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労務の手続き

労務の手続き⑬~事業所を閉鎖した時~

赤字経営が続き、回復の見込みが立たなくなると、やむを得ず会社を解散しなければならないこともあります。

会社を解散して事業所を閉鎖することになると、社会保険・労働保険の廃止手続きが必要になります。また、会社はたたまなくても、事業を縮小して一部の事業所を廃止する場合でも、事業所の廃止手続きが必要です。

そこで、今回では、事業所を閉鎖した時の労務の手続きについて解説します。

事業所を閉鎖した時の社会保険の手続き

事業所を廃止した場合、その事業所に健康保険及び厚生年金保険(社会保険)の被保険者が1人でもいる場合には、「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」と退職者全員分の「被保険者資格喪失届」を、被保険者が全員退職した日から起算して5日以内に、管轄の年金事務所へ提出する必要があります。

健康保険・厚生年金保険 適用事業所全喪届の添付書類

適用事業所全喪届には、以下の書面を添える必要があります。

1.以下のいずれか
・解散登記の記入がある法人登記簿謄本のコピー
・雇用保険適用事業所廃止届(事業主控え)のコピー

2. 1の添付ができない場合は、以下のいずれか
・給与支払事務所等の廃止届のコピー
・合併、解散、休業等異動事項の記載のある法人税、消費税異動届のコピー
・休業等の確認ができる情報誌、新聞等のコピー
・その他、適用事業所に該当しなくなったことを確認できる書類

健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届の添付書類

資格喪失届には、被保険者全員の健康保険証とその扶養家族の被扶養者証を添える必要があります。もし、紛失等によって保険証を添えることができない場合には、保険証の代わりに、「健康保険被保険者証回収不能届」を添付します。

事業所を閉鎖した時の労働保険の手続き

閉鎖した事業所に雇用保険の被保険者がいた場合、「雇用保険適用事業廃止届」を、事業所を廃止した日の翌日から起算して10日以内に、管轄のハローワークに提出する必要があります。この廃止届には、退職した被保険者ごとの「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」を添える必要があります。

事業所を廃止するにあたり、被保険者を事業主の他の事業所に転勤させる場合には、被保険者資格喪失届と離職証明書は廃止届に添える必要はありません。その代わりに、「雇用保険被保険者転勤届」を転勤先のハローワークに提出します。

離職証明書の作成・提出について

従業員が退職し、転職先が決まっていない場合は、原則として、退職後にハローワークから基本手当(失業保険)を受けるための書類である離職証明書を作成しなければなりません。離職証明書は、3枚複写になっていて、1枚目が事業主控え、2枚目がハローワーク提出用、3枚目が退職者交付用となっています。

離職証明書の3枚目である退職者交付用を離職票と言います。59歳以上の退職者には、必ず、離職票を交付する必要があります。59歳未満の退職者には、希望する場合のみ、離職票を交付し、退職者が希望しない場合には、交付する必要はありません。

離職証明書は、退職日の翌日から起算して10日以内(雇用保険資格喪失届の提出期限と同じ)に、ハローワークに提出する必要があります。事業所を廃止した場合には、原則として、退職者全員分の離職証明書を作成する必要があります。

離職証明書は、ハローワークでの確認が終わると、1枚目と3枚目が返却されますので、1枚目は会社に保管しておき、3枚目は離職票として、退職者に交付します。

労働保険料の確定申告について

事業を廃止した場合には、事業を廃止した日の翌日から起算して50日以内に、「労働保険確定保険料申告書」を管轄の労働基準監督署や都道府県労働局、金融機関等に提出します。保険年度の途中で事業を廃止した場合には、概算保険料よりも確定保険料が少ないケースがありますが、その場合には、「労働保険料還付請求書」も併せて提出します。

労災保険について

労災保険の方は、事業を廃止した場合に、行政庁に事業所の廃止届などを提出する必要はなく、労働保険料の清算を行えば済みます。

労災保険と雇用保険を一枚の申告書で行う一元適用事業の場合(大半の事業は一元適用事業です)には、労働保険料の清算手続きを一度に行うことができますが、労災保険と雇用保険の手続きを別々に行う二元適用事業の場合には、労災保険及び雇用保険それぞれについて保険料の清算を行う必要があります。

事務所閉鎖前に従業員に対して行う手続き

事業廃止により従業員を退職させるためには、事業を廃止する日(退職日)の少なくとも30日前に従業員に解雇予告通知を行うか、30日前に予告をしない場合には、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。この手続きを忘れてしまうと、退職した従業員とトラブルになるおそれもあるので、十分に注意が必要です。

予告日数は、平均賃金の支払い額に応じて、日数を短縮できるとしています。例えば、15日分の平均賃金を支払えば、退職日の15日前に予告をすることができます。

会社が天災によって存続できないほどの被害を受けた場合には、30日分の平均賃金を支払うことなく、即時解雇することが可能です。この場合には、事情を説明して労働基準監督署から解雇予告除外認定を受ける必要があります。

まとめ

事業を廃止した場合の労務の手続きで気をつけないといけないのは、従業員を退職させる際の手続きです。この手続きを法令に従って慎重に行わないと、後にトラブルに発展することがありますし、仮に、トラブルにならなかったとしても、手抜かりがあると、退職者に悪い印象を残し、また、事業主側にも、嫌な感情が長く残ります。

社会保険や労働保険の事業所の廃止手続きや、被保険者資格の喪失手続きは、多少の難しさはありますが、書類のやり取りで終わりますし、社会保険労務士などの専門家に依頼することも可能です。

しかし、従業員の退職に関する手続きの方は、退職者の方の退職後の生活に対する配慮を欠いた場合、深刻な問題に発展するケースが多いので、気をつけなくてはなりません。

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