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取締役は何人必要?人数にルールはある?

株式会社は必ず取締役を置かなければなりませんが、何人の取締役がいればよいのか迷うかもしれません。また、取締役にはいくつかの種類があり、その違いについても知っておきたいところです。

この記事では、会社に必要な取締役の人数や取締役の種類について解説します。

会社に必要な取締役の人数

株式会社には取締役が最低1人いなければなりません。基本的には1人以上いればよいのですが、会社の機関設計、定款の内容によっては人数の上限や下限がある場合があります。

取締役会設置会社は3人以上必要

取締役会を設置している会社の場合、取締役は最低3人必要です。

取締役会設置会社かどうかは、会社の登記事項証明書に記載されています。もし取締役会設置会社で取締役が現在3名の場合、1名が退任するときには後任者を選任する必要があります。

人数の上限は原則なし

取締役の人数の上限は特にありません。大企業などの場合、取締役が10人以上いることもあります。同族会社の場合、家族全員を取締役にしているようなケースもあるでしょう。

定款に記載がある場合は注意

定款で、取締役の人数について定めている場合があります。下限のみ定めて「1名以上」としている場合もあれば、上限を定めて「5名以内」などとしている場合もあります。

定款の内容がどうなっているかは、役員の改選があるときは事前に確認しておきましょう。定款で定めている取締役の人数を変えたい場合には、株主総会の特別決議を行う必要があります。

取締役の種類

一口に取締役といっても、さまざまな役職があります。この取締役の役職は、会社法で規定されているものもあれば、実務上の一般的な呼称として使用されているものもあります。

代表取締役

代表取締役は、会社の代表権を持っている取締役です。取締役の中での最高権力者といえます。

通常、代表取締役が社長となり、「代表取締役社長」となります。ただし、代表取締役が複数名いることもあります。その場合、代表取締役社長のほかに、「代表取締役会長」「代表取締役副社長」などが存在することがあります。

会社法上は、「代表取締役」のみ存在し、「代表取締役社長」「代表取締役会長」は実務上の呼称です。

一般的には、社長を引退した人が「会長」になるケースが多く見られます。

登記されるのは「代表取締役」のみで、社長なのか会長なのかまでは登記事項証明書ではわかりません。

専務取締役

専務取締役は、一般的には社長や副社長の業務を補佐し会社の業務を管理監督する立場です。

会社法上の用語ではないため、登記上は単に取締役となります。副社長がいる場合には、通常は副社長に次ぐ立場となります。

常務取締役

常務取締役は、一般的には会社の業務全般を管理する立場です。

通常は専務よりは下のポジションで、専務に比べて現場での実務に携わる仕事が多い傾向があります。こちらも会社法上の用語ではないため、登記上は単に取締役となります。

取締役

社長や専務などが役職の付いた「役付取締役」であるのに対し、役職のない平の取締役です。役員のメンバーとして取締役会に出席するなどして会社の意思決定に関わります。取締役は株主総会で選任されます。一方、役付取締役は、取締役の中から取締役会または取締役同士の互選で選ばれます。

特別取締役

特別取締役は、会社の重要な財産の処分・譲受及び借財についての決定権を持つ取締役です。この特別取締役を導入できるのは、6名以上の取締役が存在し、そのうち1名以上が社外取締役である会社です。

特別取締役を導入した会社は、その旨の登記をする必要があります。

社外取締役

社外取締役は、社外から起用する取締役のことです。社内の取締役のようにしがらみがないため、客観的な第三者の視点で会社に対し意見することが期待されています。

社外取締役は、自社やグループ会社の役員である者や過去10年間に役員だった者などは就任できません。

まとめ

取締役と一言で言っても、様々な役割、立場を持つ人がいます。そして、登記事項証明書では役付取締役なのかどうかまでは分かりません。取締役を増やすことなどを検討する際には、取締役の種類や役割についても知っておくとよいでしょう。

なお、取締役が就任、退任する際には登記の手続きが必要なので、忘れないように気を付けましょう。Legal Scriptを活用することで、登記に必要な書類を簡単に作成することができます。