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もう悩まない!定款の目的で使える記載例(小売・飲食編)

定款とは、会社の基本的なルールを定めた書類です。会社を設立する際には、定款を作ることが会社法で義務付けられています。

そして、定款には絶対的記載事項というものが5つあり、その最初に登場するのが目的」(会社の事業目的)です。この目的とは、これから設立する会社が行う事業の内容を指します。実際に事業目的を決める場合、どんな事業目的を記載していいのかわからないとお悩みの方も多いでしょう。

今回は定款の目的を記載する際の注意点と記載例を、小売・飲食業に絞ってご紹介します。

定款の絶対的記載事項とは

定款には絶対記載事項が5つあります。絶対的記載事項が書かれていない場合、定款自体が無効となります。絶対的記載事項は次のとおりです。

  1. 目的
  2. 商号(社名)
  3. 本店所在地
  4. 設立時に出資する財産の価額またはその最低額
  5. 発起人の氏名または名称および住所

また、「発行可能株式総数」についても株式会社の成立時までに必ず定款で定めなければなりません。

絶対的記載事項に対して、相対的記載事項(現物出資、設立費用など)と任意的記載事項(定時株主総会の招集時期など)というものがあります。相対的記載事項とは、記載しなくても定款自体は有効ですが、記載がないとその事項の効力が認められないものをいいます。任意的記載事項は、絶対的記載事項及び相対的記載事項以外の事項です。記載してもしなくてもかまいません。

それでは、絶対的記載事項の最初に登場する「目的」について詳しく見ていきましょう。

定款の「目的」を記載する際の注意点

定款の絶対的記載事項が確認できたら、次はこの記事の本題である「目的」を決めましょう。「目的」とは、会社がどのような事業を行うのか明示するものです。

ここでは事業目的を書く上で、注意していただきたい点について解説します。

1. 事業目的の内容は過不足なく記載する

会社は定款の「目的」に記載していないことは法律上できないことになっています。

目的の記載は最低1つで、上限はありません。しかし、事業目的に記載した目的以外のこと会社の事業としてできないからといって、事業目的を書きぎることはおすすめしません。

事業目的の記載が多すぎると、何を目的としている会社なのかわかりにくくなり、会社の信頼を下げてしまう可能性があるからです。事業目的の記載は、5個~10個程度にとどめ、過不足なく記載しましょう。また、今すぐは行わなくとも、将来的に行う予定がある事業も事業目的に記載することをおすすめします。

2. 適法性、営利性、明確性を満たしておく

事業目的を記載する場合は、次の3つを満たしましょう。

適法性

会社の事業目的は適法なものである必要があります。当然ですが、犯罪を目的とするような違法性のある活動は、事業目的にできません。また、弁護士業など、資格がないとできない業務は有資格者でなければ記載できません。

・営利性

会社は営利を目的とした組織のため、事業目的も営利性のあるものでなくてはなりません。営利を追求しない場合は、会社ではなくNPO法人を作りましょう。

・明確性

目的に記載する用語や全体の意味が、一般の方が見て理解できる必要があります。語句の意味が一般的に理解できない場合は、明確性を満たしていないと判断される場合があります。

事業目的を記載する際は、適法性・営利性・明確性を必ず満たしたものにしましょう。

3. 目的に「前各号に附帯関連する一切の事業」を記載する

事業目的の記載が完了したら、最後に「前各号に附帯関連する一切の事業」という文言を記載しましょう。この言葉を入れることで、定款の目的に記載した事業に関連した事業であればできるようになります。

「許認可の必要な事業」の目的の記載方法

事業のなかには、行政機関の許可や認可(許認可)がないと、その事業を行えないものがあります。例えば、飲食店の場合は「飲食店営業許可」を必要とし、リサイクルショップの場合は「古物許可」を必要とします。

許認可を取得するためには、その許認可に対応する事業目的を定款に記載しなければなりません。事業の内容以外に、根拠となる法律名も記載しなければいけない場合もあります。

例えば、あなたが飲食店を始めたいとお考えなら、定款の事業目的には「飲食店業」や「飲食店の経営」といった目的が記載されていなければなりません。

ただし、事業目的に記載したからといって、必ず許認可が下りるというわけではないのでご注意ください。

許認可が必要な事業を行う場合は、許認可を管轄する行政機関にどのような文言を記載すべきか事前に確認しましょう。

飲食店を開業するためには、「飲食店営業許可」を保健所に申請する必要があります。そして、その許可を得るためには「食品衛生責任者」を必ず1店舗に1名置かなければなりません。

また、小売業では、扱う商品に応じて様々な許認可が必要な場合があります。例えば、食肉を扱うには許可の取得が必要ですし、温度管理等が必要な包装食品の販売をするには届出を行わなければなりません。

このように、小売・飲食業の中には許認可や届出が必要になるものがあるということを覚えておいてください。

許認可や届出が必要になる業種

他にも、許認可や届出が必要になる業種があります。下表にまとめてご紹介します。

業種・業態

必要な許可等

申請先

飲食店、弁当・惣菜販売店、宅配(ピザ・寿司等)

飲食店営業許可

保健所

喫茶店

飲食店営業許可

保健所

 

居酒屋、スナック

 

飲食店営業許可

保健所

深夜酒類提供飲食店営業届出

警察署

リサイクルショップ

古物許可

警察署

質屋

質屋営業許可

警察署

酒類販売業

酒類小売業(卸売業)免許

税務署

20216月の法改正で喫茶店営業許可が廃止となり、喫茶店を開業する場合は、飲食店営業許可の申請が必要となっています。

また居酒屋・スナックに限らず、午前0時を超えて酒類の提供を行う場合は、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要になることも合わせて覚えておくとよいでしょう。

小売・飲食業の定款の目的として使える記載例

ここでは、これから小売業や飲食業を始めようと考えている方のために定款の目的として使える記載例について説明していきます。

小売業の定款の目的として使える記載例

小売業の定款の目的として使える記載例は次のとおりです。

  • インターネット等を利用した通信販売業及び卸売業並びに小売業
  • 食料品及び飲料品の小売業
  • 古物の販売及びリサイクル店の経営
  • 卸売業、小売業、通信販売業及び流通業
  • 酒類の販売・卸売業

飲食業の定款の目的として使える記載例

飲食業の定款の目的として使える記載例は次のとおりです。

  • 飲食店の経営
  • 喫茶店の経営
  • 外食事業展開
  • 飲食店、物販店等各種店舗開発の企画及び経営コンサルティング
  • インターネットを利用できる喫茶室、飲食店の経営

ここで挙げた記載例は、あくまでも一例に過ぎません。事業目的は、それほど細かく定めなくても認められます。例えば、飲食業の場合、和食店、中華料理店、居酒屋などのように店のジャンルを特定するのではなく、「外食事業」などのように総称するのが一般的です。

また、事業目的は1つしか記載できないというわけではありません。数の制限はないため、いくつ記載してもいいのですが、書きすぎても何を目的としている会社なのかわかりにくくなり、信用を失うことにつながりかねません。事業目的の記載は、5個~10個程度にとどめておくと良いでしょう。

まとめ

小売・飲食業を始める際に、定款の目的として使える記載例についてご紹介しました。事業目的は、その会社が何をメインに事業を行っているのかわかるように書くことが大切です。自分がやりたいことを目的の一番目に記載しましょう。そうすることによって、会社の主要な事業が何であるかが対外的にもわかるはずです。

 

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