解雇予告手当支払通知書の書き方(記入例あり)
解雇予告手当支払通知書とは、従業員を解雇するときに解雇予告手当の額などをその従業員に通知するためのものです。
今回は、この解雇予告手当支払通知書の概要と書き方について説明します。
解雇予告手当支払通知書とは
解雇予告手当支払通知書の書き方について説明する前に、まずは、解雇予告手当や解雇予告手当支払通知書がどのようなものであるのかについて簡単に説明します。
そもそも解雇予告手当とは
従業員を解雇するためには、次のいずれかの手続きを行う必要があります。
①30日前までに解雇予告をする。
②29日前から1日前までに解雇予告をし、30日に足らない日数分の平均賃金を支払う。
③解雇予告をせず、解雇する日に30日分以上の平均賃金を支払う。
上記②、③の「平均賃金」(直近3か月の給与の総支給額÷暦日数)が「解雇予告手当」であり、その額などを解雇する従業員に通知する書類が「解雇予告手当支払通知書」になります。
なお、この解雇予告手当は税法上、退職金と同じ扱いであり、所得税と住民税がかかることに注意しなければなりません。
解雇する従業員から「退職所得の受給に関する申告書」の提出があれば、源泉徴収が必要になることは少ない(退職所得控除の適用が可能)と言えますが、「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなければ、一定割合の額を源泉徴収しなければなりません。
解雇の手続きについては以下の記事で詳しく解説しています。
>【従業員の解雇】労務の手続きは?解雇できないケースは?
トラブルを防止するための書類
解雇予告手当支払通知書は、解雇予告通知書と同様に労働基準法で作成・通知することが義務付けられている書類ではありません。
それでも、一般的にこれらの書類を作成することになっているのは、解雇する従業員とのトラブルを可能な限り防止するためです。
解雇された従業員は、解雇そのものの無効や、解雇手続きの違法性を主張することがありますので、適正な手続きを経た解雇であることを書面に残しておく必要があるということです。
受領確認書もとっておく必要がある
解雇する従業員には、解雇予告手当支払通知書とあわせて「受領確認書」を渡し、署名・押印してもらう必要があります。
解雇予告手当を現金で手渡しする場合には、その場で署名・押印してもらい、銀行振込の場合には、回収不可能になることも想定しつつ、入金確認後に郵送してもらうように伝えます。
解雇予告手当支払通知書の書き方
解雇予告手当支払通知書は、記載する内容で分類すれば、解雇予告をせずに30日分解雇予告手当を支払う場合(即時解雇)と、解雇予告と1日分~29日分の解雇予告手当の支払いを併用する場合の2種類に分けられます。
この2種類の記入例を挙げて、何を記載すべきかについて説明します。
解雇予告をせず30日分の解雇予告手当を支払う場合
いわゆる即時解雇の場合ですが、この場合の解雇予告手当支払通知書は次のようなものになります。
「解雇予告手当支払通知書」ではなく「解雇通知書」などとする会社もあります。
解雇予告をせずにその日に解雇するため、一般的には解雇理由も記載すべきであり、加えて、解雇予告手当の額や支払日、支払方法、計算方法などを記載します。
具体的な計算方法については記載しない会社もありますが、トラブルを避けるためにも明確にしておくべきです。
なお、この記入例は、源泉徴収の必要がない場合のものですが、源泉徴収の必要がある場合にはその額を反映させなければなりません。
解雇予告と解雇予告手当の支払いを併用する場合
この場合の解雇予告手当支払通知書は次のようなものになります。
別に作成・通知する解雇予告通知書の中で解雇予告手当の額なども記載する(解雇予告手当支払通知書は作成しない)会社もあります。
記載すべき事項および注意点は、即時解雇の場合とほぼ同様(解雇理由は解雇予告通知書に記載)です。
まとめ
解雇予告手当支払通知書は、法律で作成・通知することが義務付けられている書類ではありませんが、後々のトラブルも想定して、解雇する従業員には必ず渡しておきましょう。
また、解雇予告手当を支払ったことが証明できるように、受領確認書をとっておくことも重要です。