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商標は登録すべき?3つのメリットとデメリット

この記事では、「商標登録するメリットとデメリット」について詳しく解説します。

商標登録をするメリット

登録した商標を独占的に使用することができる

商標登録をしておけば、登録時に自らが指定した商品およびサービスについて、その商標を独占的に使用することができます。その商標が、他人によって権利がおさえられることもなくなるので、安心して使用することができます。

日本において商標登録は、先に商標登録出願をしたものを権利者とする主義(先願主義)をとっておりますので、商標登録を受けようとする場合には、他人より先んじて商標出願の申請を特許庁へ行う必要があります。

他人による使用を禁止することができる

商標権者は、自己の登録商標を無断で使用している他人、またはそのおそれのあるものに対して、その使用の停止を請求(差止請求)することができます。

具体的には、商品に付された商標の削除や、商標刻印に用いられる金型の廃棄などを請求することができます。

ここで、他人による使用を禁止できる範囲として、“同一商標”のみならず、“その商標に類似する商標(類似商標)”も含まれます。他人が類似範囲の商標を使用することによって、商品の出所を混同してしまうおそれがあるからです。

二つの商標が類似か否かの判断は、それら商標の「見た目(外観)」、「呼び方(称呼)」および「知覚でとらえられる観念(観念)」を比べて総合的に判断されます。

商標権のライセンスによる対価を享受できる

登録した商標は、その権利を他人へ譲渡したり、ライセンス(使用許諾)を与えたりすることができます。その際、商標権者はライセンスの対価として使用料を受け取ることで、商標権者としての利益を享受することができます。

商標登録をするデメリット

コストがかかる

商標登録をするためには、登録を受けたい商標の内容を記載した書面を特許庁へ提出(商標登録出願)し、特許庁による審査をクリアする必要があります。

商標登録出願の際には、特許庁へ商標登録出願費用を支払う必要があり、金額は「3,400円+商品、サービスの区分数×8,600円」になります。

また審査をクリアした後、商標登録を受けるために登録料(区分数×28,200円)を支払う必要があり、さらに登録された商標を維持しつづけるためには、定期的に更新登録申請登録料(区分数×38,800円)を支払わなければなりません。

なお、登録料および更新登録申請登録料に関しては、分割納付が認められています。短サイクルの商品や使用意思のなくなった登録商標については、後半分の支払いを行わないことで経済的な負担を軽減させることができます。

商標登録出願手続き、審査対応

商標を登録するためには特許庁へ商標登録出願を行わなければなりません。出願の願書には「商標登録を受けようとする商標」「指定する商品・サービスおよび区分」を記載し、必要な書面を添付します。

また、特許庁の審査において、所定の要件を満たさない場合は拒絶すべき旨の査定がなされ、出願人はその拒絶を解消するための意見書を提出しなければなりません。これら書類作成等の手続負担が挙げられます。

商標権の維持管理

いったんは登録された商標であっても、その後の不使用や不正使用、また所定の登録要件を満たさなくなった商標については、他人からの取消要求によって商標権が抹消してしまいます。商標権を抹消させないようにするために、登録商標を使用し続けること、適性に使用することなどの適切な管理が必要で、商標権者のマネジメントに負担がかかります。

まとめ

今回の記事では「商標登録のメリットとデメリット」について説明しました。商標登録には、商標を使用する権利を占有し、他人の使用を制限できるという観点で大きなメリットがある一方で、書類の作成やコストの負担および維持管理などにおけるデメリットも挙げられます。本記事が商標登録を行う必要性について考えるきっかけになれば幸いです。