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認定特定創業支援等事業とは?メリットや承認までの流れは?

これから事業を始めようとしている人、あるいはまだ始めたばかりの人は、認定特定創業支援等事業について知っておくとよいでしょう。

一定の支援を受けて証明書を取得することで、様々な優遇制度を利用することができます。この記事では、認定特定創業支援等事業のメリットや制度の利用方法について解説します。

認定特定創業支援等事業とは

認定特定創業支援等事業とは、「産業競争力強化法」に基づき、創業希望者、創業して間もない人を支援するための国・自治体によるサポート事業です。地域の創業促進により、日本の産業競争力を高めることを目的としています。

国の認定を受けた自治体が商工会議所や民間事業者などと協力して実施しています。

令和4年6月現在、1443の市区町村が認定されています(出典:中小企業庁:産業競争力強化法に基づく認定を受けた市区町村別の創業支援等事業計画の概要 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/nintei.html)。

支援事業の内容は、自治体によって異なりますが、個別の面談や経営の基礎知識を学ぶセミナーの実施、専門家の派遣などです。

この支援事業の受講を修了することで、「特定創業支援等事業の支援を受けたことの証明書」を自治体から受け取ることができます。

この証明書があると、創業にあたり様々なメリットを受けることができます。

対象者

認定特定創業支援等事業を受けることができる対象者は、これから新規で創業する人、または創業から5年未満の人です。

メリット

認定特定創業支援等事業の支援を受けたことの証明書を取得することで、主に以下のメリットを受けることができます。自治体によって一部内容が異なったり、独自のメリットがあったりする場合もありますので、事前に自分が創業する自治体の情報を入手しましょう。

登録免許税が半額になる

会社を設立すると、会社設立登記が必要です。その際にかかる登録免許税について、証明書を提出することで半額に軽減される特例があります。登録免許税は、会社の種類により異なります。

・株式会社の場合

通常  資本金の0.7%(ただし最低額15万円)
証明書による特例 資本金の0.35%(ただし最低額7万5千円)

・合同会社の場合

通常 資本金の0.7%(ただし最低額6万円)
証明書による特例 資本金の0.35%(ただし最低額3万円)

・合名会社、合同会社の場合

通常 6万円
証明書による特例 3万円

日本政策金融公庫の新創業融資が受けやすくなる

日本政策金融公庫の新創業融資を申し込む際、通常は総融資額の10分の1以上の自己資金が必要ですが、証明書があることでこの自己資金要件を満たしているものとみなされ、融資を受けやすくなります。ただし、審査は別途行われます。

日本政策金融公庫の新規開業資金融資の利率が低くなる

日本政策金融公庫の新規開業資金融資を受ける際、利率の引き下げの適用を受けることができます。ただし、審査は別途行われます。

創業関連保証が前倒しで利用できる

無担保、第三者保証人なしの創業融資を受けるときには、信用保証協会の保証が必要となります。この保証について、通常は創業の2か月前から対象となりますが、証明書があることで6か月前から受けることができます。

自治体の中小企業融資制度で優遇される

自治体によって制度の有無や内容が異なりますが、自治体で実施する中小企業融資制度で融資利率が低くなるなどの優遇を受けられる場合があります。

自治体の助成金や補助金を申請できる

自治体によりますが、証明書を取得することで自治体が交付する助成金や補助金の申請ができたり、補助金の上限が増額されたりするなどの優遇を受けられる場合があります。

制度利用の流れ

認定特定創業支援等事業の制度利用の一般的な流れを紹介します。

ただし、自治体によって手続きが一部異なるため、事前に利用する自治体に確認しましょう。

①受講の申し込み

自治体の特定創業支援等事業を行っている事業者に連絡し、支援事業の受講の申し込みを行います。

自治体のHP等で認定特定創業支援等事業のページを確認すると、事業者の一覧が掲載されています。人気の高い制度のため、自治体によっては予約を取るのが困難な場合もあります。

②一定期間・回数の創業支援を受ける

特定創業支援等事業による支援(個別面談、セミナー等)を一定期間、一定回数以上受けます。自治体によりますが、「経営、財務、人材育成、販路開拓」の4分野を学ぶことが基本的な条件となっており、1か月以上、4回以上の受講が必要となるケースが多く見られます。

③創業計画書を作成する

相談員や専門家(中小企業診断士、税理士等)の支援を受けて創業計画書を作成します。創業計画書には、具体的な事業内容、創業の動機、資金計画、取引先などを記載します。自治体によっては創業計画書の作成が不要な場合もあります。

④証明書を申請する

支援事業を修了したら、自治体に認定特定創業支援等事業の支援を受けたことの証明書の発行を申請します。自治体によって異なりますが、通常は窓口や郵送、オンラインで申請手続きができます。

⑤証明書を使い各種優遇制度を利用する

証明書を取得したら、必要に応じて証明書を利用した優遇制度を利用します。

登録免許税の軽減を受ける場合

会社設立登記の申請の際、法務局に証明書(原本を提出、ただし原本還付可能)を提出します。

創業関連保証を受ける場合

信用保証協会または金融機関に証明書(写し可)を提出します。

日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する場合

日本政策金融公庫に証明書(写し可)を提出します。

日本政策金融公庫の新規開業資金融資を利用する場合

日本政策金融公庫に証明書(写し可)を提出します。

まとめ

認定特定創業支援等事業は、これから創業を考えている人や、創業から日が浅い人にとっては魅力的な制度です。

証明書の取得による経済的な優遇を受けられることはもちろん、自分一人で学ぶことの難しい経営ノウハウを体系的に学ぶことができるのは大きなメリットです。

自分が創業する自治体で利用できるかどうか、事前に確認することをおすすめします。