代表取締役の住所変更登記に必要な書類は?(作成例あり)
代表取締役は、株式会社の役員のなかで最も重要な人物です。氏名及び住所は登記簿に記載され、第三者に公示されます。
この代表取締役の住所に変更があった場合は、その事実があった日から2週間以内に、代表取締役の住所変更登記を申請する必要があります。この変更登記はとても重要で、変更登記の申請時には必要な書類があります。
当記事では、代表取締役住所変更登記に必要となる書類や登記申請書の書き方を中心に解説します。
代表取締役住所変更登記の必要書類一覧
代表取締役の住所変更登記を申請する際に作成する書類は、下表の2つです。
書類 | 留意点 |
株式会社変更登記申請書 | 必ず作成します。 |
委任状 | 代理人が申請する場合に作成します。 |
作成する書類は最大でも2つで、1つで済むケースもあります。これだけを見えば、「登記は簡単じゃないか!」と思う方も多いでしょう。それはあながち間違いとは言えません。
しかし、書類に使用する印鑑や記入事項は明確に定められており、書類に不備等があると法務局から補正を指示されてしまい、思いのほか手間がかかってしまうこともあります。
そうした無駄な手間を防ぐために、各書類の記入例をまじえながら、作成上の注意点をピックアップします。
株式会社変更登記申請書
代表取締役の住所変更登記には、「変更登記申請書」が必要です。
変更登記申請書の作成例、作成上の注意点
下図は変更登記申請の作成例です。
ここでの注意点は、登記すべき事項の移転日と住所、そして、末尾の代表取締役の住所は正確に記入することです。そのため、変更後の住民票を手元に置いて記載することをおすすめします。
また、押印する印鑑は、法務局(登記所)に届け出た会社実印を使用しますが、会社代表者ではなく代理人が登記申請を行う場合は押印不要です。その際は、代表取締役氏名の下部に、代理人の住所と氏名を記載し、代理人の認印を押印します。
登記すべき事項について、オンラインで登記所にあらかじめ提供している場合には、「別紙のとおりの内容をオンラインにより提出済み」という文言を記載すれば足ります(詳細は後述します)。また、CD-RやDVD-Rに登記すべき事項を記録し、申請時に提出することもできます。その際は「別添CD-Rのとおり」「別添DVD-Rのとおり」と記載します。
ただし、代表取締役の住所変更のケースでは記載内容が多くないので、作成例のように、登記すべき事項を申請書に直接記載しても問題はないでしょう。
登録免許税額分の収入印紙を貼付
変更登記の申請には登録免許税がかかり、資本金が1億円以下の会社は1万円、資本金が1億円を超える会社は3万円が必要です。登録免許税を収入印紙で納める場合は、変更登記申請書の様式に付いている収入印紙貼付台紙に、税額分の収入印紙を貼ります。
登録免許税と収入印紙については、以下の記事で説明しています。ご参考ください。
ページ間の割印を忘れずに!
変更登記申請書が複数ページになる場合は、各ページの間(綴り目)に割印をします。割印に使用する印鑑は、変更登記申請書の押印に用いた印鑑と同一のものを使用します。また、収入印紙貼付台紙を使用する場合もページ間の割印が必要です。
自分で申請する場合の必要書類はひとつだけ
会社の代表者自らが住所変更登記を申請する場合は、会社代表者の会社実印(登記所届出印)を押印した変更登記申請書を提出するだけになります。その他に添付すべき書類はありませn。住所変更後の代表取締役の住民票(写)も不要です。
申請期限と申請先
代表取締役が住所変更した日から2週間以内に、管轄の法務局に申請します。
委任状
代表取締役の住所変更登記は、比較的簡単にできる商業登記のひとつですので、会社の代表者の方がご自身で申請することもできます。
しかし、多忙な方や、事務関係の手続きが苦手だという方は、商業登記の専門家である司法書士などに申請手続きの代理を依頼することもあるでしょう。このように、代理人に申請を依頼する場合は委任状が必要となります。
委任状の作成例、作成上の注意点
下図は、委任状の作成例です。
委任状を作成する際の注意点は、押印には法務局に届け出ている会社実印(登記所届出印)を使用することです。
なお、代表取締役の住所変更登記を司法書士に依頼する場合の登記申請書には、法務局に届け出た会社実印を押印しません。その代わりに、変更登記申請書の代表取締役の氏名の下に手続きを代理する司法書士の住所及び氏名を記載し、司法書士の認印を押印します。
代理申請を依頼するメリットとデメリット
司法書士に手続きを依頼するメリットは、依頼者は司法書士と打ち合わせを行えば、後は、司法書士が一切の手続きをしてくれますから、依頼者は登記所に出向いたり、添付書類を集めに何度も役所に足を運んだりする必要がなくなる点です。その一方で、司法書士報酬が発生するというデメリットもあります。
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代表取締役の住所変更登記が必要な理由
法務局の考え方は、住所と氏名が一致してはじめて人物が特定される、というものです。代表取締役の住所が変更したにもかかわらず、住所変更登記を行わなかった場合、目の前にいる人物と、登記簿上の代表取締役は、同一人物だと確認することができません。その結果、代表取締役を公示するという商業登記の目的が果たされないことになります。
なお、株式会社において、住所変更登記が必要なのは代表取締役だけです。その他の役員(取締役、監査役)が引っ越しても登記する必要はありません。
登記を怠ると100万円以下の過料も…
代表取締役の住所変更登記くらい忘れても大丈夫だろう…と高を括っている方は危険です。というのは、会社法967条1項には、登記を怠ると100万円以下の過料に処するといった内容が定められているからです。登記懈怠には十分に注意しましょう。
代表取締役住所変更登記と総合申請ソフトについて
以前は登記申請書に「登記すべき事項」を記載していましたが、最近では、この「登記すべき事項」についてはオンラインであらかじめ登記所に提出して、登記所の窓口に提出する登記申請書の「登記すべき事項」を記載する欄には、「別紙のとおり内容をオンラインにより提出済」と記載するパターンも多くなっています。
株式会社の設立登記のように複雑な登記申請の場合には、この「登記すべき事項」の分量が膨大となり、登記申請書にこれを記載すると、登記申請書が数枚にわたり、非常に作成しにくいという問題がありました。
しかし、「登記すべき事項」の内容を登記所にオンラインで提出する方法の場合、登記申請書は1枚程度で済むので、非常にスリム化されます。
代表取締役住所変更登記の場合は、「登記すべき事項」の記載内容が少ないので、登記申請書に直接それを書き込んでも、特に問題はないとは思いますが、その場合であっても、予め「登記すべき事項」の内容を登記所にオンラインで提出する方法を使っても構いません。
「登記すべき事項」についてオンラインで登記所に提供した場合には、その情報を使って、登記申請書も簡単に作成することができます。法務局では、「登記すべき事項」をオンラインで登記所に提供した方が、その送信情報を活用して簡単に登記申請書を作成できる無料の総合申請ソフトを用意しています。
この総合申請ソフトを使えば、簡単に申請書が作成でき、このソフトを使って作成した申請書を登記所に提出することで、事務手続きが苦手な人でも簡単に代表取締役住所変更登記ができます。オンライン申請とは異なるので、電子証明書や電子署名は必要ありません。
画面の事項に従って入力していくだけで登記申請書の作成が可能になりますから、全く登記のことが分からない方でも大丈夫です。