【役員変更登記】必要書類一覧(各種書類の解説あり)
役員(取締役、代表取締役、監査役)が就任、退任、重任したら、2週間以内に管轄法務局へ役員変更の登記申請をしなければなりません。その際、各種書類の作成・手配が必要です。
ところが、必要書類は役員変更のケースによって異なります。「どの書類を準備すればいいのか、わからない…」と悩む方もいるのではないでしょうか。
そこで株式会社の役員変更(就任、退任、重任)の代表的なケースにおける必要書類を一覧表にまとめました。ぜひご参考ください。
役員就任登記の必要書類一覧
役員就任登記の必要書類は、就任する役員が取締役・監査役か代表取締役かで異なります。さらに、代表取締役の就任登記に限れば、取締役会設置の有無や代表取締役の選定方法によって必要書類が変わる点に注意です。
役員就任登記の必要書類の詳細については、以下の記事もあわせてご覧ください。
解説記事:【役員就任登記】必要書類と作成上の注意点(ケース別紹介)
※下記の書類に加えて、前任の代表取締役の退任登記に関する書類が必要な場合があります。
取締役・監査役に新たに就任
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 印鑑証明書 ※場合により必要
- 本人の確認ができるもの ※場合により必要
- 委任状 ※場合により必要
代表取締役に就任 (取締役会設置会社の場合)
<既存取締役が代表取締役に就任する場合>
- 変更登記申請書
- 取締役会議事録
- 就任承諾書
- 印鑑証明書
- 印鑑(改印)届書
- 委任状 ※場合により必要
<新任取締役が代表取締役に就任する場合>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会議事録
- 就任承諾書
- 印鑑証明書
- 印鑑(改印)届書
- 委任状 ※場合により必要
取締役会非設置会社で、代表取締役の選定方法が「株主総会決議」
<既存取締役が代表取締役に就任する場合>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 印鑑証明書
- 印鑑(改印)届書
- 委任状 ※場合により必要
<新任の取締役が代表取締役に就任する場合>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 印鑑証明書
- 印鑑(改印)届書
- 委任状 ※場合により必要
取締役会非設置会社で、代表取締役の選定方法が「取締役の互選」
<既存取締役が代表取締役に就任する場合>
- 変更登記申請書
- 取締役の互選書
- 定款
- 就任承諾書
- 印鑑証明書
- 印鑑(改印)届書
- 委任状 ※場合により必要
<新任の取締役が代表取締役に就任する場合>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役の互選書
- 定款
- 就任承諾書
- 印鑑証明書
- 印鑑(改印)届書
- 委任状 ※場合により必要
取締役会非設置会社で、代表取締役の選定方法が「定款変更」
<既存取締役が代表取締役に就任する場合>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 印鑑証明書
- 印鑑(改印)届書
- 委任状 ※場合により必要
<新任の取締役が代表取締役に就任する場合>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 印鑑証明書
- 印鑑(改印)届書
- 委任状 ※場合により必要
役員退任登記の必要書類一覧
役員退任登記の必要書類は、退任事由によって異なります。役員退任登記の必要書類の詳細は、以下の記事もご参考ください。
解説記事:【役員退任登記】必要書類と作成時のポイント(退任事由別)
辞任
- 変更登記申請書
- 辞任届
- 委任状 ※場合により必要
参考記事:取締役が辞任…登記に必要な書類は辞任届だけ?申請手続きは?
死亡
- 変更登記申請書
- 死亡届
- 委任状 ※場合により必要
解任
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 委任状 ※場合により必要
欠格事由の発生
- 変更登記申請書
- 欠格事由に該当したことを証する書面
- 委任状 ※場合により必要
任期満了
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 委任状 ※場合により必要
参考記事:取締役の任期満了…役員変更登記までに必要な手続きは?
