取締役会では何を決めるの?知っておきたい決議の方法・内容
取締役会とは、関する様々な決定を行う機関です。しかし、こんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
どんなことを決定しているのか?
どのように決定しているのか?
何人くらいで構成されてるのか?
今回は取締役会に関する疑問を解説します。
取締役会とは?
株式会社において、取締役会とは業務執行に関する意思決定を行う機関で、株主総会により選任された取締役(3名以上)で成り立ってます。
株式譲渡制限会社(非公開会社)である場合、取締役会を設置しないことも可能です。
ちなみに、取締役会を設置していない会社(取締役会非設置会社)では、重要な意思決定は株主総会等で行います。
取締役会の開催
取締役は最低3か月に1回以上、取締役会で執務執行に関する状況を報告しなければなりません。そのため、最低でも年に4回は取締役会が行われます。
取締役会の開催場所は自由で、原則として、取締役であれば誰でも取締役会を招集できます。全員がリアルタイムに意見できれば、ビデオ通話や電話での取締役会でも問題ありません。
書面決議
意思決定においては、定款で定めた上で取締役全員の同意があり、監査役の異議がなければ「書面決議」という方法も可能です。
書面決議は、書面又は電磁的記録(電子メール等)を用いて行います。取締役が作成した提案書に対して、取締役全員が書面または電磁的記録による同意を行えば、取締役会の開催が無くても決議を行うことができます。
ただし、前述の業務執行状況の報告は、書面決議によって取締役会を省略することはできないので、3ヶ月に1回以上は取締役会を実際に開く必要があります。
取締役会で必ず決議する7つの内容
取締役会では業務執行に関する意思決定を行うのですが、具体的にはどんな内容の意思決定を行うのでしょうか?
会社法によって定められている、取締役会でしか決議できない内容があります。以下の内容は、各取締役に委任できない内容です。
- 重要な財産の処分及び譲受け(重要な財産を売却、貸与、担保に入れる行為について)
- 多額の借財(額の大きい借金、保証などについて)
- 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
- 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止(本店移転などについて)
- 第676条第1号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項(社債の内容について)
- 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備(会社の内部統制構築について)
- 第426条第1項の規定による定款の定めに基づく第423条第1項の責任の免除(役員の任務懈怠責任の免除について)
以上のように、財産に関すること、人材に関すること、社債に関すること、損害賠償責任に関してのことなど多岐にわたる内容が、取締役会で決議されます。
また、予算や計画などその他の重要な業務執行の決定、株式分割、代表取締役の選任・解任、利益相反取引・競業取引についての承認も取締役会で決議する内容になります。
ちなみに取締役会非設置会社では、原則として株主総会でこれらの内容を決議します。
取締役会設置のメリット
株式譲渡制限会社(非公開会社)は、原則取締役会を設置してもしなくても問題ありませんが、株式譲渡制限会社が取締役会を設置するメリットには、次のようなことが挙げられます。
- 株主が多数いる場合、株主総会を行うより素早く意思決定できる可能性があること
- 対外的に取締役会設置会社は信頼が高いこと
また、将来的に公開会社や監査役会設置会社、委員会設置会社などの取締役会を設置する義務のある会社に変更する可能性がある場合、移行がスムーズになります。
取締役会は廃止できる?
会社法の改正前は、株式会社の設立には取締役会と監査役の設置が義務付けられていました。知人や親族を名目上の役員としていたことも少なくなかったようです。
現在は株式譲渡制限会社であれば取締役会や監査役の設置は原則自由なので、取締役会や監査役は廃止することもできます。
取締役会の廃止や監査役の廃止には、以下の複数の手続きが必要です。
- 取締役会や監査役を廃止する手続き
- 取締役の退任(辞任)や新しい代表取締役の選定、監査役の退任など役員の変更に関する手続き
- 必要に応じて株式の譲渡に関する承認機関等の変更手続き
株主総会で関連する決議を行い、その後登記を行います。自分で書類作成・申請を行う場合、手続きの組み合わせによって登録免許税が3万円~7万円(資本金1億円以下の場合)がかかります。
まとめ
今回は取締役会について解説しました。取締役会は、会社に関する様々な決定を行う機関です。
株式譲渡制限会社であれば取締役会の設置は原則自由で、廃止することもできます。廃止の際、廃止手続きや役員変更の手続きなど複数の手続きが必要になります。
なお、役員変更については以下の記事をご覧ください。