【役員退任登記】必要書類と作成時のポイント(退任事由別)
会社の役員(代表取締役、取締役、監査役)が退任したら登記が必要です。
しかし、ここで注意すべき点が!
役員の退任登記は、任期満了や辞任などの退任事由によって必要書類が異なるのです。
役員が退任する事由には、主に次の5つのケースがあげられます。
- 任期満了
- 辞任
- 死亡
- 解任
- 欠格事由の発生
ここからは退任事由別に、登記に必要な書類を見ていきましょう。
任期満了による退任登記の必要書類
役員が任期満了で退任した場合、登記には下表の書類が必要です。
必要書類 | 作成時のポイント |
変更登記申請書 | 押印に使用する印鑑は会社実印です。代理人が申請する場合は押印不要です。 登録免許税を収入印紙で支払う場合は、収入印紙貼付台紙に1万円(資本金3億円超の会社は3万円)の収入印紙を貼ります。 |
株主総会議事録 | 任期満了により退任した旨を記載した株主総会議事録が必要です。 |
株主リスト | 会社実印を押印します。 |
委任状(※場合により必要) | 代理人申請を行う場合は必要です。押印には会社実印を用います。 |
役員の任期は、下表のように定められています。
役員 | 任期 |
取締役 | 選任後、2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結まで |
監査役 | 選任後、4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結まで |
※非公開会社は、定款に定めることによって、任期を最長10年まで任期を伸長することができます。また、取締役の任期は定款によって短縮可能ですが、監査役の任期は短縮できません。
任期満了による退任登記の手順は次のとおりです。
- 定時株主総会を開催
- 必要書類を作成
- 株主総会の日の翌日から2週間以内に、管轄法務局へ登記申請
なお、任期満了にともなう退任と同時に再任する場合(重任)は重任登記を行います。重任登記については、以下の記事で解説しています。
辞任による退任登記の必要書類
辞任とは、役員が任期の途中で自ら辞めることです。役員の辞任による退任登記の必要書類は、下表とおりです。
必要書類 | 作成時のポイント |
変更登記申請書 | 押印には会社実印を使用しますが、代理人が申請する場合は押印不要です。 登録免許税を収入印紙で支払う場合は、収入印紙貼付台帳に1万円(資本金1億円超は3万円)の収入印紙を貼ります。 |
辞任届 | 取締役と監査役の辞任届に押印する印鑑は認印でかまいません。 代表取締役の辞任届には、会社実印もしくは個人実印を押印します。なお、個人実印の場合は印鑑証明書を添付します。 |
委任状(※は場合により必要) | 代理人申請を行う場合は必要です。押印に用いる印鑑は会社実印です。 |
なお、辞任する取締役が株主総会で辞意を表明し、その旨を記載した株主総会議事録と株主リストを提出した場合は、辞任届は不要です。
辞任による退任登記(辞任届を提出する場合)の手順は次のとおりです。
- 辞任する役員から、役員自身の辞任の意思を証明する「辞任届」を受け取る
- 役員が辞任した日の翌日から2週間以内に、管轄法務局へ登記申請
取締役の辞任登記については、以下の記事でも詳しく解説しています。
>取締役が辞任…登記に必要な書類は辞任届だけ?申請手続きは?
死亡による退任登記の必要書類
役員が任期の途中で亡くなったときの退任登記には、下表の書類が必要です。
必要書類 | 作成時のポイント |
変更登記申請書 | 押印には会社実印を使用します。代理人が申請する場合は押印不要です。 登録免許税を収入印紙で支払う場合は、収入印紙貼付台紙に1万円(資本金3億円超の会社は3万円)の収入印紙を貼ります。 |
死亡届 | 死亡届は、死亡した役員の遺族が作成します。押印は認印でかまいません。 以下の死亡したことを証明できる書面の添付でも可能です。
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委任状(※は場合により必要) | 代理人申請を行う場合は必要です。押印に用いる印鑑は会社実印です。 |
死亡届には、以下のような簡単な文章を作成し、書面に認印を押印してもらいます。
「貴社の取締役○○○○はXX年XX月XX日に死亡いたしましたので届け出ます。」
死亡による退任登記の手順は次のとおりです。
- 会社側は、亡くなった役員の親族から「死亡届」を受け取る
- 役員が亡くなった日の翌日から2週間以内に、管轄の法務局へ申請
取締役の死亡にともなう退任登記については、以下の記事で解説しています。
解任による退任登記の必要書類
解任とは、役員を任期途中で辞めさせることです。役員を解任したときの退任登記には、下表の書類が必要です。
必要書類 | 作成時のポイント |
変更登記申請書 | 押印に使用する印鑑は会社実印です。代理人が申請する場合は押印不要です。 登録免許税を収入印紙で支払う場合は、収入印紙貼付台紙に1万円(資本金3億円超は3万円)の収入印紙を貼ります。 |
株主総会議事録 | 株主総会で役員の解任決議を行った旨を記載します。 |
株主リスト | 会社実印を押印します。 |
委任状(※は場合により必要) | 代理人申請を行う場合は必要です。押印には会社実印を用います。 |
役員を解任したときは、変更登記申請書の他、解任決議の内容を記載した株主総会議事録を作成します。株主総会議事録を作成する際に押印する「代表取締役の印」は、登記所に届出をしてある会社実印で行うことが無難です。解任時に新たな役員の就任があるときは臨時株主総会の開催を1度で済ませるのが通常ですが、その際に会社実印を押すためです。
解任による退任登記の手順は次のとおりです。
- 株主総会で解任決議(取締役の場合は普通決議、監査役の場合は特別決議)
- 必要書類の作成
- 株主総会の日の翌日から2週間以内に、管轄の法務局に申請
取締役の解任登記については、以下の記事で解説しています。
欠格事由による退任登記の必要書類
役員に欠格事由が発生したときの退任登記には、下表の書類が必要です。
必要書類 | 作成時のポイント |
変更登記申請書 | 押印に使用する印鑑は会社実印です。代理人が申請する場合は押印不要です。 登録免許税を収入印紙で支払う場合は、収入印紙貼付台紙に1万円(資本金3億円超の会社は3万円)の収入印紙を貼ります。 |
欠格事由に該当したことを証する書面 | 欠格事由の発生がわかる書類には、次のようなものがあります。
|
委任状(※場合により必要) | 代理人申請を行う場合は必要です。押印には会社実印を用います。 |
欠格事由の発生とは、法律上役員を務める資格がなくなってしまうことです。役員の欠格事由は、会社法で次の4種類と定められています。
- 成年被後見人または被保佐人
- 法人
- 会社法、証券取引法、破産法その他一定の法律に定められた罪により刑に処せられ、その執行を終わった日(または執行を受けることがなくなった日)から2年を経過していない者
- 上記以外の罪により禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者(執行猶予中の者は含まれない)
役員が任期の途中で上記のいずれかに該当した場合は、次の手順で退任登記の手続きを行わなければなりません。※欠格事由の発生の場合、株主総会決議などの手続きは不要です。
- 必要書類の作成、手配
- 欠格事由の発生から2週間以内に管轄の法務局へ申請
欠格事由の発生による退任登記については、以下の記事で説明しています。
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