(管轄の年金事務所が変わる場合)の際には次のように記入します。

記入例

記入にあたってのポイント

記入項目は大きく分けて次の4項目ですが、それぞれの記入にあたってのポイントは次のとおりです。

提出者記入欄

事業所整理記号や事業所番号、また、変更後の事業所所在地、事業所名称、事業主氏名、電話番号を記入します。

変更区分

「1.事業所名称の変更」なのか「2.事業所所在地の変更」なのか、あるいはその両方「3.事業所名称及び事業所所在地の変更」なのかについて、該当する区分を〇で囲みます。

変更前

①事業所名称

事業所名称を変更した場合に、変更前の事業所名称を記入します。

※事業所名称を変更していない場合は記入する必要はありません。

②事業所所在地

事業所所在地を変更した場合に、変更前の事業所所在地を記入します。

※事業所所在地を変更していない場合は記入する必要はありません。

変更後

③変更年月日

事業所名称または事業所所在地を変更した年月日を記入します。

④事業所名称

事業所名称を変更した場合に、変更後の事業所名称を記入します。

※事業所名称を変更していない場合は記入する必要はありません。

⑤事業所所在地

事業所所在地を変更した場合に、変更後の事業所所在地を記入します。

※事業所所在地を変更していない場合は記入する必要はありません。

⑥電話番号

電話番号に変更がある場合に、変更後の電話番号を記入します。

市外局番と市内局番の間、市内局番と加入者番号の間にはハイフンを入れます。
携帯電話の場合はハイフンが不要です。

⑦口座振替の継続 ※管轄の年金事務所が変わる場合に記入

保険料の納付を口座振替(自動引き落とし)としている場合に、今後の口座振替について、「1.継続する」または「2.継続しない」のどちらかを〇で囲みます。

⑧振替口座の変更 ※管轄の年金事務所が変わる場合に記入

上記⑦で「1.継続する」を〇で囲んだ場合に、現在、登録している口座から変更しないのであれば、「1.変更なし」を〇で囲みます。
口座を変更するのであれば、「2.変更あり」 を〇で囲みます。

口座を変更する場合には、あわせて「保険料預金口座振替納付(変更)申出書」の提出が必要になります。

まとめ

「適用事業所 名称/所在地 変更(訂正)届」の提出自体はそれほど手間ではありませんが、この届を提出することにより、従業員の保険証や保険料が変わることがありますので注意が必要です。

また、変更から5日以内の提出が必要ですので、事前に準備しておくとスムーズに手続きを行えます。

事業所の名称や所在地の変更があった場合、基本的には商号(社名)変更登記や本店・支店移転登記なども必要になりますので忘れないようにしましょう。