【取締役が死亡】登記に必要な書類と手続きは?
取締役が亡くなったときは、役員の変更登記をしなければなりません。そして、役員変更登記をするには、一定の書類を準備して、期限内に所定の場所で登記の申請手続きを行う必要があります。
その際の注意点は、亡くなった取締役が、一般の取締役か代表取締役かで必要書類が少し異なることです。
この記事では、取締役死亡時の登記に必要な書類を、一般の取締役の場合と代表取締役の場合に分けて説明します。さらに、登記の申請手続きについても解説します。
取締役の死亡登記に必要な書類
一般の取締役が亡くなったときの登記に必要な書類は、以下のとおりです。
- 株式会社変更登記申請書
- 死亡したことの証明書類
- 委任状(代理人によって登記申請する場合)
なお、取締役が亡くなったことにより定款で定めている取締役の員数を割ってしまう場合は、新たな取締役を選任するか、取締役の員数を減らす定款変更を行う必要があります。
また、取締役会設置会社では3名以上の取締役が必要であり、2名になった場合は1名を新たに選任するか、取締役会を廃止する定款変更を行わなければなりません。
これらの場合には以下の書類も必要になります。
- 株主総会議事録
- 株主リスト
新たに取締役を選任する場合は、さらに以下の書類も必要です。
- 就任承諾書
- 本人確認証明書(取締役会設置会社の場合)
- 印鑑証明書(取締役会非設置会社の場合)
それでは、各書類について順に説明します。
株式会社変更登記申請書
申請書は法務局で入手できる他、法務局のホームページからダウンロードすることも可能です。株式会社と特例有限会社で異なる様式が定められているので、該当するものをご使用ください。
参考:法務局|商業・法人登記の申請書様式
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html
会社の実印を押印する
変更登記申請書に押印する印鑑は会社の実印、つまり法務局に印鑑届をしたものが必要です。
代理人が登記申請する場合は、変更登記申請書には押印せず、委任状に会社の実印を押印します。
収入印紙を貼付する
変更登記申請書に付いている収入印紙貼付台紙に、登録免許税額に相当する収入印紙を貼ります。
登録免許税は登記申請1件につき1万円ですが、資本金1億円を超える会社の場合は3万円です。
死亡したことの証明書類
死亡したことの証明書類としては、一般的には死亡した旨が記載されている戸籍謄本や除籍謄本、住民票のいずれかを提出します。医師が作成した死亡診断書や死体検案書も使用できます。これらの証明書類のうち、いずれかひとつが必要です。
委任状
登記申請は会社の代表者の名義で行いますが、代理人に委任する場合は委任状が必要です。
委任状には代理人の住所と氏名、委任事項、委任した日付、会社の名称、本店所在地などを記載し、代表取締役が記名押印します。
委任状については、以下の記事で詳しく解説をしています。
参考記事:商業・法人登記で委任状が必要なケースは?(記入例あり)
株主総会議事録
取締役を新たに選任する場合は株主総会の普通決議が必要です。また取締役の員数の変更や取締役会を廃止する定款変更を行う場合は、株主総会の特別決議が必要です。
これらの決議を行ったら決議内容を株主総会議事録に記載します。
株主総会議事録には出席役員の記名押印が必要ですが、印鑑は認印で構いません。
株主リスト
株主リストとは、正式名称を「株主の氏名又は名称、住所及び議決権等を証する書面」といい、株主総会決議が有効になされたことを証明するために必要な書類です。
株主リストは会社の代表者が作成しなければならないため、代表取締役の記名と会社の実印を押印することが必要です。
株主リストの詳細については、以下の記事をご覧ください。
就任承諾書
新たに取締役に選任された人が就任を承諾したら、就任承諾書に住所・氏名を記載して押印します。使用する印鑑は、取締役会設置会社の場合は認印で構いませんが、取締役会非設置会社の場合は実印が必要です。
なお、就任承諾書は不要な場合もあります。
取締役会非設置会社の場合は、選任決議がなされた株主総会で新たな取締役が就任を承諾し、その旨が株主総会議事録に記載されていれば不要となります。
取締役会設置会社の場合は以上に加えて、選任された取締役の住所が株主総会議事録に記載されていれば就任承諾書は不要です。
ただし、いずれの場合も、変更登記申請書に以下の文言の記載が必要となります。
「就任承諾書は、株主総会議事録の記載を援用する」
就任承諾書については、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:就任承諾書は印鑑に注意!ポイントを解説(作成例あり)
本人確認証明書
取締役会設置会社で新たに取締役を選任したときは、その人の本人確認証明書が必要です。本人確認証明書として使用できる主な書類は、以下のようなものです。
- 住民票の写し
- 運転免許証のコピー
- マイナンバーカードのコピー
コピーを提出する場合は、本人が「原本と相違がない。」と記載した上で記名押印します。
本人確認証明書の詳細は、以下の記事でご確認ください。
参考記事:【本人確認証明書】役員変更の登記申請で何を提出する?