なお、任期満了と同時に、同じ役員を再任する場合は、重任登記を行います。
役員重任登記の必要書類一覧
役員重任登記の注意点は、取締役会の有無や重任する役員の範囲によって必要書類が異なることです。また、取締役非設置会社では、代表取締役の選定方法によって異なります。
役員重任登記の必要書類の詳細については、以下の参考記事もあわせてご覧ください。
参考記事: 役員重任登記の必要書類は?作成時のポイントも紹介
取締役会設置会社の場合
<役員全員を重任>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会議事録
- 就任承諾書
- 委任状 ※場合により必要
<役員の一部を重任>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会議事録
- 就任承諾書
- 本人確認ができるもの
- 委任状 ※場合により必要
取締役会非設置会社の場合
<役員全員を重任 (代表取締役の選定方法:株主総会決議)>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 委任状 ※場合により必要
<役員全員を重任 (代表取締役の選定方法:取締役の互選) >
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役の互選書
- 定款
- 就任承諾書
- 委任状 ※場合により必要
<役員全員を重任 (代表取締役の選定方法:定款変更) >
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 委任状 ※場合により必要
<役員の一部を重任 (代表取締役の選定方法:株主総会決議 )>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 印鑑証明書 ※場合により必要
- 本人の確認ができるもの ※場合により必要
- 委任状 ※場合により必要
<役員の一部を重任 (代表取締役の選定方法:取締役の互選)>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 印鑑証明書 ※場合により必要
- 本人の確認ができるもの ※場合により必要
- 取締役の互選書
- 定款
- 委任状 ※場合により必要
<役員の一部を重任 (代表取締役の選定方法:定款変更)>
- 変更登記申請書
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書
- 印鑑証明書 ※場合により必要
- 本人の確認ができるもの ※場合により必要
- 委任状 ※場合により必要
各種必要書類の詳細説明
ここからはそれぞれの必要書類について解説します。必要書類の作成・手配の際にご参考ください。
変更登記申請書
役員変更登記を申請するときに必ず作成する書面です。申請書の様式は、法務局のホームページでダウンロードできます。株式会社や特例有限会社、持分会社などの会社形態によって様式が異なる点に注意が必要です。
> 法務局ホームページ「商業・法人登記の申請書様式」https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html
なお、変更登記申請書の収入印紙貼付台紙に、登録免許税額分の収入印紙を貼付します。登録免許税は1万円(資本金が1億円を超える場合は3万円)です。
登録免許税については以下の記事で説明しています。ご覧ください。
収入印紙貼付台紙は、変更登記申請書とともにホッチキスなどでとめ、各ページの間に変更登記申請書に押印した印鑑(代表取締役が法務局に提出した印鑑または代理人の印鑑)と同一の印鑑により契印(割印)をする必要があります。
株主総会議事録
株主総会議事録は次のケースで必要です。
- 取締役、監査役の選任・解任
- 代表取締役の選定(取締役会非設置会社で、選定方法が「株主総会決議」か「定款変更」の場合)
代表取締役を選定した株主総会議事録の場合、代表取締役は会社実印を押印します。その他の場合は原則、認印でかまいません。
株主総会議事録が複数ページになる場合は、左側をホッチキスなどでとめ、各ページの間に契印をします。出席取締役全員の認印で契印することもありますが、代表者1名のみの契印でも問題ありません。
株主リスト
株主リストは、正式名称が「株主の氏名又は名称、住所及び議決権等を証する書面(株主リスト)」であるとおり、株主の氏名や住所、議決権数などが記載されたものです。株主総会議事録を提出するときは、株主リストも必ず添付します。株主リストには、会社実印の押印が必要です。
株主リストの記載例については、以下の記事で解説しています。
就任承諾書
就任承諾書は、代表取締役、取締役、監査役が就任を承諾する意思を持っていることを証明する書面です。
就任承諾書を作成するときの注意点は、使用する印鑑です。新任の代表取締役が就任する際は、個人の実印を押印します。実印とは、印鑑登録をするときに使った印鑑です。また、取締役会設置会社以外の新任取締役と新任監査役を選任する場合にも、実印を使う必要があります。
就任承諾書の作成例については、以下の記事で紹介しています。
参考記事:就任承諾書は印鑑に注意!ポイントを解説(作成例あり)
議事録の記載を援用できるケース
株主総会や取締役会で選任された役員がその場で就任を承諾し、その旨を株主総会議事録または取締役会議事録に記載することで、就任承諾書の代わりにできる場合があります。具体的には、以下のようなケースです。
- 本人確認証明書の添付が不要な場合
- 本人確認証明書の添付が必要な場合で、議事録に役員の住所を記載している場合
以上の場合、議事録に以下の文言を記載すれば、就任承諾書の代わりとすることができます。
「就任承諾書は、株主総会議事録の記載を援用する。」
取締役会議事録
取締役会を設置している会社で、代表取締役を選定、解職したときに必要です。取締役会議事録には会社実印を押印します。
取締役の互選書
取締役の互選書は、年月日、選定された代表取締役の氏名、社名と取締役の記名捺印(ここでは登記所に届出た会社実印を使用)があれば、互選書として十分です。
取締役の互選書の作成例は、以下の記事で紹介しています。
参考記事:取締役の互選って何?互選書の書き方は?(記入例あり)
定款
代表取締役の選定方法または解職方法が「取締役の互選」であることを証明するために添付します。定款には、原本の内容と相違がない旨と氏名の記載、会社実印の押印が必要です。
印鑑証明書
印鑑証明書は、就任承諾書に個人実印を押印する場合などに必要となります。具体的には、次のようなケースです。
- 取締役会設置会社で、代表取締役を新たに選定した場合
- 取締役会のない会社で、取締役を新たに選任した場合
印鑑証明書については次の記事で詳しく解説しています・
参考記事:印鑑証明書(法人)の取得方法と利用シーン
本人確認証明書
本人確認証明書は、平成27年の登記に関するルール(商業登記規則)の改正で新たに必要となったものです。架空の人物が会社の役員になることを防止するために必要となります。
本人確認証明書の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 住民票の写し
- 運転免許証などのコピー
- マイナンバーカードの表面のコピー など
コピーの場合には、本人が「原本と相違ない」と記載し、記名押印します。
委任状
役員変更登記を代理人に依頼する場合は、委任状が必要です。委任状については以下の記事で詳しく説明しています。
参考記事:商業・法人登記で委任状が必要なケースは?(記入例あり)
必要書類を手軽に作成できるLegal Script
以上が役員変更登記の必要書類です。組織形態などにより用意する書類が異なるので、自社に該当するものを確認したうえで、書類の作成・手配を進めてください。ただし、「書類を作成するのは面倒だな」「書類を作成する時間がない」とお困りの方もいらっしゃるはず。
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