リーガルメディア > 法務 > 法務その他 > 喫茶店営業許可を申請・取得する方法
法務その他

喫茶店営業許可を申請・取得する方法

喫茶店の営業許可は、食品衛生法に基づき、管轄の保健所に営業許可申請を行う必要があります。許可を取得するためには、施設基準に合致した施設づくり、食品衛生責任者の資格を有する者の設置等が必要です。

こちらでは、許可取得までの流れと営業許可の要件について説明していきます。

喫茶店の営業許可とは

食品衛生法では、細かく営業許可業種が分かれていますが、喫茶店の営業の場合、「飲食店営業」と「喫茶店営業」の2種の業種が考えられます。

言葉だけを見ると、喫茶店の営業を考えているわけですから、当然「喫茶店営業」でいいじゃないかと思われるかもしれませんが、両者には違いがあり、実際に営業を行う内容に合わせて選択する必要があります。

「喫茶店営業」とは、喫茶店やサロンその他設備を設けて酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業のことを指します。基本的に飲物を提供することがメインで、食事は簡単なものの提供に限定されます。簡単な食事とは、多くの保健所が「トースト程度」という表現に留めていますので、いわゆるカフェのように、オムライスやパスタなどの軽食を提供することはできません。

一方「飲食店営業」とは、一般食堂、料理店、すし屋、そば屋、旅館、仕出し屋、弁当屋、レストラン、カフェ、バー、キャバレーその他食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業のことを指します。

食事ができるような一般のお店の大半は、飲食店営業許可を得ているといえます。飲食店営業であれば、コーヒー、紅茶等の飲物はもちろん、オムライスやパスタといった軽食に限らず、調理した食事を提供することができます。

2種の業種に関して迷うような場合は、申請する保健所で確認するようにしてください。

営業許可取得までの流れ

ここからは喫茶店営業許可を取得するまでの流れを説明します。

①保健所に事前相談

店舗を所管する保健所の食品衛生担当へ事前に相談します。この相談は、施設基準に合致しているかなどを確認するために、施設の工事着工前に図面等を持参して行うようにしましょう。

また、衛生的な管理運営のため、施設ごとに食品衛生責任者の設置も必要ですので、必要な資格や講習会の受講の要否を確認します。

②申請書類の提出

施設工事完成予定日の10日くらい前までに必要書類を用意し、管轄の保健所に提出します。必要になる書類については後述します。

③施設検査の打合せ

申請の際、担当者と確認検査の日程等の相談を行います。

④施設完成の確認検査

施設が申請の通り、施設基準に合致しているかを保健所の担当者が確認します。

この確認検査には営業者の立ち会いが必要です。この時、施設基準に適合しない場合は許可になりません。不適事項については、改善を行った後、改めて検査日を決めて再検査を受けてください。

⑤許可書の交付

施設基準適合確認後、営業許可書が交付されます。交付までには数日かかりますので、開店日が決まっている場合は、あらかじめ保健所担当者と打ち合わせておくようにしましょう。

営業許可書の交付には、営業許可書交付予定日のお知らせと認印が必要ですので、お忘れなく。

⑥営業開始

営業開始後は、施設や設備の維持管理、食品の取扱い等にも十分留意して、安全で衛生的な食品の提供を心がけましょう。なお食品衛生責任者の名札を見やすい場所に掲示してください。

営業許可取得の要件

営業許可を取得するには、①施設ごとに食品衛生責任者を配置する、②営業施設・設備の基準を満たすことが必要です。

レアケースとして、貯水槽使用水(タンク水)や井戸水等を使用する場合は水質検査を行う必要がありますが、一般的な水道水を利用する場合には、水質検査は必要ありません。

食品衛生責任者

営業許可業種を問わず、施設ごとに食品衛生責任者を設置することが必要です。
食品衛生責任者となるには、特定の資格を有するか養成講習会を修了する必要があります。

特定の資格とは、調理師、栄養士、製菓衛生師などが代表的な資格です。調理師や栄養士などの資格を有しない方は、食品衛生責任者となるために養成講習会を受講する必要があります。

食品衛生責任者の講習会には、約6時間の講義(テストを含む)と、費用が1万円程(教材費を含む)必要です。平成9年から全国標準化されておりますので、所轄の都道府県以外で受講しても大丈夫です。

営業施設・設備の基準

営業施設・設備には共通基準が設けられており、これらを満たす必要があります。

営業施設の構造、食品取扱設備、給水及び汚物処理に関するものに分けられ、細かく基準が設定されていますので、営業する場所を選定したら、工事などに着工する前に、保健所担当者に相談して、基準を満たすかどうか事前確認しましょう。

また、営業施設や設備の基準には、業種ごとに定められた特定基準もあります。喫茶店の営業に関係する業種として、「飲食店営業」「喫茶店営業」がありますが、この2つの業種には、下記のような設備についての基準があります。

<飲食店営業>

  • 冷蔵設備
  • 洗浄設備
  • 給湯設備
  • 客席
  • 客用便所

<喫茶店営業>

  • 冷蔵設備
  • 客席
  • 客用便所

2つの営業形態で、いずれにも規定されている設備の基準内容は同じです。ですから、洗浄設備と給湯設備について基準のある飲食店営業は、喫茶店営業よりも追加設備が必要ということになります。

費用

営業許可申請にかかる費用は、申請する市区町村によって多少異なりますので、ご注意ください。
また、申請する営業許可が、「飲食店営業」「喫茶店営業」によって、費用も異なります。
たとえば東京都新宿区の場合、営業許可の新規手数料は下記の通りです。

  • 飲食店営業 18,300円
  • 喫茶店営業 11,500円

申請手数料は、市区町村の保健所ごとに異なり、申請する時期によって変更されている場合もありますので、申請前に保健所にご確認ください。

必要書類

  • 営業許可申請書 1通
  • 営業設備の大要・配置図 2通
  • 許可申請手数料
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの(食品衛生責任者手帳等)
  • 水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合)
  • 登記事項証明書・定款のコピー(法人の場合)

<登記事項証明書についての注意点>

法人が喫茶店営業を新しく始めようとする場合、事業目的に、「喫茶店の経営」「飲食店の経営」といった記載が必要です。事業目的の記載内容は、ジャンルまで細かく定める必要はありませんが、これまでの事業が喫茶店営業に該当しない場合は、定款の事業目的の変更(追加)を行い、変更登記をする必要があります。

まとめ

喫茶店の営業許可は、管轄の保健所へ申請して取得する必要があります。申請する営業許可業種は、提供するサービスによって「喫茶店営業」と「飲食店営業」の2種類に分かれます。

2つの業種の違いは、提供する飲食物の差にあります。喫茶店営業は、酒類を除く飲物、菓子や簡単な食事(トースト程度)の提供で、飲食物営業は、お酒もOKですし、基本的に調理した食品等、ほぼすべてをカバーします。申請手数料に差はありますが、今後食品の提供も考えるようでしたら、「飲食店営業」として申請することをお勧めします。

法人の場合は、登記事項証明書の提出も必要で、喫茶店営業に関する事業目的の記載が必要となりますので、ご注意ください。

LegalScriptなら登記書類を簡単作成

事業目的の変更登記は、司法書士等に依頼することも出来ますが、司法書士への報酬が発生します。LegalScript(目的変更)なら、細かい登記の内容を勉強しなくても、登記に必要な書類をオンラインで簡単に作成することができます。

詳しいサービス内容は以下のボタンよりご確認ください。