印鑑証明書
取締役会非設置会社で新たに取締役を選任したときは、その人の印鑑証明書が必要です。
代表取締役の死亡登記に必要な書類
代表取締役が亡くなった場合は、新たに代表取締役を選定しなければなりません。したがって、死亡登記と併せて新たに選定された代表取締役の選定登記も必要です。
その場合に必要となる書類は、取締役会設置会社と取締役会非設置会社とで少し異なります。それぞれの必要書類は、以下の一覧表のとおりです。
取締役会設置会社 | 取締役会非設置会社 |
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以上の書類について順に解説していきますが、「株式会社変更登記申請書」「就任承諾書」「死亡したことの証明書類」「委任状」の4つについては、前述の説明をご参照ください。
取締役会議事録
取締役会設置会社では、代表取締役は取締役会で選定されます。
取締役会で新たな代表取締役を選定したら、取締役会議事録にその旨を記載します。取締役会議事録には出席した取締役と監査役の全員が実印を押印して、印鑑証明書を添付する必要があります。
互選書
取締役会非設置会社で取締役が2名以上いる場合は、取締役の互選によって代表取締役が選定されます。
互選書には代表取締役を選定したことと被選定者が就任を承諾したことを記載し、出席した取締役の全員が実印を押印して印鑑証明書を添付します。
互選書の詳細については、以下の記事をご覧ください。
参考記事:取締役の互選って何?互選書の書き方は?(記入例あり)
定款
取締役会非設置会社で互選によって代表取締役を選定した場合は、定款の添付も必要です。
会社に保管してある定款をコピーし、代表取締役が「原本と相違がない。」と記載した上でし、ページごとに会社の実印で契印(割印)をします。
印鑑(改印)届書
新たに代表取締役を選定した場合は、その印鑑(会社の代表者印)を法務局に届け出るために印鑑(改印)届書が必要です。
印鑑(改印)届書には、選定された代表取締役の個人の実印を押印して印鑑証明書を添付します。詳しくは以下の記事をご覧ください。
取締役の死亡登記の申請手続き
必要書類の準備ができたら、登記申請の手続きを行います。登記申請の期限や申請先、申請方法、費用は以下のように定められています。
申請期限は亡くなってから2週間以内
取締役の死亡登記は、亡くなってから2週間以内に申請手続きを行う必要があります。
期限に遅れると過料の制裁を科されることがあるので、早めに申請しておきましょう。
申請先は本店所在地の管轄法務局
取締役の死亡登記の申請先は、会社の本店所在地を管轄する法務局です。管轄法務局の調べ方は以下の記事でご説明していますので、ご参照ください。
参考記事:登記の申請先はどこ?管轄法務局の調べ方
申請方法は3種類
登記を申請する方法には、法務局の窓口に必要書類を直接提出する方法、法務局に必要書類を郵送する方法、オンラインで申請する方法の3種類があります。
オンライン申請が便利ですが、登記申請になれていない方は窓口に直接提出すると書類の不備などをその場で確認・訂正できるので安心でしょう。
登記申請費用
取締役の死亡登記には、登録免許税として1万円の費用がかかります。ただし、資本金1億円を超える会社の場合は3万円です。
新たな取締役の就任や代表取締役の選定、定款変更などの登記も1通の登記申請書で行うことができます。その場合、登録免許税も1万円(または3万円)のみで済みます。
費用を節約するためには、できる限りまとめて登記申請手続きを行う方が良いでしょう。
書類を簡単作成できるLegalScript
以上のように、取締役や代表取締役が亡くなると登記が必要となり、場合によっては多くの書類を作成しなければなりません。ところが、会社の中心人物が急死すると、登記以外のさまざまな対応に追われることになります。その状況で登記申請書類を作成するのは、かなり負担がかかることが予想されます。
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