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助成額は最大100万円!5分でわかる「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」

国や自治体は、さまざまな助成金・補助金制度を行っています。

今回説明する「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」は、中途採用者の雇用に積極的に取り組む企業に対して、助成金を支給するものです。

中途採用の拡大によって生産性が向上すれば、さらに助成金が受け取れる“特典”もあり!そのような「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」の受給までの流れを説明します。

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)の概要

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)は、厚生労働省が行う助成金制度です。

この助成金制度は、「中途採用拡大助成」と「生産性向上助成」の“二段構造”になっています。

中途採用拡大助成

中途採用拡大助成は、中途採用に適用した雇用管理制度(労働時間や雇用契約期間、評価・処遇制度など)を整備したうえで、中途採用の拡大を行った場合、助成金が得られるものです。

中途採用の拡大とは、「中途採用率の拡大」と「45歳以上の初採用」のいずれかを行うことを指します。

生産性向上助成

生産性向上助成は、中途採用拡大助成を受給した事業主が、その後一定の生産性の伸び率を達成した場合、助成金が得られるものです。

受給額

当助成金の受給額は下表のとおりです。

まずは中途採用拡大助成を受け取り、その後、生産性向上助成を獲得できる仕組みになっています。受給額は最大100万円です。

 

中途採用率の拡大

45歳以上の初採用

中途採用拡大助成

50万円

60万円

※70万円の場合あり

生産性向上助成

25万円

30万円

※支給申請日時点で、雇用時に60歳以上かつ雇用から6ヵ月以上を経過している対象者がいる場合、70万円を受け取れます。

中途採用拡大助成を受給する方法

中途採用拡大助成を受給する手順および手続きは、次のとおりです。

手順①:中途採用計画の作成

まずは中途採用計画の作成にあたり、雇用管理制度を整備します。

受給するには下表の取り組みが求められるので、計画に盛り込みましょう。

「中途採用率の拡大」「45歳以上の初採用」共通の取り組み

  • 中途採用計画を策定していること。
  • 各種申請書類を管轄の労働力に提出していること。
  • 支給請求日までに、支給対象者を事業主都合で解雇していないこと。

「中途採用率の拡大」のみの取り組み

「45歳以上の初採用」のみの取り組み

  • 計画期間が1年間
  • 計画期間中に対象者を2人以上雇用
  • 計画期間中の中途採用率-計画開始前日から過去3年間の中途採用率が20ポイント以上
  • 支給対象者の6ヵ月離職率が20%未満
  • 計画期間は事業主が定める期間(1年以下)
  • 計画期間中に対象者を1人以上雇用

手順②:中途採用計画を提出

計画を作成したら、管轄の労働局に提出します。提出期間は、計画開始日前日の6ヵ月前から計画期間初日までの間です。なお、提出時には以下の書類を届け出ます。

  • 中途採用計画(変更)届
  • 中途採用計画
  • 中途採用率算定対象一覧(計画期間前)※45歳以上の初採用のみ必要

手順③:中途採用計画の実施

中途採用計画に基づき、中途採用者の雇用管理制度の整備を行い、支給対象者となる中途採用者を雇用します。

なお、支給対象となる中途採用者とは、以下の要件を満たす人をいいます。

  • 新規学卒者(新卒)ではない
  • 雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者である
  • 期間の定めがない(パートタイムを除く)
  • 雇用日前日からの過去1年間において、当該事業所で就労したことがない。
  • 雇用日前日からの過去1年間において、「親会社と子会社」などの関係がある事業主に雇用されていない。
  • 「雇用時の年齢が45歳以上」※45歳以上の初採用のみ該当

手順④:支給申請

支給申請の期間や必要書類などは、「中途採用率の拡大」と「45歳以上の初採用」でやや異なるため、個別に説明します。

中途採用率の拡大の場合

計画終了日の6ヵ月後の翌日から2ヵ月以内に、次の書類を管轄の労働局に提出します。

<提出する書類>

  • 支給申請書
  • 支給対象者雇用状況等申立書
  • 支給要件確認申立書
  • 採用規定、就業規則、賃金規定、人事評価規定などの雇用管理制度が確認できる書類
  • 雇用契約書または雇入れ通知書等
  • 賃金台帳等
  • 対象労働者を雇用した月の出勤簿等

45歳以上の初採用の場合

こちらの申請期間は、最初に雇入れた対象者の雇用日の6ヵ月後の翌日から2ヵ月以内です。次の書類を管轄の労働局に提出します。

<提出する書類>

  • 支給申請書
  • 支給対象者雇用状況等申立書
  • 支給要件確認申立書
  • 採用規定、就業規則、賃金規定、人事評価規定などの雇用管理制度が確認できる書類
  • 雇用契約書または雇入れ通知書等
  • 賃金台帳等
  • 対象労働者を雇用した月の出勤簿等
  • 中途採用率算定対象者一覧(計画期間)

「生産性向上助成」を受給する方法

続いて、生産性向上助成の受給方法について説明します。

手順①:受給するための要件を満たす

生産性向上助成を受給するには、下表の要件を満たす必要があります。

なお、基準年度とは、計画期間の初日が属する会計年度の前年度を指します。

「中途採用率の拡大」「45歳以上の初採用」共通

  • 基準年度と比較し、3年度後の生産性が6%以上伸びている
  • 基準年度の初日~その3年度後の会計年度末日までに、雇用保険被保険者を事業主都合で解雇等をしていない
  • 中途採用拡大助成の受給後~生産性向上助成の支給申請日までに、支給対象者を事業主都合で解雇等をしていない
  • 中途採用計画に基づく雇用管理制度を、生産性向上助成の支給申請日まで継続して適用している

中途採用率の拡大のみ

45歳以上の初採用のみ

雇用後6ヵ月間雇用した支給対象者のうち、生産性向上助成の支給申請日までの離職率が20%未満である

中途採用拡大助成の支給申請日時点で6ヵ月以上雇用された対象者のうち、生産性向上助成の支給申請日時点でも継続して雇用している者が1人以上いる

手順②:支給申請

基準年度の3年度後の会計年度末日の翌日から5カ月以内に、管轄の労働局に申請します。申請時には次の書類が必要です。

<必要な書類>

  • 支給申請書(生産性向上助成)
  • 支給対象者一覧(生産性向上助成)
  • 支給要件確認申立書
  • 生産性要件算定シート
  • 支給決定通知書の写し
  • 損益計算書、総勘定元帳等
  • 手当ごとに区分された賃金台帳等
  • 採用規程、就業規則、賃金規程、人事評価規程などの雇用管理制度が確認できる書類

知っておきたい3つの注意点

「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」には、次のような注意点があります。

  • 中途採用拡大助成の「中途採用の拡大」と「45歳以上の初採用」の両方を申請することはできますが、計画期間が重複する場合は、どちらかの助成しか受けられません。
  • 中途採用計画を申請できるのは、計画期間初日の前日の3年前に雇用保険適用事業所であった事業所です。それに満たない事業所は申請できません。
  • 中途採用計画提出日~計画初日に労働者を雇用して「中途採用率算定対象一覧」に変更があった場合や、計画した雇用管理制度に変更が生じた場合は、遅滞なく、管轄の労働局に提出しなければなりません。

その他、いくつか細かい条件が設定されています。詳しくは、厚生労働省のホームページでご確認ください。各種申請書類のダウンロードも可能です。