印鑑(改印)届書の書き方と手続きの流れ(記入例あり)
代表取締役が1人の会社で代表取締役が退任し、新たな代表取締役が就任したら会社実印(会社が登記所に登録している印鑑、代表者印)を変更する必要があります。その際に提出する書面が「印鑑(改印)届書」です
この記事では、印鑑(改印)届書の記入例を踏まえながら、書き方と手続きの流れについて説明します。
印鑑(改印)届書の概要
「印鑑(改印)届書」とは、会社実印を変更する際に法務局(登記所)に提出する書面のことです。
記入事項がさほど多くなく、添付書類も少ないので、会社関係の届出書類の中では比較的簡単な部類に入ります。したがって、司法書士などの専門家に依頼しなくても、会社代表者の方が自分で作成することは十分可能です。
印鑑(改印)届書の記入例
次の画像は、印鑑提出者本人が申請する場合の印鑑(改印)届書の記入例です。
【記入上のポイント】
①新たに登録する会社実印を押印します
②会社法人等番号がわかる場合は記入します
③前任者の印鑑カードを引き継ぐか引き継がないかを選びます
④印鑑提出者(代表者)の住所氏名を明記します
⑤印鑑提出者(代表者)が市区町村役場に登録している個人実印を押印します
印鑑(改印)届書の様式は、法務局のホームページでダウンロードできます。また、法務局の窓口にも備え付けてあります。
外部サイト:法務局『登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式』 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-2.html
印鑑(改印)届書には、新たに届け出る会社実印と、印鑑提出者が市区町村役場に登録している個人実印を押印するので、 事前に2つの印鑑を用意します。
印鑑(改印)届書を代理人が提出する場合の記入例
印鑑(改印)届書は司法書士などの代理人よって法務局に提出することも可能です。その場合は書き方が少し異なります。
【作成上のポイント】
①届出人は「代理人」にレ点チェックを入れ、その下の欄には代理人の住所と氏名を記入します
②代理人個人の印鑑(認印可)を押印します
③委任状の欄には会社代表者の個人実印を押印します
作成する際は、押印に使用する印鑑を取り違えないように注意を払うことが大切です。
会社実印の改印手続きの流れ
会社実印の変更は、次の手順で行います。
- 新たな会社実印の作成
- 必要書類の用意
- 法務局に提出
順を追ってそれぞれのポイントを解説します。
手順①:新たな会社実印の作成
新たに届け出る会社の実印は、はんこ屋さんなどに注文してあらかじめ作ってもらいます。
なお、法務局の規則で、会社の実印として登録できる印鑑は、次のようなものであってはならないことになっています。
- 辺の長さが1㎝の正方形に収まるもの
- 辺の長さが3㎝の正方形に収まらないもの
したがって、新たに登録する会社実印は、小さすぎず大きすぎず、適切な大きさのものである必要があります。
手順②:必要書類の用意
改印手続きで必要な書類は、印鑑(改印)届書と印鑑届出者個人の印鑑証明書です。
印鑑(改印)届書は先ほどの記入例を参考にして作成しましょう。また、印鑑届出者の印鑑証明書は、印鑑届出者の住所の市町村役場の窓口などで入手します。
手順③:法務局に提出
提出先は、会社の本店所在地を管轄する法務局です。提出方法は、窓口に提出する方法が一般的ですが、郵送でも可能です。
※代表取締役の変更に伴って会社実印を変更する場合は、役員変更登記の申請も同時に行うのが通常です。
なお、本店所在地を管轄する法務局を調べる方法は、以下の記事で紹介しています。
参考記事:登記の申請先はどこ?管轄法務局の調べ方
印鑑(改印)届書の提出費用
印鑑(改印)届書の提出にかかる手数料は無料です。
ただし、役員変更登記を同時に申請する場合は、変更登記の手数料(登録免許税1万円もしくは3万円)が発生します。代表取締役の変更登記については、以下の記事で紹介しています。
参考記事:【代表取締役の変更】登記は必須!手続きと必要書類は?
会社代表者の住所変更手続きが必要になる場合
印鑑(改印)届書には、会社代表者個人の印鑑証明書を添付する必要がありますが、その印鑑証明書に記載されている会社代表者の住所と、会社の登記簿上の会社代表者の住所が一致しない場合には、印鑑(改印)届書の提出前または提出と同時に、会社代表者(代表取締役)の住所変更登記を行う必要があります。
会社代表者の住所変更届に係る登録免許税は、資本金1億円以下の場合は1件につき1万円、資本金が1億円を超える会社は1件につき3万円です。なお、当該登記の申請を司法書士に依頼する場合は、司法書士への支払報酬が別途必要になります。
会社の登記簿に記載されている会社代表者の住所と、印鑑(改印)届書に添付する会社代表者個人の印鑑証明書に記載されている会社代表者の住所が異なる場合、そのままでは、改印届を法務局で受け取ってくれません。当該ケースでは、必ず、会社登記簿の会社代表者の住所変更届と改印届をセットで行う必要があります。
まとめ
以上が印鑑(改印)届書の書き方と手続きの流れです。印鑑(改印)届書自体の作成は比較的容易に作成できると思います。
ところが、役員変更登記などの別の登記申請が加わると、わずらわしく感じてしまうかもしれません。そんな時におすすめしたいサービスが、登記書類を自動作成できる「LegalScript(役員変更登記)」です。
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