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労務の手続き⑥~従業員が入社した時~

最初は1人で立ち上げた会社も、順調に業績が伸びていくと、1人だけでは業務に対応できなくなります。そうすると、従業員を雇用する必要が出てきます。

法人の場合は、株式会社の代表取締役や合同会社の代表社員など、会社代表者も社会保険(健康保険や厚生年金保険)に加入する義務が生じるので、会社を設立した時点で社会保険の加入手続きをします。その結果、初めて従業員を雇用した場合には、事業所は既に社会保険適用事業所になっているため、社会保険では従業員を雇う手続きのみを行えば、事足ります。

一方、労災保険や雇用保険は、一部の例外を除いて、法人代表者の加入義務はありません。従って、初めて従業員を雇った時に、事業所全体を労働保険(労災保険と雇用保険)に加入する手続きが必要になります。

労災保険と雇用保険では、対象となる従業員の基準が異なります。新規に雇用する労働者の就業状態によって、「労働保険の手続きのみ必要なケース」と「労働保険と社会保険の双方の手続きが必要なケース」に分かれます。

従業員を雇った場合の社会保険の手続き

株式会社等の法人が新規に従業員を雇った場合には、適用除外に該当する場合を除き、社会保険の加入手続きが必要になります。

社会保険の適用除外になるケース

適用除外、すなわち、従業員を雇用したが、社会保険の手続きが不要となるのは、主に以下のケースに該当する場合です。

①日々雇い入れられる者に該当する場合(1か月を超え継続して雇用されるに至った場合には、社会保険の手続きが必要になります)

②雇用期間が2か月以内の場合(所定の雇用期間を超え継続して雇用される場合には、社会保険の手続きが必要になります)

③季節的業務に使用される者に該当する場合(継続して4か月を超え使用される場合には社会保険の手続きが必要になります。)

④臨時的事業の事業所に雇用される者に該当する場合(継続して6か月を超えて使用される場合には社会保険の手続きが必要になります。)

提出が必要な書類

上記の適用除外に該当しない従業員を雇う場合(つまり、普通に従業員を雇用する場合)には、社会保険の手続きが必要になります。その手続きは、従業員を雇用した日から5日以内に、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を 管轄の年金事務所に提出するというものです。

この書類を作成する際、新しく被保険者となる方の標準報酬を決める必要があります。通常は、4月5月6月の3か月間に支給された給料や手当をすべて合算し、それを3で割った平均額で標準報酬を決定しますが、新規に被保険者となる方の場合、実績がありません。そのため、採用時の基本給などを基礎にして資格取得(採用時)の標準報酬を決定する必要があります。

届出書には、基礎年金番号またはマイナンバーを記載する箇所があるので、採用した方に年金手帳またはマイナンバー通知書を提出してもらう必要があります。また、採用した方に健康保険上の被扶養者になることができる扶養親族がいる場合には、扶養者(異動)届も作成します。

従業員を雇用した場合の労災保険の手続き

1人でも労働者を雇用した場合には、原則として労災保険の適用事業所となります。ここでいう労働者とは、アルバイト、パート、日雇労働者、外国人労働者(不法就労者も含む)などの雇用形態に関わらず、事業主と使用従属関係を有し、賃金を支払われる者をいいます。

保険の適用除外となるケース

以下の適用除外に該当する場合には、労働者を雇用しても労災保険に加入できません。

  • 国の直営事業
  • 官公署の事業
  • 船員保険の被保険者

また、以下の暫定任意適用事業に該当する場合には、労働保険に加入するかどうかは事業主の意思または過半数の労働者の意思に任されています。

  • 常時5人未満の労働者を使用する個人経営の農業(特定の危険又は有害な作業を主として行う場合を除く)
  • 常時5人未満の労働者を使用する漁業で、総トン数5トン未満の漁船による事業等であるか総トン数5トン以上でも河川・湖沼などの安全な場所で営業するもの(特定の危険又は有害な作業を主として行う場合を除く
  • 個人経営の林業で、常時労働者を使用せず、年間使用延労働者数300人未満であるもの

提出が必要な書類

適用除外に該当しないケースで、従業員を1人でも雇った場合や暫定任意適用事業で労災保険に加入する場合には、労災保険の加入手続きが必要になります。

手続きに必要な書類は、「労働保険・保険関係成立届」と「労働保険・概算保険料申告書」です。

労働保険・保険関係成立届は、従業員を雇った日の翌日から起算して10日以内に最寄りの労働基準監督署に提出します。

概算保険料申告書は、従業員を雇った日の翌日から起算して50日以内に、管轄の都道府県労働局や最寄りの労働基準監督署などに提出するものです。

概算保険料申告書を提出する際には、従業員を雇用した日が属する年度の年度末(3月31日)までに支払う賃金の見込額に労災保険料率を乗じて計算される概算保険料を納める必要がありますので、お金の準備も必要です。

従業員を雇用した場合の雇用保険の手続き

雇用保険の適用除外について

以下の要件に該当する従業員は雇用保険の適用対象外です。

①短時間労働者であって、季節的に雇用される者又は短期の雇用に就くことを常態とする者(日雇労働被保険者に該当する者を除く)

②日雇い労働者であって、適用区域に居住し適用区域に雇用される等の要件に該当しない者

③4か月以内の期間を予定して実施される季節的事業に雇用される者

④船員保険の被保険者

⑤国、都道府県、市町村等に正規職員として雇用される者

⑥31日以上雇用されることが見込まれていない者

⑦昼間学生

上記要件の他、雇用する従業員の週所定労働時間によっても、雇用保険の対象になるかそうでないかが決まります。その基準を示すと、次のとおりとなります。

①週所定労働時間が20時間未満の場合、雇用保険の対象外です。

②週所定労働期間が40時間の場合、雇用保険の手続きは必要です。

③週所定労働時間が20時間以上40時間未満の場合で、事業所に正規労働者がいない場合又は事業所に正規労働者がいて、その正規労働者よりも当該労働者の週所定労働時間が短い場合には、雇用継続予定期間が1年以上であれば、雇用保険の手続きが必要です。

④週所定労働時間が20時間以上40時間未満の場合でも、当該労働者が会社の正規労働者となる場合には、雇用保険の手続きが必要です。

提出が必要な書類

適用除外に該当しない従業員を雇用した場合には、雇用保険の加入手続きが必要になります。具体的には、「雇用保険適用事業所設置届」と「労働保険概算保険料申告書」に関する手続きです。

雇用保険適用事業所設置届の提出期限、提出先

雇用保険適用事業所設置届は、従業員を雇用した日の翌日から起算して10日以内に、最寄りの労働基準監督署を経由して(一元事業の場合)、又は、直接(二元事業の場合)、ハローワークに提出します。

なお、一元事業とは、労災保険と雇用保険の手続きを一括に行うことができる事業のことで、二元事業とは、労災保険と雇用保険の手続きを別々に行わなければならない事業のことを言います。

労働保険概算申告書の提出期限、提出先

労働保険概算申告書は、一元適用事業(たいていの事業は一元事業に該当します。)の場合、労災保険料と一緒に1枚の申告書でOKです。一方、二元適用事業は、労災保険と雇用保険は分けて作成する必要があるので、2枚の申告書が必要です。

概算申告書の提出先は、最寄りの労働基準監督署、管轄の都道府県労働局、日本銀行の代理店や歳入代理店となっている全国の銀行や郵便局などです。

申告書の提出期限は、従業員を雇用した日の翌日から起算して50日以内、申告書の提出と同時に、年度末までの支払賃金見込み額に対応する雇用保険料を概算で納める必要があります。

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