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商業登記関連の費用はどう仕訳する?勘定科目は?

会社を新たに設立したり重要な会社情報に変更があったりしたときには、商業登記を行う必要があります。手続きは法務局で行い、内容によって定められた税金額を納めなければなりません。

本記事では商業登記に関連するこれらの費用の仕訳や使用する勘定科目について解説します。

登録免許税の仕訳、勘定科目

登録免許税とは、商業登記や変更を行う際に納める必要のある税金です。税金額は登録内容によって異なっています。

商業登記関連の納税額は下記の金額となっています。

株式会社等の設立登記(株式会社)資本金額×1,000分の7(15万円に満たないときは、申請件数1件につき15万円)
株式会社等の設立登記(合名会社または合資会社)6万円
株式会社又は合同会社の資本金の増加の登記増加した資本金の額×1,000分の7(3万円に満たないときは、申請件数1件につき3万円)
支店の設置の登記支店の数 1箇所×6万円
本店又は支店の移転登記3万円
取締役又は代表取締役若しくは監査役等に関する事項の変更の登記3万円(資本金1億円以下の場合は1万円)
登記事項の変更、消滅若しくは廃止の登記3万円
登記の更正又は抹消登記2万円

他の税金額については国税庁のホームページにて確認してください。

登録免許税は税金です。そのため消費税は発生せず、仕訳は租税公課勘定を利用します。租税公課の「租税」とは国や自治体に支払う税金のことを指しています。税金のため、消費税は課税されません。

【借方】【貸方】
租税公課 100,000円現金 100,000円

司法書士報酬の仕訳、勘定科目

司法書士へ報酬の支払を行う場合、報酬額から所得税及び復興特別所得税を徴収する必要があります。所得税及び復興特別所得税は報酬額から源泉徴収を行うため「源泉所得税」と呼ばれています。

源泉徴収すべき金額は「(報酬額-1万円)×10.21%」となります。司法書士から請求書が発行されるときには司法書士側で源泉所得税額を計算した上、請求書に内訳が記載されていることが一般的です。そのため基本的には発行された請求書通りに仕訳を計上しましょう。

徴収した源泉所得税は後日会社が税務署へ納めなければなりません。基本的には翌月10日まで、特例の適用を受けている場合は半年分まとめての納税となります。

商業登記の手続きを司法書士に依頼した場合、報酬額と一緒に司法書士側で立て替えてくれた登録免許税又は印紙税等の請求も、報酬と一緒の請求書で行われることが一般的です。

このような場合、源泉所得税は預り金勘定、報酬額は支払報酬料または支払手数料勘定、登録免許税又は印紙税等は租税公課勘定を利用して仕訳を計上します。

【借方】【貸方】
租税公課  12,000円普通預金       39,958円
支払報酬料 30,000円預り金(源泉所得税) 2,042円

代表者印(会社実印)購入費の仕訳、勘定科目

代表者印を購入した費用は消耗品費勘定に計上できます。印鑑ケースや朱肉も同様に消耗品費勘定に計上しましょう。代表者印に限らず、会社印やその他の印鑑を購入した場合も同様です。

消耗品費勘定は10万円未満の物品を購入した際に利用できます。代表者印などの印鑑は基本的に10万円未満で購入可能です。

【借方】【貸方】
消耗品費 2,000円現金 2,000円

印鑑証明書発行の仕訳、勘定科目

印鑑証明書とは、事前に役所で登録した印鑑を証明するための書類です。押印した印鑑が公的なものであることを証明する必要があるときに印鑑証明書を取得し、押印した書類と一緒に相手方に提出することが一般的です。

印鑑証明書の発行費用には租税公課、支払手数料、雑費勘定が利用できます。中でも租税公課勘定での処理が一般的です。租税公課の「公課」とは国や自治体に支払う手数料のこと。印鑑証明書は各自治体で発行可能です。そのため消費税は非課税となり、租税公課勘定が利用できます。

【借方】【貸方】
租税公課 300円現金 300円

まとめ

以上が商業登記関連の費用を計上する際の仕訳です。租税公課や支払報酬料の勘定科目を会社で利用していない場合は、支払手数料や雑費勘定などが利用可能です。その際は自社で利用している勘定科目を利用しましょう。