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株主総会決議は何種類? 決議する事項も解説

会社の株主となっている人が集まって決議を行う「株主総会」は、会社の運営全体に関わるような重要な項目が話し合われます。

 

具体的には、会社の経営者である役員の選解任や新株式の発行、会社の合併、解散といった項目です。

 

株主総会は、年に1回必ず開催する「定時株主総会」が基本になりますが、突発的に重要な経営課題が発生した際には「臨時株主総会」を随時開催することも可能です。

 

これらの株主総会で決定することができる項目は多岐にわたります。

 

ただし、特に重要な内容については、法律上「これだけの賛同者がいないといけない」というように、決議要件が決まっていることに注意が必要です。

 

この記事では、株主総会決議の種類について解説するとともに、実際に問題となることが多い決議事項について具体的に解説いたします。

 

株主総会の決議方法は4種類

株主総会は、会社の株主が集まって「多数決」で意思決定を行います。

 

株主総会で扱う議題によって、この多数決の具体的なあり方は以下の4つに分類されます。

 

  • 普通決議
  • 特別決議
  • 特殊決議
  • 特別特殊決議

 

一般的に、重要で慎重な意思決定が必要な項目ほど、多数決の決議要件は厳しく設定されているといえます。

 

もし、法律上必要な決議要件を満たしていないのに、会社の役員等が勝手に会社の意思決定を行ったような場合には、利害関係を持つ人からの申立てによって会社の行為が取り消されることも考えられます。

 

その際、株主は会社の利益について重大な利害関係を持っていますから、会社に対して発生した損害については役員等に賠償請求を行うこともあります。それぞれの決議の要件について正しく理解しておくことが重要です。

 

以下では、それぞれの決議方法によって扱われる主な決議事項について、順番にみていきましょう。

 

普通決議

普通決議は、もっとも利用頻度の高い決議方法です。

 

普通決議を行うためには、以下の要件を満たさなくてはなりません。

 

  • 定足数 :出席株主で議決権の過半数を構成すること
  • 決議要件:出席した株主が持つ議決権の過半数

 

なお、「定足数」とは「最低限これだけの株主が出席しないと、この決議そのものを行えない数」という意味です。

 

逆にいえば、定足数さえ満たしているのであれば、株主全員の出席がなくとも株主総会を開催して決議を行うことができるということになります。

 

法律上、定足数が設定されている株主総会決議は普通決議と特別決議のみです(特殊決議と特別特殊決議では定足数はないため、決議要件のみが問題となります)

 

「株主の頭数」と「議決権の数」の違い

株主総会の定足数や決議要件を理解する上では、「株主の頭数(人数)」と「議決権の数」の違いについて理解しておくことが重要です。

 

例えば、株主の数は全員で100人、議決権のある株式を500株発行する会社があったとしましょう。

 

普通決議の定足数は「議決権の過半数」ですので、出席する株主全員で251株以上の株式を持っていれば良いことになります。

 

この場合、実際に株主総会に出席した株主の数が5人だけだったとしても、その5人で251株以上を持っているのであれば、普通決議の定足数を満たすことになります。

 

同様に、普通決議の決議要件は「出席した株主が持つ議決権の過半数」ですので、例えば出席した株主全員で300株の議決権があったとすると、そのうち151株以上の同意を得られれば普通決議を行うことができます。

 

普通決議で行える主な決議事項

普通決議で行える決議事項には、以下のようなものがあります。

 

  • 決算の承認
  • 役員の選任と解任(ただし、監査役の解任は特別決議が必要です)
  • 役員の報酬額の決定
  • 自社が発行する株式の株主からの買取り(自己株式の取得)など

 

特別決議

特別決議を行うためには、以下の定足数と決議要件を満たす必要があります(定足数は普通決議と同じです)

 

  • 定足数 :出席株主で議決権の過半数を構成すること
  • 決議要件:出席した株主が持つ議決権の3分の2以上

 

特別決議の定足数は普通決議と同じですが、決議要件は普通決議よりも厳しくなっています。

 

特別決議で行える主な決議事項

株主総会の特別決議では、以下のような決議事項を扱うことができます。

 

  • 定款の変更
  • 事業譲渡の承認
  • 監査役の解任
  • 会社の合併や分割
  • 会社の解散
  • 株式の併合
  • 株式交換や株式移転など

 

特殊決議(会社法309条3項)

特殊決議は、株式に譲渡制限を設定したり、会社の合併契約を承認したりといった重要な議題を扱う場合の決議方法です。

 

特殊決議には会社法309条3項の特殊決議と、309条4項による特殊決議の2つがあります。

 

会社法第309条第3項による特殊決議では、定足数は設定されておらず、決議が有効であるかどうかは以下の2つの決議要件の両方を満たしているかどうかによって判断されます。

 

  • 決議要件1:議決権を行使できる株主の半数以上が出席していること
  • 決議要件2:議決権の3分の2以上の賛成が得られること

 

特殊決議と次で見る特別特殊決議においては、株主の人数も要件となっていることに注意が必要です。

 

特殊決議で行える主な決議事項

特殊決議で行える決議事項には、以下のようなものがあります。

 

  • 公開会社から非公開会社に変更する旨の定款変更
  • 会社の吸収合併や、株式交換によって別会社を完全子会社とするような場合に、相手の会社の株主に金銭等を交付する場合における合併契約や株式交換契約の承認

 

特別特殊決議(会社法309条4項)

特別特殊決議は、会社法第309条第4項による決議を行う場合にのみ問題となる決議方法です。

 

特別特殊決議を行うためには、以下の2つの要件の両方を満たす必要があります。

 

  • 決議要件1:総株主の半数以上が出席していること
  • 決議要件2:総株主の議決権の4分の3以上の賛成が得られること

 

会社法第309条第4項による決議とは、「非公開会社において、株主が持つ権利に変更を加える内容の定款変更を行う場合」の決議のことをいいます。

 

非公開会社というのは、すべての株式に譲渡制限がかかっている会社のことです。

 

こうした会社では株主に広範な権限が与えられていますから、その権限変更にあたっては特に決議要件の厳しい特別特殊決議が求められています。

 

また、必要な議決権の割合は「株主総会に出席した株主」を分母とするのではなく、「発行されている株式数」から判断することに注意しておきましょう。

 

まとめ

今回は、株主総会の決議事項について解説いたしました。

 

株主総会では会社の存続に関わる重要な意思決定が行われますが、その意思決定に至るまでの手続きに瑕疵があった場合には、後から株主総会決議そのものが無効となってしまう可能性もあります。

 

こうした事態を避けるためには、株主総会の決議することができる事項の具体的な内容と、それぞれの決議要件について正しく理解しておくことが大切です。

 

本文で解説いたしました内容を参考に、株主総会の決議事項としてどのような内容を取り上げるかは慎重に扱うようにしてください。

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