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登録免許税って何? 意味、金額、支払方法を解説

法人の運営にあたって欠かせない法務手続きは多々あります。役員変更などの登記申請手続きもそのひとつです。そして、登記申請では原則として登録免許税の納付が必要となります。

当記事では、株式会社をはじめとする法人が納付する登録免許税について、意味や金額、支払方法についてのポイントをまとめています。

登録免許税の意味

登録免許税とは、登記、登録、許可、認可などを申請する際に納付する国税の一種です (登録免許税法第2条) 。

例えば、役員変更登記を申請すれば、登記という「国のお墨付き」により、間違いなく法人の役員であることを証明してくれることになります。このように、登記等で何らかのメリットを得られるときに、国に納める国税が登録免許税です。

法人登記の際の登録免許税の額

下表は、主な法人登記の登録免許税の額です。

登記の内容1件あたりの登録免許税の額

役員変更登記

1万円

※資本金1億円超の場合は3万円

本店移転登記

3万円

※管轄外移転の場合は6万円

株式会社の設立登記

以下のうち金額が多いもの

  • 15万円
  • 資本金の額の7/1000
商号変更登記3万円
目的変更登記3万円

なお、法人が登記をする際の登録免許税の額については、主として登録免許税法の別表第1の二四から二六までに一覧の形で掲載されています。

役員変更登記の登録免許税の額

株式会社の場合

株式会社の役員変更登記にかかる登録免許税の金額は、会社の資本金の額によって異なります。資本金の額が1億円以下の会社は1万円1億円を超える会社は3万円です。

単位は「1件」単位ですので、1枚の申請書で申請する限り、複数名の役員変更登記を申請しても1万円(または3万円)になります。逆に、申請書を分けてしまうとその分登録免許税がかかってしまいます。

例えば、資本金500万円の株式会社が、取締役Aの退任登記と取締役Bの就任登記を1枚の申請書で申請(1件で申請)すれば、登録免許税は1万円です。しかし、取締役Aの退任登記と取締役Bの就任登記を別々に申請してしまうと、2万円の登録免許税がかかります。役員変更登記はできる限り1件でまとめて申請するようにしましょう。

LegalScript(役員変更登記)へのリンク

有限会社の場合

有限会社は平成18年以降、法的には存在していません。平成18年に施行された会社法により、「有限会社という名前を使っている株式会社」という扱いになっています。そのため、法律の理論上は、有限会社は株式会社ですから、登録免許税は株式会社と同じように、資本金が1億円以下の場合は1万円、1億円超の場合は3万円となります。

合同会社の場合

合同会社は、「株式会社のミニマム版」として、平成18年に有限会社制度を廃止するとともに、新たに設立できるようになった会社形態です。合同会社にも株式会社の「役員」にあたる立場があります。ただ、合同会社の場合には役員ではなく「業務執行社員」と呼びます。

合同会社における業務執行社員の変更登記にかかる登録免許税の計算は、法律の理解が必要となり少し複雑です。

まず、合同会社での業務執行社員の変更登記申請は、株式会社の役員変更登記と同様に考え、資本金の額が1億円以下は1万円、1億円超は3万円が必要です(社員変更分)。

次に、合同会社では、社員が加入、変更する場合に資本金の額が変化することがあります。このため、資本金の額の変更分についても登録免許税を納めなければならず、増加した資本金の額の7/1000の登録免許税を支払い、この額が3万円に満たない場合には3万円を支払います(資本金の変更分)。

本店移転登記の登録免許税の額

登記上の法人の本店(一般社団法人の場合は主たる事務所)を移転する場合は、1か所につき3万円です。

この1か所の意味がやや複雑です。同じ法務局の管轄内で本店移転登記をする場合は、まさに1か所での移転登記ですので、登録免許税は3万円です。しかし、別の法務局の管轄に移転する場合には、移転前の本店と移転後の本店の2か所で登記をすることになります。そのため、登録免許税は6万円となります。

例えば、千代田区に本店がある会社が同じ千代田区内で本店移転をすれば、1か所なので登録免許税は3万円です。しかし、千代田区に本店がある会社が神奈川県の横浜市に本店移転をした場合には、2か所となり6万円になります。

このように、本店移転登記の登録免許税は法務局の同一管轄内への移転は3万円、他管轄への移転は6万円かかるという点はご注意いただきたい点となります。

LegalScript(本店移転)へのリンク

株式会社設立登記の登録免許税の額

法人の設立件数が最も多い会社形態が株式会社です。株式会社の設立登記の場合は資本金の7/1000ですが、算出した額が15万円未満の場合には15万円となります。

例えば、資本金1億円の会社を設立する場合には1億円×7/1000=70万円の登録免許税がかかります。一方で資本金が1000万円の場合には、1000万円×7/1000=7万円で15万円に満たないので、登録免許税の額は15万円ということになります。計算上は資本金が2143万円以上の場合に15万を超えることになります。

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商号変更登記の登録免許税の額

業務拡大などで行われることが多い商号変更(いわゆる社名の変更)の登録免許税は1件につき3万円です。なお、商号変更と同時に、目的変更の登記を行う場合は、1枚の申請書でまとめて提出できます。もし別々に申請すると6万円(2件分の登録免許税)が必要ですので、一括で申請するとお得です。

LegalScript(商号変更)へのリンク

目的変更登記の登録免許税の額

目的変更の登録免許税は1件につき3万円です。例えば、「飲食店経営」を会社の事業目的である会社が、業務を拡大して「ホテルの運営」にまで手を広げるような場合は、目的変更の登記を行います。こちらも、商号変更などとあわせて1枚の申請書で登記申請することで、登録免許税を3万円に抑えられます。

LegalScript(目的変更)へのリンク

登録免許税が加算されるケース

法人の登録免許税については、登録免許税法別表1の二四から二六以外のケースでも登録免許税が必要となる場合があることは注意が必要です。特に株式会社の場合には業務内容によってさらに登録免許税がかかることがあります。

例えば、会社の事業として倉庫業を営もうとする場合には、別表百四十の(一)により、申請1件について9万円の登録免許税が必要となります。

登録免許税は法人が取り扱う業務によっても金額が違ってくることにもご注意ください。

登録免許税の納付方法

登録免許税の納め方は3つの方法があります。

収入印紙を貼付する

収入印紙を購入して、登記などの申請書に貼り付けて納付するという方法です。多くの法務局では法務局内部(または法務局の近く)に収入印紙の売り場がありますから、そういったところで購入されて貼付して納付することができます。

銀行に支払う

銀行で登録免許税額を支払って、その領収書を申請書に貼付するという支払方法もあります。この方法は、増資のケースなど登録免許税額が高額になる場合に、安全のために多額の現金を法務局まで持っていかなくても良いようにするなどのケースで利用されます。

電子納付する

インターネットバンキングから支払うという方法(いわゆる電子納付といわれる方法)です。こちらも、安全に納付するという点では優れていますが、専用ソフトをダウンロードした上で入力するなど煩わしい作業が多いこと、仮に納付額の間違いがあった場合の補正の手続きが大変手間がかかることなどから、ご利用については慎重に検討してください。

補足

以上が登録免許税の意味や金額、納付方法に関する基本的な知識となります。

最後に一点、補足的にご注意いただきたい点として、登録免許税については登録免許税法第5条で定められている非課税措置にあたる場合や租税特別措置法などによる減税措置があるなどの理由で安くなるなどのケースもあります。

登録免許税の減額の取扱いについて気になる場合には、申請前に法務局や司法書士へ相談されると過大に登録免許税を支払ってしまうということを避けることができるでしょう。