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【会社設立後の提出書類】⑬労働保険の概算保険料申告書の書き方(記入例あり)

労働者を一人でも雇用すると労働保険の加入義務が生じます。それに伴って、会社が作成・提出しなければならない書類がいくつかあります。「労働保険の概算保険料申告書」もそのひとつです。

保険料率による概算額の算出などが絡むため、作成に少し戸惑う方もいるかもしれません。そこで今回は、労働保険の概算保険料申告書の概要と書き方のポイントなどを説明します。

労働保険の概算保険料申告書の概要

労働保険は、労災保険と雇用保険を総称したものです。労働者を一人でも雇い入れた会社は労働保険の成立手続を行わなければなりません。その手続きの際に提出する書類のひとつが「労働保険の概算保険料申告書」です。

年度更新について

労働保険料は、その年度の見込給与額をもとに算定し、その額を前払いしなれければなりません。これを「年度更新」といいます。そして、年度更新でその年の雇用保険料と労災保険料の概算額を申告するために、概算保険料申告書を提出するのです。

年度更新の詳細は以下の記事で解説していますので、ご参考になさってください。

>労働保険の年度更新申告書の書き方(記入例あり)

提出期限、提出先、提出方法

概算保険料申告書は、保険関係が成立した日(労働者を雇い入れた日)の翌日から50日以内に提出します。

提出先は、所轄の労働基準監督署、所轄の都道府県労働局、日本銀行(代理店、歳入代理店(全国の銀行、信用金庫の本店または支店、郵便局)でも可能)のいずれかになります。

なお、二元適用事業(一般的に農林水産業、建築業等)の場合、労災保険に係る手続は上記の3つのいずれかで構いませんが、雇用保険の手続きは所轄の都道府県労働局、もしくは日本銀行(代理店、歳入代理店でも可能)になります。

提出方法は、窓口持参と郵送の他、電子申請も利用可能です。

成立手続で提出するその他の書類

成立手続では概算保険料申告書の他、次の書類の提出が必要です。

☑保険関係成立届
保険関係が成立した日(労働者を雇い入れた日)の翌日から10日以内に提出

☑雇用保険適用事業所設置届
設置の日の翌日から10日以内

☑雇用保険被保険者資格取得届
資格取得の事実があった日の翌月10日まで

なお、それぞれの書類の提出先は一元適用事業か二元適用事業かによって異なります。

※一元適用事業は二次適用事業(農林水産業、建設業等)を除く事業で、労災保険と雇用保険の保険料の申告・納付を一元的に行うものです。

労働保険の概算保険料申告書の書き方

ここからは労働保険の概算保険料申告書の書き方について説明します。概算保険料申告書は特殊用紙で申請するため、労働基準監督署等で申請書を入手する必要があります。

労働保険料の求め方

労働保険料は、「労働者の賃金総額×保険料率」で算出します。保険料率は、労災保険率と雇用保険率の合計です。

労災保険率は、事業の種類により0.25~8.8%まで区分されています。雇用保険率は、事業の種類に応じて雇用保険率、事業主負担率、被保険者(労働者)負担率が定められています。

記入例とポイント

概算保険料申告書の記入例をもとに、記入するときのポイントをいくつか抜粋して説明します。

労働保険の概算保険料申告書の記入例

①「概算」を丸で囲みます

②関係成立届を提出した際に付与された「労働保険番号」を記入します。

③「常時使用労働者数」「雇用保険被保険者数」「免除対象高年齢労働者数」は、成立届と同じ人数を記入します。

④算定期間内に支払う賃金総額の見込み額を記入します。単位が千円である点に注意してください。なお、1000円未満の端数は切り捨てます。

⑤労災保険の保険料率を記入します。

⑥雇用保険の保険料率を記入します。

⑦労災保険料額と雇用保険料額の合計額を記入します。この欄の金額を支払うことになります。

⑧納付すべき概算保険料が40万円(労災保険または雇用保険に係る保険関係のみ成立している事業は20万円)以上の場合、延納(分割納付)することができます。延納を希望する場合は、この欄に納付回数を記入します。

延納は、保険関係成立の日が4月1日~5月31日は3回、6月1日~9月30日は2回まで可能です。10月1日以降の場合、延納は認められません。

⑨法人番号を記入します。

⑩⑦で記入した支払額を記入します。「¥」マークではない点に要注意です。

まとめ

業種によって保険料率が変わるなど戸惑う箇所が少しあるかもしれませんが、決して難しいものではありません。また、労働保険の概算保険料申告書は、労働保険の成立関係届の提出後、もしくは同時に提出します。成立関係届の提出前には提出できない点にご注意ください。