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【本店移転】登記しないとどうなる?弊害は?

会社の本店所在地を変更した場合には、本店移転登記をしなければなりません。

今回は、この本店移転登記を怠るとどうなるのか、また、適正に本店移転登記をするためにはどのような手順を踏む必要があるのかについて解説していきます。

本店移転登記を怠るとどうなるのか?

会社の本店所在地を変更した場合には、法務局で本店移転登記をしなければなりません。

これを行わないと、罰則が適用される可能性がありますし、登記簿と実際の本店所在地が異なることで対外的な弊害も出てきます。

罰則として過料の納付を命じられる

本店移転登記に限りませんが、会社法で求められている登記の申請を期限までに行わないと、罰則として100万円以下の過料(罰金のようなもの)の納付を命じられることになっています。

※本店移転登記の申請期限は、原則として本店を移転した日の翌日から起算して2週間以内です。

ただし、実務上は数日程度の遅れであれば、過料の納付を命じられることはまずありません。一般的には、登記をしないまま放置している期間が数か月以上にわたっているような場合に、裁判所がその期間などを考慮して過料の額を決定することになります。

登記簿と実際の本店所在地が異なることで弊害も

今の時代は、これまで以上にコンプライアンスが重視されています。仮に、登記簿と実際の本店所在地が異なっていることが対外的にわかれば、社会的な信用を失って、取引先との関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、会社が新たに取引を開始する場合には、一般的にその相手方の商業登記簿や不動産登記簿、決算書類などから情報を収集し、信用調査を行います。このような登記簿の性質を考えても、登記簿は常に最新の情報に更新しておかなければならないものであると言えます。

本店移転登記の申請までの流れ

本店移転登記を適正に行うためには、その手順を知っておかなければなりません。

株式会社の場合、本店移転登記の申請までの流れは次のとおりです。

本店移転についての決議

取締役会を設置している会社では取締役会で、取締役会を設置していない会社では取締役が集まって、本店の移転や移転先の住所・移転日について決議することになります。

定款変更

定款には、本店所在地を記載(最小行政区画である市区町村まででも可)することになっていますので、本店を移転するにあたり、多くの場合に定款の本店所在地を変更しなければなりません。定款を変更するためには、株主総会での特別決議が必要になります。

本店を移転する場合の定款変更については以下の記事で詳しく解説しています。

> 本店移転したら必ず定款変更?確認すべきポイントを解説

本店移転登記の申請

本店移転登記の申請に必要な書類やその提出先、申請期限、費用は次のとおりです。

おもな必要書類

本店移転登記の申請には、おもに下表の書類が必要になります。

書類名注意点
株式会社本店移転登記申請書

これまで手続きを行ってきた法務局の管轄外に移転する場合には、移転前の管轄法務局宛ての申請書と移転後の管轄法務局宛ての申請書が必要です。

株主総会議事録・株主リスト

定款変更をした場合(株主総会で特別決議を行った場合)に必要です。

取締役会議事録

取締役会を設置している会社である場合に必要です。

取締役の決定書

取締役会を設置していない会社である場合に必要です。

印鑑届書

これまで手続きを行ってきた法務局の管轄外に移転する場合に必要になります。

本店移転登記に必要な書類などについては以下の記事で詳しく解説しています。

> 株式会社の本店移転登記に必要な書類は?(記入例あり)

提出先

上記の必要書類は、これまで手続きを行ってきた法務局に提出します。これは、これまでの法務局の管轄外に移転した場合も同様です(移転後の管轄法務局宛ての書類は回送されます)。

申請期限

本店移転登記の申請期限は、最初にも少し説明しましたが、原則として実際に本店を移転した日の翌日から起算して2週間以内です。

ただし、本店を移転したあとに取締役会などで移転の決議をしたときは、申請期限は決議をした日の翌日から起算して2週間以内になります。

本店移転登記の申請期限の考え方は以下の記事で詳しく解説しています。

>本店移転登記の申請期限はいつまで?起算日は?

費用

本店移転登記の申請に限りませんが、各種変更登記の申請には登録免許税というものがかかります。

本店移転登記の申請にかかる登録免許税額は、これまで手続きを行ってきた法務局の管轄内での移転の場合には3万円、管轄外への移転の場合には6万円(3万円×2)です。

また、申請手続きを司法書士に依頼する場合には、上記の登録免許税のほか、報酬の支払いが必要になります。

本店移転登記に必要な費用については以下の記事でも詳しく解説しています。

> 本店移転登記に必要な費用は? 手続き別に金額算出

まとめ

本店所在地を変更した場合に本店移転登記をすることは、会社法上の義務であり、必ず行わなければなりません。

本店移転登記を含め、会社法で求められている登記をしない場合には、罰則として過料の納付を命じられる可能性があり、また、社会的な信用も失いかねませんので注意しましょう。

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