【本店移転登記後の印鑑カード】いつ、どこでもらえる?

本店移転をした場合、うっかり忘れがちなのが印鑑カードの手続きです。本店移転後の住所によっては、今まで使用していた印鑑カードが使えなくなるため、手続きが必要です。
この記事では、本店移転登記後の印鑑カードの交付手続きなどについて解説します。
目次
印鑑カードとは?
印鑑カードは、法務局(登記所)で会社の印鑑証明書を取得する際に提示しなければならないカードです。
印鑑カードがなければ印鑑証明書を取得することができません。逆に、印鑑カードを持っていれば、会社代表者以外でも、委任状なしで印鑑証明書を取得することができます。
印鑑カードには会社名は記載されていないため、複数の会社を経営している場合などは自分でしるしをつけるなどして区別できるようにしましょう。
カードの大きさは、クレジットカードや銀行のキャッシュカードと同じです。
印鑑カードを継続使用できる本店移転
会社の本店移転は、2つのケースがあります。
1つ目が、本店移転前と本店移転後の管轄の法務局が同じ場合です。(管轄内移転)
たとえば、東京都新宿区A町から東京都新宿区B町に本店移転した場合、どちらも東京法務局新宿出張所の管轄です。
この場合は、本店移転をしても印鑑カードをそのまま使用することができます。
なお、東京の場合は区が同じでなければ「管轄外移転」となることが多いですが、東京以外では別の市に移転しても「管轄内移転」となる場合もあります。
管轄内か管轄外かは、法務局のホームページで確認しましょう。
印鑑カードを継続使用できない本店移転
本店移転の2つ目は、本店移転前と本店移転後の管轄の法務局が異なるケースです。(管轄外移転)
たとえば、東京都新宿区から東京都品川区に本店移転した場合、移転前の管轄は東京法務局新宿出張所ですが、移転後の管轄は東京法務局品川出張所です。
この場合は、これまで使用していた印鑑カードは使用不可となり、新たに品川出張所で印鑑カードを発行してもらう必要があります。
新しい印鑑カードを入手するまで
管轄外移転の場合に新しい印鑑カードを入手する手順を紹介します。
手順①:本店移転登記の申請
新しい管轄の法務局で印鑑カードを発行してもらうためには、前提として本店移転登記が完了している必要があります。
そのため、本店移転登記の申請を行います。
登記が完了するまでの間、一時的に印鑑証明書を取得することができない状態になるため、注意が必要です。
手順②:印鑑カード交付申請書の提出
「新しい管轄の法務局」の窓口に印鑑カード交付申請書を提出します。
印鑑カード交付申請書には、会社の実印(法務局に登録している印鑑)を押印する必要があります。
印鑑カード交付申請書は、Web上で用紙をダウンロードすることができる他、法務局に用紙が置いてあります。

記載事項は、以下の内容です。
記載事項 | 備考 |
---|---|
商号・名称 | 社名を記入します |
本店 | 新しい本店の所在地を記入します |
資格 | 該当するもの(株式会社の場合は「代表取締役」)に〇をします |
氏名 | 代表取締役の氏名を記入します |
生年月日 | 代表取締役の生年月日を記入します |
会社法人等番号 | 会社法人等番号がわからない場合、国税庁法人番号公表サイトで検索することができます |
申請人の住所 | 申請人が会社代表者本人の場合、代表者の住所を記載します。 申請者が代理人の場合、代理人の住所を記載します。 |
氏名 | 申請人が会社代表者本人の場合、代表者の氏名を記載します。 代理人の場合、代理人の氏名を記載します。 |
委任状 | 申請人が代理人の場合、委任状の欄に委任する相手の住所氏名を記載し、会社代表者が記名押印(会社の実印)します |
手順③:印鑑カードの受け取り
印鑑カードは、交付申請書を提出すると、不備がなければ通常10~20分程度で発行してくれます。(混雑している場合は時間がかかる場合があります)
なお、郵便で交付申請書を提出することもでき、返信用封筒(簡易書留など追跡可能な郵送方法を推奨)を同封すれば、郵送で印鑑カードを受け取ることもできます。
印鑑カードを紛失したら
印鑑カードを紛失してしまった場合の対応についても解説します。
印鑑カードを紛失した場合、再発行が可能です。
印鑑カードがなければ印鑑証明書を取得できないため、紛失してしまった場合には速やかに再発行の手続きをしましょう。
当日再発行が可能なので、すぐに印鑑証明書が必要な場合でも心配する必要はありません。
再発行の手順を紹介します。
手順①:印鑑カード廃止届書の提出
まずは、紛失した印鑑カードを廃止します。
廃止するためには、印鑑カード廃止届書を法務局の窓口に提出します。
廃止届書の用紙は、Web上でダウンロードでき、法務局にも置いてあります。

記載内容は以下のものです。
記載事項 | 備考 |
---|---|
届出の内容 | 「印鑑カードの廃止届出」にレ点チェックします |
商号 | |
本店 | |
印鑑提出者の資格、氏名、生年月日 | 株式会社の場合、代表取締役が印鑑提出者です |
印鑑カード番号 | 印鑑カード番号は、会社法人等番号とは異なり、印鑑カードに記載されている番号です。 番号がわからない場合は空欄のままで構いません |
カード廃止の理由 | 紛失の場合、「亡失」にレ点チェックします |
申請人 | 代表取締役本人が申請する場合、印鑑提出者本人にレ点チェックし、代表取締役の住所氏名を記載します。 代理人が申請する場合、代理人にレ点チェックして、代理人の住所氏名を記載します |
委任状 | 代理人が申請する場合、代表取締役が委任者と代理人の住所氏名を記入し、会社の実印を押印します |
手順②:印鑑カード交付申請書の提出
印鑑カード廃止届書と一緒に印鑑カード交付申請書を提出します。
記載内容は、本店移転の場合の印鑑カード交付申請書と同じです。
まとめ
本店移転した場合、移転先が今までの法務局の管轄外であれば、印鑑カードを新しくしなければなりません。
登記の手続きを司法書士に依頼している場合は、通常、司法書士が手続きしてくれますが、自分で登記申請する場合には忘れがちなので気を付けましょう。
うっかり手続きを忘れてしまった場合でも、会社の実印を持参して法務局の窓口に行けばすぐに手続きはできるので、心配する必要はありません。
万一印鑑カードを紛失してしまった場合も、速やかに再発行の手続きを行いましょう。