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秘密保持契約書で押さえておきたい注意点5つ

秘密保持契約書は、NDAとも呼ばれます。NDAはNon-Disclosure Agreement(非開示契約)の略語です。

他にも「機密保持契約書」「CA(Confidentiality Agreement)」などと呼ばれますが、基本的な内容は、締結した当事者が秘密情報を口外しない約束と、約束を破った時のペナルティを決めるものです。

この契約書を締結する際には、注意しておいたほうがよいポイントがあります。

以下にご説明しますので、もしお手元に秘密保持契約書があれば一緒にご確認ください。

注意点①:秘密情報を明確にする

秘密情報を契約書で明確にすることは、秘密情報ではない商売や創作活動を自由に行うために重要です。

ここで説明のために、少し極端な例をあげます。

「身の回りにあるものがすべて「秘密情報」です。第三者に話しても開示してもいけません」と言われたら、皆さんどう思われますか。

ビジネスも、表現・創作活動も発表してはいけなくなるでしょうし、商談も自由にできません。

以下のように、秘密情報の種類や範囲を明確に記載しましょう。また、例外として扱うものを決めてあるか、決められた情報・範囲が合理的で承諾できるかどうか、なども確認をしましょう。

・甲のXXXXX(製品名)購入に関して乙と行う商談に関連する情報
・~から~までに提出するレポートとこれに関連して甲から提供される情報

注意点②:有効期間はケースに応じて決める

秘密保持契約書の有効期間は5年程度が標準的です。技術情報などの重要情報を保護する場合は、さらに長い期間の有効期間があるか、秘密保持義務が課される期間が20年または永久などと長くなります。

有効期間が長くなればなるほど、秘密情報を管理して開示しないためのコストがかかりますし、商売・創作活動などの自由が制限されてしまいます。

ですので、期間が長すぎないか、承諾できる範囲であるかをチェックすることも重要なポイントになります。

なお、弁護士・医師・公認会計士・税理士などの法律上の守秘義務は、法律上明示した期間はないですが、永久と考えられています。これらの士業の方とNDAを結ぶことはあまり多くないと思いますが、期間を考える上では参考になるでしょう。

注意点③:損害賠償条項をつける

秘密保持契約書には損害賠償条項をつけましょう。これがないと、契約違反の損害賠償がないため心理的なストッパーが利かなかったり、裁判に行って損害賠償の主張がしにくくなったりすることがあります。これでは秘密保持契約書を締結する大半の意味が失われます。

秘密情報が外部に漏えいした場合、損害賠償によって経済的損害があれば回復できることもあります。また、損害賠償条項をつけることで、秘密情報を大事にあつかってもらうことは秘密保持契約書の本質といえるので重要です。

しかし、損害賠償の額を具体的に定めた場合に、秘密情報の内容に比べて高すぎる場合は交渉して下げたり、そもそも締結しなかったりしないと、裁判所でそのまま損害賠償額として認められる可能性があるので注意が必要です。

注意点④:印紙の貼付は不要

秘密保持契約書は課税文書ではありませんので、印紙を貼らなくてよいことを知っておくと、手間が省けます。

注意点⑤:納得のいかない条文は聞く

契約書の条文で不可解な内容があれば、捺印・サインしないのが基本です。契約はあくまでも当事者の間の合意・約束ですので「できないことはできない」と言うことも必要です。そこから商談が進まないなどの不都合があれば、交渉をしましょう。意味の分からないことは、契約相手に質問しましょう。

まとめ

ここまでお読みいただければ、秘密保持契約書の注意すべきポイントは、意外とシンプルだとお思いになるのではないでしょうか。ポイントを踏まえて、納得のいかない契約書の締結は避けることが大切です。