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許認可を得ずに事業を始めてしまった時の対応策

許認可を得ずに事業を始めてしまった場合、無許可営業に対する罰則を受ける可能性があります。対応策としては、一旦営業を停止し、改めて許認可申請の手続きを行う必要があります。

許認可なしで事業を開始したら罰則はある?

許認可とは、特定の事業を行うために行政機関等に申請を行って得るもので、許可・認可・免許・届出などがあります。事業を行うために許認可が必要な業種は数多くあり、それらは根拠となる法律もしくは条例によって規定されています。

もし、許認可が必要な事業を許認可なしで開始していたら、根拠となる法律もしくは条例に従って罰則を受ける可能性があります。罰則規定は、許認可が必要な事業によって異なりますが、ここでは例として次の事業について説明しましょう。

飲食店営業の場合

「飲食店営業」と一言でいっても、業態は多岐に渡ります。レストラン、すし屋、居酒屋、バー、キャバレー、カフェなど食品を調理してお客様に提供する場合は、管轄の保健所に申請を行って、「飲食店営業」の許可を得なければなりません。また食品の提供をせず、コーヒーや紅茶といった飲物の提供を行う場合でも保健所へ「喫茶店営業」の許可申請が必要です。

無許可で飲食店営業を行った場合、食品衛生法第52条1項違反(無許可営業)により、2年以下の懲役または200万円以下の罰金となります。

深夜に酒類をメインに提供する場合

深夜帯(午前0~6時)に酒類の提供を主とする飲食店の営業を行う場合は、管轄の公安委員会(警察署)に深夜酒類提供飲食店営業の届出を行わなければなりません。

この届出を行わず、無届営業となった場合は、風営法54条の規定により、50万円以下の罰金となります。さらに、届出提出の指導を受けたにも関わらず、届出を行わないまま営業を続けた場合は、罰金の他、最長6ヵ月の営業停止処分を受けることもあります。(風営法第34条)

風俗営業の場合

「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」は、一般的には「風営法」として知られていますが、この法律によって規定された風俗営業を行う場合は、公安委員会(警察署)の許可を受けなければなりません。
また風俗営業と性風俗店を混同している方がいますが、風俗営業に当てはまる業種は風営法で1号から5号に分けられています。

1号営業は、キャバクラ、ホストクラブ、バー、クラブなどの接待飲食店等、2号営業は客席の照度が10ルクス以下のバーや喫茶店などの低照度飲食店、3号営業は区画飲食店、4号営業はマージャン店やパチンコ店、5号営業はゲームセンターなどです。

風俗営業関連では、接待行為にあたるかどうかといった問題で風営法違反となることも多いですが、管轄する公安委員会の許可を受けずに営業した場合、いわゆる無許可営業の場合は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科されることがあります。

古物営業の場合

古物営業とは、中古品の売買などを行うもので、店舗の有無に関わらず、営業するためには公安委員会(警察署)から古物商営業許可を受けなければなりません。古物営業法の目的は、中古品取引にあたって盗品が紛れ込まないように、また紛れ込んだ場合でも早期に発見できるようにすることです。このため、古物商の営業を許可制として、警察が中古品の流通を管理できるようにしています。

この古物商の許可を得ずに中古品の取引等を行った場合(無許可営業の場合)、古物営業法違反として3年以下の懲役または100万円以下の罰金を受けることになります。

許認可が必要だと知らずに事業を始めていたら…

たとえ許認可が必要な事業だと知らなかったとしても、発覚した場合は罰則を受ける可能性があります。行っている事業の内容や、許認可の程度により、罰則を受けるか受けないかは異なりますが、許認可を必要とする事業を無許可で続けることはできません。

実際には、無許可営業していることを行政機関等から指摘され、注意、指導、または営業停止処分を受けることになります。ですから、注意や指導を受けた場合はもちろん、自主的に許認可が必要であることに気づいた場合は、無許可営業という法律違反状態を一旦停止し、行政機関等の指示に従う必要があります。

事業再開までの手順

STEP1 営業を一旦停止する

行政機関等から指摘を受けた場合でも、自主的に気付いた場合でも、一旦営業を停止しましょう。

STEP2 許認可手続きを行う

営業停止後は、行政機関の注意や指導に従います。また自主的に営業停止した場合は、管轄の行政機関に無許可営業となってしまった理由を伝え、改めて許可申請の手続きを行います。

もちろん、無許可営業に対する罰則を受ける可能性はありますが、悪質な無許可営業でない場合は、許可申請を受け付けてもらうことができます。

この時、行政機関への手続きが難しい場合は、許認可手続きを行政書士に依頼することもできます。
専門家が手続きを進めることで、事業者本人が行うよりも円滑に許可を取得できることもありますので、ご検討ください。

STEP3 営業を再開する

無事に許可を取得できたら、営業を再開しましょう。

無許可営業がバレる理由

飲食店などの場合、管轄の保健所が、風俗営業に該当するような店の場合は、警察が無許可営業に関する調査を行っています。

また、来店するお客や、近隣の住民、同業者から通報される可能性もあります。実店舗を持たずに、古物商営業を無免許で行っている場合も、サイトの確認や税務署からの情報、一般のお客からの通報により、無許可営業が発覚することは多々あります。

ですから、「無許可営業はいずれ絶対バレる」と肝に銘じ、事業を開始する前に必要な許認可の確認を行うとともに、許認可の更新についても確認しましょう。

まとめ

許認可を得ずに事業を始めてしまった場合、法律違反となり、厳しい罰則を受ける可能性があります。許認可が必要だと知らなかったとしても、関係ありません。

すでに事業を始めてしまっている場合は、管轄の行政機関や行政書士に相談しながら、一旦営業を停止し、改めて許認可の申請手続きを行いましょう。