社名変更の登記はココに注意! 商号をスムーズに変更するための基礎知識
株式会社の社名(商号)を変更するときは、商号変更の登記が必要です。
商号には、使用できない記号や表現があったり、「株式会社」「合同会社」などの会社の種類を必ず付けなければならなかったりと、ルールが定められています。また、登記申請時に必要となる書類がいくつかあります。
この記事で参考に、スムーズな商号変更登記を行いましょう。
商号変更登記での注意点
会社の名前は「商号」と呼ばれます。
商号は登記簿に記載されている事項ですから、それを変更するためには商号変更の手続きをしなければいけません。
商号変更の手続きには、注意点もいくつかあるので解説していきます。
株式会社は必ず「株式会社」の名称を入れる
株式会社の商号には必ず「株式会社」という文字を入れます。通常は、株式会社○○(前株)や○○株式会社(後株)のように名称の前後に入れますが、○○株式会社○○(中株)のように付けることも認められています。
使えない記号があるので気をつける
商号に使える記号は「&」「’」「,」「-」「.」「・」のみです。その他の記号は使用できませんのでご注意ください。
また、「.」以外は商号の先頭や末尾に入れることはできません。「.」は末尾に使うことができます。
会社部門を示す表現は使用できない
「営業部」や「法務部」など、会社の一部門を表すような表現は使うことはできません。
また、銀行でないのに「○○銀行」などとすることもできません。
他の会社と同じ商号を使う際は注意する
原則として、他の会社と同一の商号を使うことは差し支えありませんが、まったく同じ住所に同じ商号の会社を置くことはできません。
また、不正目的で同一の商号を使うと、商号使用差止請求や不正競争防止法により損害賠償請求がなされるおそれがあるので、類似商号調査を法務局で行っておくと安心です。
類似商号調査については、「会社設立・社名変更時には類似商号調査を!類似商号の概要と調査方法」の記事で紹介しています。
商号変更に必要な手続き
定款の変更
会社の商号は定款の記載事項ですので、定款の変更手続が必要になります。
定款の変更は株主総会の特別決議によって行います。株主総会を行った時の株主総会議事録は登記申請に必要となります。
会社代表印の変更
通常、法務局に届け出る代表印は、会社の商号が彫られています。代表印を変更する場合は、法務局に改印届を提出する必要がありますので、忘れないようにしましょう。
商号変更登記の必要書類
商号変更登記で必要なる書類は、次の5つです。
登記申請書
変更後の商号と変更年月日を登記すべき事項として記載します。
株主総会議事録
株主総会の特別決議が可決したことを証するために必要です。
株主リスト
株主総会を開催した場合は、原則として登記申請時に株主リストの提出が求められます。株主の情報を整理してしっかりと準備しておきましょう。
株主リストの作成については、「登記で必要な「株主リスト」の書き方(記載例あり)」で解説しています。
印鑑(改印)届書
会社の代表印を変更する場合に「印鑑(改印)届書」の届出が必要になります。
印鑑(改印)届書の用紙は、法務局のWebページでダウンロードが可能です。また法務局にも備え付けてあります。
>法務局Webページ(商業・法人登記の申請書様式 印鑑届書)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#anchor8
市区町村発行の印鑑証明書
改印届を提出する場合は、代表取締役個人の印鑑証明書(3か月以内のもの)を用意する必要があります。
また、印鑑証明書に記載された代表取締役の住所と、会社の登記簿に記載してある代表取締役の住所が異なる場合は、代表取締役の住所変更の登記申請も必要になるので気をつけましょう。
代表取締役の住所変更については、「役員の住所変更登記が必要なケースとは?手続き方法や費用も解説」の記事をご参考ください。
商号変更登記の費用と申請期限・申請先
費用
商号変更登記にかかる費用は、登録免許税の3万円です。
登録免許税は、収入印紙の貼付により支払います。収入印紙は法務局や郵便局で購入することができます。また、代表取締役の住所変更の登記を同時に行う場合は、追加で1万円(資本金の額が1億円を超える場合は3万円)別途必要になります。
登録免許税については、以下の記事で説明しています。
申請期限、申請先
商号変更登記は、正式に商号を変更した日(効力発生日)から2週間以内に、会社の所在地を管轄する法務局に提出します。
管轄法務局については「登記の申請先はどこ?管轄法務局の調べ方」で紹介しています。
商号変更登記をさらにスムーズにする方法
以上のように、商号変更の登記申請にはさまざまな手続きが必要となり、その負担は決して小さくありません。そのため、「必要書類の作成だけでも簡単に済ませたい」という方もいるはずです。
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