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代表取締役が1社に2人以上いてもいい?メリットと注意点は?

代表取締役は1人だけ。そのようなイメージがあるかもしれませんが、実際には2人以上いる会社も多く存在します。

この記事では、代表取締役を2人以上にするメリットや注意点などを紹介します。代表取締役の人数を検討する際のご参考にしてください。

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代表取締役は2人以上いてもいい!

代表取締役は、その会社の代表権を持っている取締役です。代表取締役には人数の制限がありません。それぞれの会社の都合に合わせて1人にすることもできますし、複数人にすることも可能です。

なお、取締役会がない会社(取締役会非設置会社)は、代表取締役を選定する必要はありません。この場合、取締役の全員が代表権を持つ代表取締役になります(各自代表、会社法第349条 )。

通常、定款で代表取締役の人数について定めておきます。代表取締役は1人だけとすることもできれば、代表取締役は3人以内などと上限を決めておくこともできます。

現在の定款で、代表取締役が1人という定めがある場合に、代表取締役を複数にしたいときは、株主総会の決議で定款の変更をして、複数の代表取締役を選べるようにする必要があります。

代表取締役が複数いるメリット

代表取締役を複数選ぶことによるメリットについてご紹介します。

メリット①:不測の事態の備えになる

代表取締役が1人しかいない場合、その人が病気になったり急逝したりするなどの不測の事態が起きた場合、後任者の選定をするまでの間、取引先や金融機関との契約などに支障が生じてしまいます。

代表取締役が複数人いる場合には、それぞれの代表取締役が代表権を持っているため、それぞれが単独で有効に契約を締結することができます。

そのため、何かあった場合に安心です。特に、代表取締役が高齢の場合は、万一の事態を考えると複数人代表取締役がいる方が安全です。

メリット②:共同創業の場合、公平性を保てる

たとえば、会社を2人で立ち上げた場合に、どちらか1人だけが代表権を持つよりも、2人とも代表権がある方が、公平性があり不満を抱きにくい場合があります。

自分にも代表権があると思うことで、それぞれが「自分の会社」という意識を強く持ち、会社経営に対するモチベーションを向上させることが期待できます。

メリット③:ワンマン経営の弊害を防げる

代表取締役が1人だけの場合、ワンマン経営者となるため、それによる弊害が生まれる場合があります。

たとえば、従業員がワンマン経営者のイエスマンばかりとなり、会社がおかしな方向に進んだり、経営者の判断ミスがあっても誰も意見を言えなくなったりすることなどが考えられます。

そうなると、従業員のモチベーションが下がり、会社の経営自体が上手くいかなくなる危険性があります。

代表取締役が複数いる場合には、社内の権力が1人に集中しないため、このような弊害を防ぐことが期待できます。

代表取締役の人数が増減したら「役員変更登記」

代表取締役の人数が増えたり減ったりしたら、役員変更登記をしなければなりません。役員変更登記については、次の記事をご参考ください。

参考記事:新たな取締役が就任!登記に必要な書類と手続きは?

参考記事:【役員退任登記】必要書類と作成時のポイント(退任事由別)

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代表取締役を複数にした時の注意点

代表取締役を複数にした場合には、注意点もあるのでご紹介します。

注意点①:社長は基本的に1人だけ

代表取締役イコール社長と連想するかもしれませんが、そういうわけではありません。代表取締役は複数置くことができますが、社長は基本的に1人だけです。

代表取締役が複数いる場合、一人が代表取締役社長で、もう一人が代表取締役「副社長」、あるいは代表取締役「会長」などとすることが一般的です。

この「社長」「副社長」「会長」などは法律用語ではなく、登記もされないので、登記上は全員「代表取締役」となります。

外部の人は、基本的に代表取締役社長がその会社の代表者だと認識することとなるため、誰が代表取締役社長なのかははっきりさせておき、名刺などに肩書を明記しておきましょう。

注意点②:会社実印の取り扱い

代表取締役が複数いる場合、少なくとも1人が法務局に会社実印(会社代表印)の届出をする必要があります。

そして、この会社実印は、複数の代表取締役が共用することができず、2人の代表取締役が会社実印の届出をする場合には、それぞれ別の会社実印を作成して届け出る必要があります。

会社実印は一つだけというイメージがあるかもしれませんが、複数人が届出をする場合には、複数の会社実印と印鑑証明書が存在することになることを理解しておきましょう。

注意点③:登記申請時の制約

登記を申請する場合の申請人は代表取締役です。そして、代表取締役が複数いる場合には、会社実印の届出をしている代表取締役だけが登記申請の申請人となることができます。

なお、複数の代表取締役が会社実印の届出をしている場合には、どちらでも申請人となることが可能で、申請書には自分が届け出た会社実印を押印する必要があります。

代表取締役Aの名前で申請し、代表取締役Bが届け出た会社実印を押印することは認められないので気を付けましょう。

まとめ

代表取締役は複数置くことができ、複数いる方がよい場合もあります。会社の実態に合わせて何人代表取締役を置くべきかを判断するとよいでしょう。

最初は代表取締役1人だけとしていても、途中から追加することもできるため、会社の成長に合わせて代表取締役を増やすことを検討してもよいでしょう。

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