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原始定款、現行定款って何?作成と原本証明の方法も解説

一口に定款と言っても、「原始定款」と「現行定款」があるのをご存知でしょうか。それぞれ作成手順が異なります。この記事では、原始定款、現行定款の違いや作成方法、原本証明の方法について解説します。

原始定款とは

すべての会社は、会社の基本的なルールを定めた定款を作成しなければなりません。会社の設立をするためには、定款の作成が必須です。

そして、会社設立時に作成する一番初めの定款を「原始定款」と呼びます。株式会社の場合、原始定款は公証役場で認証を受ける必要があります。

一方、合同会社等の場合は認証を受ける必要はありません。

現行定款とは

会社の定款の内容は、会社の設立後は株主総会の決議により変更することができます。たとえば、役員の任期を2年としていたものを10年まで延長することができます。

現行定款とは、このような変更を反映した最新の内容の定款のことを指します。今現在有効な内容の定款ということです。

定款の変更を一度も行っていない場合には、原始定款の内容と現行定款の内容は同じです。

原始定款、現行定款の作成方法

原始定款、現行定款の作成方法をご紹介します。

原始定款の場合

原始定款の作成の手順は次のようになります。

手順①:定款の内容の決定

原始定款を作成する場合、ゼロから定款の内容を決定する必要があります。
原始定款の内容を決めるのは、「発起人」です。発起人は、会社設立時の出資者であり、株主になる予定の人です。

定款には、必ず記載しなければならない内容(絶対的記載事項)、取り決めた場合には必ず記載しなければならない内容(相対的記載事項)、任意で記載する内容(任意的記載事項)があります。

絶対的記載事項は、①商号、②事業目的、③本店所在地、④設立時に出資される財産の価額(または最低額)、⑤発起人の氏名(名称)及び住所の5つとなり、まずはこの5項目を決定することが必須となります。

手順②:定款の認証

定款の内容を決定したら、定款を作成します。作成した定款は、株式会社の場合は公証役場で認証を受ける必要があります。

定款認証は、紙の定款として認証を受ける方法と、電子定款として電子データに認証を受ける方法があります。

紙の定款で認証する場合、紙の定款を3部用意する必要があります。

電子定款の場合、作成した定款データをPDFで電子化して電子署名します。なお、電子定款認証の場合、紙の定款認証の場合にかかる4万円の印紙代を節約することができます。

電子定款認証の方法についてはこちらの記事をご参照ください。

参考記事:会社設立時の電子定款を自分で作る

現行定款の場合

定款を変更した場合の現行定款の作成の手順は次のようになります。

手順①:変更内容の決定

定款の変更内容を決定します。変更する内容によっては、登記の申請が必要になるものもあるので注意が必要です。たとえば、会社の目的を変更する場合、会社の目的は登記事項なので変更登記が必要です。

一方、たとえば役員の任期は登記事項ではないので、変更しても変更登記は不要です。

手順②:株主総会の決議

定款の変更をする場合、株主総会の特別決議で承認される必要があります。特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席者の議決権の3分の2以上の賛成によって可決されます。

定款変更は重要事項なので、普通決議よりも可決の要件が厳しくなっています。

手順③:定款の作成

株主総会で可決された場合、変更内容を反映した新たな定款を作成します。たとえば、定款に新たに一つ条項を加えた場合、以後の条項番号すべてが変わるので注意が必要です。

いつ変更したかが一目でわかるように、表紙に「●年●月●日改定」などと記載しておくとよいでしょう。変更後の定款は、公証役場での認証は不要です。

原本証明する方法

定款は、基本的に原本を提出することはできないので、原本の代わりに原本証明した写しを提出することになります。提出先によっては、原本証明の方法が指定されている場合もあるので事前に確認しましょう。

原本証明の一般的な手順は以下のとおりです。

手順①:定款の全ページをコピーする

原本証明すべき定款(通常は「現行定款」)を用意し、すべてのページを原寸大でコピーします。順番通り並べてホチキス留めし、袋とじして会社実印で契印します。

手順②:原本証明の文言を記載する

定款のコピーの最終ページに、原本証明の文言を記載し、会社実印を捺印します。
具体的には、以下のような文言となります。

この写しは、定款の原本と相違ないことを証明します。

令和●年●月●日

本店住所

株式会社○○

代表取締役○○ (代表者印の捺印)

原本証明のついては、次の記事で詳しく説明しています。

参考記事:【定款の原本証明】作成方法と必要シーンを紹介

まとめ

定款は設立時に必ず作成するものですが、その後も内容を変更すべきかどうか定期的に見直すとよいでしょう。そうすることで、いざ提出が必要となったとき、内容が古くて実態と合っていないなどという事態になることを防ぐことができます。