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合同会社の本店移転登記を自分で行う方法

日本国内のすべての合同会社は、自社の本店所在地を法務局で登記し、一般向けに公開しなくてはなりません。

もし、会社の本店を移転した場合には、原則、移転した日の翌日から2週間以内に、管轄法務局へ本店移転登記の手続きを完了する必要があります。

登記手続きは司法書士などの専門家に代行を依頼できますが、本店移転登記の手続きはそれほど複雑ではないので、未経験でも自力で行うことは可能です。

本記事では、合同会社の本店移転登記を行う際の手続きを解説します。

本店移転登記の手続きの流れ

本店移転登記の手続きは、次の3つの段階に分けられます。

①社内の手続き   :出資者が決議を行います。
②法務局での手続き :登記の手続きを行います。
③移転登記後の手続き:法務局以外の各役所へ届出を行います。

それぞれの内容について、順番に見ていきましょう。

①社内の手続き

社内の手続きとは、本店の移転先や移転日程について社内で正式に決定することをいいます。

株式会社の場合は株主総会決議が必要ですが、合同会社の場合は「総社員の同意」で本店移転を行うことができます。

なお、本店移転にともなって定款変更を必要としない場合には、「過半数の社員の同意」で足ります。なお、ここでいう「社員」とは出資者のことで、従業員は含みません。

社内での決議については、適正に手続きが完了した旨を記した議事録を作成する必要があります。

②法務局での手続き

法務局での手続きは、本店移転がもとの法務局の管轄内で行われる場合と、もとの法務局の管轄外に出て行く場合とで、その方法が異なります。

ここでは前者を「a.管轄内での本店移転」、後者を「b.管轄外への本店移転」と分けて説明いたします。

法人の管轄範囲については、法務局のホームページで確認できます。

なお、自力で法務局の手続きを行う際には、事前に登記相談の連絡をしておくと良いでしょう。窓口職員の方が書類作成や必要書類を指示してくれます。

a.管轄内での本店移転の場合

もとの法務局の管轄内での本店移転の場合は、法務局に対して「合同会社本店移転登記申請書」を提出することで手続きが完了します。

この申請書には「総社員の同意(定款変更が必要ない場合は過半数の同意)」が得られた旨を記した議事録を添付する必要があります。

この場合に必要な費用は登録免許税の3万円です。

収入印紙貼付台紙に収入印紙を貼り付けて納付しましょう。

b.管轄外への本店移転の場合

一方で、もとの法務局の管轄外に本店移転する場合には、「合同会社本店移転登記申請書」を新旧両法務局用の2通作成し、もとの法務局に対してまとめて提出します。

議事録は旧法務局に対してのみ添付すれば足りますので、1通だけ添付すれば問題ありません。

この場合、新旧両方の法務局に対して登録免許税を納めなくてはなりませんので、費用として6万円が必要となります。

管轄外に本店移転した場合、必然的に定款内容が変更されていますので、移転後の新しい登記簿謄本や印鑑カードを取得しておきましょう。

③移転登記後の手続き

法務局での本店移転登記が完了したら、その他の役所への手続きもまとめてやっておきましょう。

ここで届出が必要となるのは以下のようなものです。

  • 税務署:「納税地の異動に関する届出」と、「給与支払事務所等の開設移転廃止の届出」
  • 労働基準監督署:「労働保険名称所在地等変更届」
  • 職業安定所(ハローワーク):「雇用保険事業主事業所各種変更届」
  • 年金事務所:「適用事業所名称・所在地変更(訂正)届」
  • 都道府県税事務所:「法人の名称変更等の報告書」
  • 市区町村役場:「法人の設立(設置)変更等申告書」

その他、金融機関や取引先への本店移転の連絡も忘れずに行いましょう。これらは法務局での登記手続きと異なり、費用などは発生しません。

本店移転登記を忘れたらどうなる?

もし、合同会社の本店移転をした後に、法務局で本店移転登記を行わなかったとしたらどうなるでしょうか。

本店所在地など、会社の登記事項に変更が生じた場合には、その変更の日から2週間以内に登記変更の手続きを行う義務があります(会社法第915条第1項)。

もしこの義務を怠った場合には、最大で100万円の過料を課せられる可能性があります。

ただし、実際に100万円もの過料が課せられるというケースはまれで、高くても10万円以内の金額となることが多いようです。本店移転から何年ぐらい放置していたかなどの事情によって、実際に課せられる過料の金額は上下します。

いずれにせよ無意味な出費を避けるために、本店移転を行ったら速やかに移転登記の手続きを完了するようにしましょう。

本店移転登記とともに定款変更が必要になる場合

会社の本店を移転する場合、前述した本店移転登記手続きとは別に、定款変更の手続きが必要となるケースがあります。

定款に記載している本店所在地が市区町村までで、本店移転が同じ市区町村で行われるような時には、定款変更は必要ありません。

例えば、定款の記載を「当会社は本店を大阪市に置く」としている場合に、本店を「大阪市北区」から「大阪市中央区」に変更した場合には、定款内容を変更する必要がありません。

市区町村をまたぐ場合は登記変更が必要

一方で、上のケースで本店を奈良市に移転したとすると、定款の内容に変更が生じますので、定款変更の手続きが必要です。

定款に記載する本店所在地は最低でも市区町村までの住所となりますから、市区町村をまたいで本店移転を行う場合には、定款変更も必要となります。

社長の自宅を本店にしている場合

また、社長の自宅を会社の本店所在地としているような場合には、当然ながら本店移転によって代表者住所に変更が生じます。

会社代表者の住所は番地までが定款記載事項となっていますので、この場合にも会社の本店移転登記とともに定款変更が必要になります。

資本金1億円以下の会社の場合、代表者住所の変更には1万円の登録免許税がかかります(資本金1億円超の場合は3万円)。

本店移転で商号の変更が必要な場合もある

会社の商号は、一つの市区町村の中で同じものを用いることができません(逆にいうと、市区町村が別である場合には、商号は同じでも問題ありません)。

同一の市区町村内で類似の商号を使って営業活動を行った場合、商号使用の差止請求や損害賠償請求を受ける可能性がありますので、注意が必要です。

本店移転先の市区町村に自社と同じ商号の会社が存在している場合には、会社の商号変更をしなくてはなりません。

本店移転先を検討する際には、自社と同じ商号を使っている会社が別にないかを確認しておく必要があります。

合同会社の本店移転登記は専門家に依頼すべき?

今回は、合同会社の本店移転登記を自力で行いたいという方向けに、手続きの具体的進め方を解説いたしました。本文でも見たように、本店移転登記の手続きはそれほど難しいものではありませんので、経験がない方でも自力で行うことは決して不可能ではありません。

法務局の窓口担当者の方に相談しながら手続きを進めることも可能ですから、不安な方は相談予約をした上で法務局に行くと良いでしょう。

一方で、司法書士などの専門家に本店移転登記の手続代行を依頼することも可能です。専門家に依頼すれば、議事録作成や登記手続きをおまかせできますから、時間のない方は専門家に依頼することも一手でしょう。なお、司法書士に支払う費用は3〜4万円程度が相場です。

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